2018年3月14日、“ポケモンセンタートウキョーDX & ポケモンカフェ”が、オープンした。 日本橋といえば、1998年4月25日にポケモンセンターの記念すべき1号店がオープンした創業の地。じつに20年の時を経て、 進化したポケモンセンターが始まりの地に舞い戻ったというわけだ。そんな節目となるタイミングで、 株式会社ポケモンの店舗事業の運営を行う株式会社ポケモンセンターの新社長に上郷頼臣氏が就任。 上郷氏に日本橋の新店舗のことはもちろん、20年ものあいだ高い人気を維持し続ける秘訣や店舗運営の状況、 今後の展望についてインタビューを行った。

※本インタビューは、2018年2月26日に取材を行い、週刊ファミ通2018年4月5日号(2018年3月22日発売)に掲載した記事を加筆・再構成したものです。

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ポケモンセンター発祥の地、日本橋に新店舗がオープン

上郷頼臣(うえごう よりおみ)

株式会社ポケモンセンター
代表取締役社長

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――まずは新店舗“ポケモンセンタートウキョーDX”の特徴を教えてください。

上郷 もうすぐオープンを迎えますが(取材日はポケモンセンタートウキョーDXのオープン前)ポケモンセンターとしては12店舗目の出店となります。やはり、20年前に1号店を出店した日本橋に、 よりパワーアップしたポケモンセンターが戻ってきた、 という点が大きな特徴となりますね。飲食をご提供するポケモンカフェを含めると、 敷地面積は12店舗のうちで最大規模になります。

―― 敷地面積としては、池袋のポケモンセンターメガトウキョー店よりも広いと。

上郷 1.5倍くらいの広さになります。 フラッグシップ店はあくまでもメガトウキョー店になりますが、東京駅からも近い新店舗のほうも、多くの来場者の皆さまに楽しんでいただけるかと思います。

―― 20周年のタイミングで初めて常設の飲食施設をオープンするというのは、 どのような意図があるのでしょうか。

上郷 施策としては、 過去に何度か期間限定でやらせていただいたのですが、 反響が大きかったことが大きな理由です。また、2020年のオリンピックに向けての新しい展開ということで、チャレンジしてみようと思いました。

―― 飲食店を常設するにあたっては、既存の業態とは違う注意点はありますか。

上郷 飲食店ということで、 提供する食品の質や安全の担保という基本的な部分にはとても気を遣っています。その上で、メニューやイベントを固定するのではなく、どんどん変えていったり、 さまざまなイベントを開催したりと、『ポケモン』ならではの楽しみを定期的に追加していく方法も模索していきます。

―― お客さんがストレスなく入店できるような仕組みは何か考えられていますか。

上郷 オープン当初はとくにたくさんのお客様のご来店が集中すると思われますので、カフェについては初めのうちは完全予約制を取らせていただきます。ただ、ポケモンセンタートウキョーDXを訪れたついでにカフェに寄っていただく、 というのもひとつの楽しみだと思いますので、当面は完全予約制ですが、状況を見ながら予約席を減らしていくことを考えています。このあたりは開店後の混雑状況を見ながら決めていく形になりますが。

現実とネットの相乗効果で売上がぐーんとあがった!

――20周年を迎えるポケモンセンターですが、20年ものあいだ一貫して人気を保てた理由はどこにあるとお考えでしょうか。

上郷 『ポケモン』全体としてもそうですが、お客様の年齢層がこの20年でだいぶ変わったと思っています。10年前は小学生を中心としていましたが、 いまでは小学生だけでなく、幅広い世代に愛され、さらには海外のお客様も本当に多くなっています。 そういった層に向けた商品やサービスが、 お客様とともに進化してきたところだと考えています。

―― ポケモンストアも含めると、日本全国すべてのエリアを網羅している状況ですが、今後の出店計画について展望はありますか。

上郷 こればかりはいい場所とご縁ありきなので、 その都度の検討になるかなと思っています。どちらかというと、いまは既存の店舗でお客様に楽しんでいただける空間や商品、サービスをいかに作れるかというところに、より重きを置きたいと思っています。

―― オンラインショップの展開もされていますが、こちらの手応えはいかがでしょうか。

上郷 以前は違う形で運営していたものを仕切り直して、2016年の2月に再開しました。お客様の層が変わったことと、 当時よりもオンラインショッピングの文化自体が定着していることもあり、手応えを感じています。こんなに垂直に立ち上がるのか、というのが正直な感想です。 計画段階の目標をクリアする動きを見せておりますので、さらにここからもっと拡大しようと思っているところです。

