『FGO』のディライトワークスが、社内にボードゲームカフェを設立!? その理由や今後の狙いなどが語られたメディア向けイベントをリポート

『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)の開発などで知られるディライトワークスのオフィスに、ボードゲームカフェ(社員用)が設立。その経緯などについて語る、メディア向けの説明会が開催された。

 ある日突然、“ディライトワークスの社内に、ボードゲームカフェを作りました。ぜひ取材してください。”というメールが届いた。えっ、はっ!? 『FGO』のあのディライトワークスが、社内の中に、ボードゲームの……カフェ!? なんで!? いったいどういうことなんだよ!? その謎を解明すべく、筆者は混乱しながら、ディライトワークスのオフィスにて行われたメディア向け説明会へ参加した……!

マジであったよ、ボードゲームカフェ! スゴい! 多い! 260個以上ものボードゲームが用意されているそうで、1週間に1個遊んでも、5年は掛かる夢の空間だ。

まだ調整中のフロアがあるため、写真でお伝えできるのはこのエリアだけ。ここだけ見ると狭いカフェに見えるかもしれないが、実際はメッチャクチャ広い。いやマジで広かった。なお、このボードゲームカフェは、一般向けの営業店舗ではなく、あくまで社員向けのカフェスペースとなっている。

 この説明会には、このカフェの発起人である塩川洋介氏(ディライトワークス株式会社 執行役員、クリエイティブオフィサー、『FGO』PROJECTクリエイティブディレクター)と、カフェのプロデュースを担当した白坂翔氏(現在7店舗運営中のボードゲームカフェ・JELLY JELLY CAFEオーナー)が登壇。対談形式で、設立に関する経緯などが語られた。

塩川洋介氏(左)、白坂翔氏(右)

 最初に白坂氏から、現在のボードゲーム業界、そしてボードゲームカフェについての説明が行われた。白坂氏がJELLY JELLY CAFEを渋谷にオープンしたのは、2011年ごろ。当時はボードゲームが一般層だけでなく、ゲームマニアにすら浸透しておらず、年配の男性のお客さんが多かったのだとか。そんな中、ある日『人狼』ゲームが突如ブームに。『人狼』ゲームのおかげで、ボードゲーム自体の認知度が上がり、そこからボードゲームにハマった人も多く、現在では大学生のプレイヤーが8割くらい、男女比も半々くらいに。近年ボードゲームは、大きな盛り上がりをみせているのだ。

日本のボードゲームクリエイターたちも世界から注目されており、ボードゲームの本場・ドイツで開催される“ドイツ年間ゲーム大賞”に、日本のゲームがノミネートされることも増えていると、白坂氏は語る。

 そしてカフェ設立の経緯について、塩川氏が語る。ディライトワークスは、オフィスを3月に増床し、より大きなオフィスへと躍進。その中で、塩川氏は社員たちのやりたいことを実現しようと考えたそうだ。ディライトワークスには、ボードゲーム好きの社員が多いそうで、休憩時間などに、ボードゲームをスタッフたちが遊んでいる光景が見られるのだとか。そして塩川氏も、大のボードゲーム好き。塩川氏は「やるからには本気で取り組もうと、自分たちでカフェの大きさを決めて、遊べるゲームも決めました。その結果、本物のボードゲームカフェができあがりました」と、このカフェに対する本気度をアピールしていた。

 もちろんただの趣味として、会社にボードゲームカフェを作ったわけではない。塩川氏はクリエイターどうし、よりコミュニケーションが取れるようにしたかったこと。そして、ボードゲームからゲームのおもしろさを社員たちに感じてほしいという狙いがあるそうだ。

塩川氏は「ボードゲームは、ゲームの“おもしろい”を極限まで突き詰めたゲームが多いです。そこを自分たちにも取り入れたい」と意気込んでいた。

 その実現に貢献したのが、プロデュースを担当した白坂氏。白坂氏は、ボードゲームに出会うまでは、デジタルゲームをよくプレイしていたそうで、『FGO』もドハマりしているそうだ。おかげで、アナログ、デジタル、どちらのゲームにも通じるものがあると思っていたようで、今回のプロデュースの依頼を受けた際には、「俺たちはデジタルだけじゃないぞ! という気合を感じて、ディライトワークス、やるな! と思いました(笑)」と、感心しながら依頼を引き受けたことを明かしていた。

デジタルゲームのクリエイターから見た、ボードゲームとは?

 続いての話題は、ボードゲームの魅力について。塩川氏がボードゲームに触れたのは、約1年前。これまで『人生ゲーム』、『モノポリー』など、世界的に有名なボードゲームにしか触れてこなかったそうだ。しかし、クリエイターとしての勉強をするために、去年開催された“ゲームマーケット2017”に足を運んだ塩川氏。そこで、とにかく興味本位でさまざまなゲームを購入し遊んでみたところ、クリエイター側の視点から見て、ボードゲームの自由度に、非常に感銘を受けたそうだ。塩川氏は「ボードゲームって、ゲームの形、見た目、ルールまで、全部自由なんですよ。尖ったテーマのゲームもできる。これは刺激になると思い、ボードゲームにドはまりしたんです」と、自身がハマった経緯を語っていた。

現在はディライトワークスの社員半分ほどが、アナログゲームにハマっていると、塩川氏は語る。は、半分も!