―― 実際の店舗とオンラインショップで、 利用者の食い合いが多少はあるのかなと思っていたのですが、感触としてはどうでしょう。

上郷 予想していたよりも少ないです。 商品の実物をいっぺんに見ていただけることは実店舗ならではの価値になりますし、1月から行っている“レインボーロケット団”による店舗ジャックのようなキャンペーンも、 オンラインでは味わえないものです。逆に、オンラインショップのほうは利便性重視といった感じで住みわけができているので、食い合いのデメリットよりも相乗効果によるメリットの方がはるかに大きいと感じています。

―― ポケモンセンター全体の運営について、どのような状況とお考えでしょうか。

上郷 2016年度も非常に好調で、過去最高のセールスを記録しましたが、2017年度はさらにそれを超える売上となっており、 留まることなく伸びている状況といえます。もちろん新しい店舗が増えているということもありますが、ひとつひとつの店舗を見ても、売上が増しているという感触です。

―― その要因は何だと思われますか。

上郷 そこまで意識的だったわけではないのですが、“実店舗に来店する価値”をご提供できたことが大きいと思います。それと、前述の通り、実店舗ならではの強みとオンラインショップの強みをそれぞれ活かせたことも大きな要因でしょう。

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『ポケモン GO』特需によってインバウンド消費が拡大!

―― 好調なセールスということですが、ポケモンセンター全体の売上に関して、 とくに伸びているのはどんな分野なのでしょうか。

上郷 総じて伸びていますが、2016年度は『ポケモン GO』の周辺機器をオンラインで注力して販売しておりましたので、オンラインの伸び幅は大きくなっています。あとは、インバウンド(外国からの観光客)のお客様によるところが非常に大きいですね。

―― インバウンド消費は、以前に比べて増えているのでしょうか。

上郷 はい。 訪日される方の数自体が増えていることもあると思いますが、『ポケモン GO』の効果もあって、ポケモンセンターやポケモンストアにお越しになるお客様は非常に多いです。

――『ポケモン GO』の影響は大きかったと。

上郷 日本のお客様もそうなのですが、 それ以上に、海外からのお客様は『ポケモン GO』を機に大きく増えていますね。

―― その影響というのは、『ポケモン GO』のグッズが売れる形と、『ポケモン GO』によって『ポケモン』自体の認知度が高まることで『ポケモン』関連商品が売れる形があると思うのですが、どちらが大きいですか。

上郷 両方です。『ポケモン GO』の周辺機器である“Pokémon GO Plus”を販売したところ、かなりの数が売れました。また、『ポケモン GO』の効果で海外のお客様を中心に、それまでとは違う層のお客様が目に見えて増えました。お店の近くで『ポケモン GO』をプレイしてくださるお客様もよく目にします。

―― 好調なポケモンセンターですが、今後の課題や改善点などはありますか。

上郷 既存のお店の商品やサービスを、 もっとお客様に楽しんでもらえるように強化していきたいと思っています。 海外のお客様に対しても、 外国語を話せるスタッフはいるにはいますが、 すべてにおいて最適なサービスが提供できているわけではないので、そういった部分は、引き続き改善し続けたいですね。

―― より楽しんでもらえるサービスとは、具体的にはどんなものを考えられていますか。

上郷 たとえば、最近の例で言いますと、ポケモンセンタートウキョーベイに“ポケモンカードステーション”という新しい場所を作りました。 最初は、「平日はあまり来てもらえないのではないか ……」など、 毎平日、 大会を実施するということには疑問を感じながらやっていたのですが、 結果として日常的に通ってポケモンカードゲームを遊んでいただける空間となりました。 ポケモンカードゲームに限らず、ほかの商品についてもいろいろなコンテンツとシナジーを生み出せる空間を作っていきたいと考えています。

―― ちなみに、 現在の取扱い商品について、人気商品の傾向を教えていただけますか。

上郷 年間を通していちばん売れるのは、 やっぱりピカチュウのぬいぐるみ。そして、モクロー、ニャビー、アシマリといった『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』で主人公が最初にもらうポケモンのぬいぐるみです。 このあたりは、『ポケモン GO』の影響も相まって、 お店の定番商品と呼べるものがもう少し増えていくのかなと思っています。とくに最初に発売されたゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』に登場するポケモンに関しては、 新たに定番として置いていける環境が整いつつあると感じています。

高まる期待をさらに超え、今後も時代に適した運営を

――そろそろ学生の春休みの時期となります。ゴールデンウィークくらいまでを見据えて、お店の注目ポイントを教えてください。

上郷 初めてポケモンセンターがオープンしたのが1998年4月25日です。ちょうど20周年となるタイミングから、20周年記念のイベントや商品の展開を考えていますので、 まずはそれを楽しみにしていただければと。

――20周年ならではのグッズも販売されるということですね。 とても楽しみです! 今後、中・長期的に取り組んでいきたい施策について、可能な範囲で教えてください。

上郷 商品やイベントに関しては“幅広さ”をかなり意識しています。今後もいろいろと新しい企画をやっていきますが、同時に、 定番のものも大事にしていきたいと思っています。 また、ポケモンセンターオンラインのように、“買う手段”はどんどん進化していきますので、時代の流れに合わせて新しいものを提案したいと思っています。さらに、そこでしかできない買いかたも工夫したいなと。たとえば、“ジムバッジコレクション”のときのような受注生産方式のように、その商品に適した新しい術を考えていきたいなと思っています。

―― 最後に、 ポケモンセンターファンに向けて、メッセージをお願いします。

上郷 ありがたいことにお客様の来店頻度も高くなっていまして、 支えてくださるファンの方がとても多くなっていることを感じています。 そんな皆様の期待にしっかり応えるべく、そしてさらにその期待を超えられるような、 驚きの新商品やサービスを考えていますので、楽しみにしていてください。

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“ポケモンセンタートウキョーDX & ポケモンカフェ”のここがすごい!

 2018年3月14日、ついに“ポケモンセンタートウキョーDX & ポケモンカフェ”がオープンした。ここからは、改めて新店舗の特徴や見どころを写真とともに紹介する。

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【1.史上初! 常設のポケモンカフェが隣接!】

 これまで期間限定で行われてきたポケモンカフェをなんと常設で展開! いつでも好きなときにポケモンたちをイメージしたフード&ドリンクを堪能できる。メニューのクオリティにもこだわっており、ピカチュウやイーブイ、ミミッキュといった人気のポケモンたちが忠実に再現されたメニューが多数用意されている。

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つぶらなひとみがかわいすぎて、食べることを躊躇してしまう。

 オープン前の時点ですでに1万3000名以上(1ヶ月分として用意した席数の93%にもなる)もの予約が入っており、その期待度の高さがうかがえる。当面は完全予約制となるが、徐々に予約席を減らし、ふらっとショップを訪れた際にも気軽に立ち寄れるようにしていくとのことなので、まだカフェには行けていないという方も期待して待っていてほしい。

【2.約400坪! ポケモンセンター史上最大の店舗面積】

 ポケモンカフェも含めると、池袋にある“ポケモンセンターメガトウキョー”の約1.5倍もの面積を誇る。この広さを活かし、歴代『ポケットモンスター』シリーズの展示や、タッチ式のポケモン図鑑体験スペースなど、グッズ販売に留まらない“体験”要素が用意されている。

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初めてプレイした『ポケットモンスター』シリーズで世代がある程度分かってしまうのが『ポケモン』ファン。あなたならどこで足を止めるだろうか。
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テンションがぶち上がるのでオススメ。いや、表示される情報は知っているのだが、そんなことは関係ないのだ。操作しているだけでこう、グッとくる!

 また、グッズのディスプレイ方法にもこだわりが。とくにぬいぐるみ販売コーナーはまさに圧巻。半円状の売り場に足を踏み入れると、周囲どこを見渡してもポケモンのぬいぐるみしか目に入ってこない。まさに隙間なく埋め尽くされた“ぬいぐるみの壁”は、ポケモンファンなら必ず訪れたい“絶景スポット”そのもの。ゴールデンウィークの予定がまだの方はぜひ、日本橋の新たな観光地“ポケモンセンタートウキョーDX”へどうぞ!

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【3.細かな店内装飾にも要注目!】

 ポケモンカフェの店内には、ゲームフリークの増田順一氏や杉森建氏をはじめとした著名人のサインやイラスト、さらには“タイルを布に貼る”という独特な技法によって作られたコイキングなど、目を引く展示品が並んでいる。カフェのメニューはもちろんのこと、まわりをゆっくり見渡してみると、よりポケモンカフェを楽しめるだろう。

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中川翔子さんら、テレビ東京「ポケモンの家あつまる?」出演メンバー、そしてゲームフリークの増田順一氏、杉森建氏のサイン。杉森氏のサイン色紙にはカフェタイムを楽しむピカチュウのイラストも!
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『ポケモットモンスター』シリーズを題材とした漫画『ポケットモンスターSPECIAL』より、シナリオ担当の日下秀憲氏と作画担当の山本サトシ氏のサイン&イラスト。
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こちらはなんと、ドット絵風のピカチュウを陶器で再現したというデジタル陶芸家の増田敏也氏による作品。
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モザイクタイル作家山崎暢子氏による“コイキングの滝登り”。このサイズ感も実際に見て味わってほしい。
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ポケモンカフェの入り口前に掲示されているピカチュウのイラスト。スマートフォンのカメラ機能などでフラッシュをオンにして撮影すると、右の写真のように“10まんボルト”のエフェクトがあらわれる!

この春はポケモンセンターへ行こう!

 ポケモンセンタートウキョーDX & ポケモンカフェは、東京駅からほど近い日本橋エリア(日本橋髙島屋S.C.東館5階)に出店。4月25日からはポケモンセンター全店で20周年記念キャンペーンがスタートするので、公式サイトをチェックして、ショップに足を運んでみよう!