 また、デジタルゲームとの違いについて、白坂氏は「ボードゲームって、人にオススメするのが難しいんですよ」と語る。ボードゲームは市場が小さいのに、種類は豊富で、ルールや魅力を言葉では説明しにくい点。そして、売り上げ数や絶対的な人気ランキングなどもないため、どれからやっていいのかわからないという人も多いのだとか。そういった問題を解消すべく、いろいろな視点からボードゲームを広めていく必要があると、白坂氏は意気込んでいた。

そんな流れで塩川氏がオススメしたのは、卒業写真を組み合わせて卒業アルバムを作る『グラデュエーション・フォトレコーズ!』。人間関係、世界観の評価でポイントが決まる、その自由度がお気に入りなのだとか。

もうひとつオススメとして挙げられたのが、脱出型ボードゲーム『EXIT』。このゲームは紙などを切ったりして遊ぶので、1度遊ぶと2度と遊べなくなってしまう。塩川氏は「1回しか遊べないなんて、ゲームとして許されるのか!? と思いました。しかし、それに見合う体験がある」と、そのクリエイティビティに感心したそうだ。

白坂氏が自身のカフェで、初心者に必ずオススメしているのが『ボブジテン』。引いたカードに書かれた外来語のキーワードを、外来語を使わずにプレイヤーへ伝えるゲーム。

また、白坂氏は“大喜利”のようなボードゲームも好きとのことで、架空の映画タイトルをプレイヤーが批評し、いちばんそれっぽいことを言った人が勝利する『知ったか映画研究家』もピックアップ。勝ち負けではなく、その言葉のやり取りが醍醐味なのだとか。

今後の展開や、『FGO Duel』は?

 説明会の最後には、質疑応答の時間が設けられた。メディアの質問と、塩川氏、白坂氏の回答を、インタビュー形式でお伝えしよう。

――このボードゲームカフェを通じて、ディライトワークスは今後どのような展開をするのでしょうか?
塩川 このボードゲームカフェがきっかけというわけではないのですが、今後もボードゲームにいろんな形で力を入れていきたいです。その流れで、先日『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』(『FGO Duel』)を発表しました。ディライトワークスとしては、デジタルゲームはもちろんのこと、ボードゲーム業界をもっと盛り上げたいですし、いろいろな層の人にボードゲームに触れさせたいです。『FGO Duel』だけでなく、オリジナルのボードゲームも作っていきたいですね。また、ボードゲームを通じて得た知識やアイディアを、デジタルゲームにも役立てたいです。そして、ボードゲームのクリエイターたちも、ぜひディライトワークスにきてほしいです。

白坂 『FGO Duel』はこのカフェのお話が進む中で発表されて、ビックリしました(笑)。じつは僕、『FGO Duel』についてなにも知らなかったんですよ。

――カフェのスペースを借りて、一般向けのイベントは動画配信などはされますか?
塩川 実現できるかは分かりませんが、イベントはぜひやってみたいです。ただ、最初はもちろん社員に使ってもらうことが優先です。そして動画配信は、盲点でした。それもぜひやりたいです!

――今後、白坂さんはどのようにディライトワークスに関わっていくのでしょうか?
白坂 カフェができたので“あとは任せた”ってこともできますが、やはりボードゲームは今後もたくさん出るので、どんどん新しいゲームをディライトワークスさんにオススメしたいです。あと、個人的には会社間のイベントや交流会もやりたいですね。ボードゲームはコミュニケーションツールのひとつですから。

――社内にボードゲームカフェがある企業は、ほかにあるのでしょうか?
白坂 僕が知る限りでは、ディライトワークスが初です。ちなみにアプリゲームの会社は、会社にボードゲーム部があることが多いですね。土日にオフィスを解放して、みんなでボードゲームをやることも多いそうです。

――TYPE-MOONはこのカフェについて、知っているのでしょうか?
塩川 ……あ、じつは知らないと思いますね。もちろん『FGO Duel』を作るというお話はしましたが、その流れでボードゲームカフェを作るということを説明し忘れました(笑)。今度、ここに連れてきますよ!

――このカフェは、基本的にいつでもオープンしているのでしょうか?
塩川 業務時間内でも開いています。ただ、もちろんしっかりと仕事はしてもらいますよ。最初、ボードゲームバーにする計画もあったんですよ。ただ、そうすると社員たちが一生出てこなくなりそうな気がしたので、カフェにしました(笑)。

――『FGO Duel』について、どんなゲームになるのか教えてください。
塩川 細かいことは、まだ言えません。ただ、『FGO』を遊んでくださってる人たちが、全員遊べるものを目指しています。現時点では、10分くらいで1戦遊べるものを想定しています。ルールは1対1で、3つのサーヴァントを用意し、15枚のデッキから5枚カードを引いて、3枚選んで使うみたいな、まさに『FGO』ならではの戦いが楽しめる予定です。

 なお、『FGO Duel』はミニフィギュア1騎(ランダム)と、コマンドカード5枚がセットになった1ボックスが、1200円(税込)で販売予定。発売時期は、今夏を予定している。フィギュアはスタチュー型で、『FGO』のバトルシーンのような、若干デフォルメされたキュートな見た目。ゲームとして遊べるだけでなく、コレクションフィギュアとしても欲しい!

3人のサーヴァントを並べて、『FGO』のようなパーティを編成!

こんな風に、向き合って戦うゲームになるそうで、まさに『FGO』のバトルがボードゲームとしても楽しめそうだ。

 ちなみに、このカフェには、ボードゲームだけでなく、ダーツや卓球台なども置かれていた。また、いわゆる“人をダメにするクッション”が置かれたスペースなどもあり、社員たちの憩いの場としては、まるで天国のような空間になるのではないだろうか。ディライトワークスがボードゲームを通して、今後どのような展開をみせていくのか楽しみだ。