ニンテンドースイッチ向けの完全新作『真・女神転生V』について、アトラスのプロデューサー・山井一千氏にお話をうかがった。

 始まりは2017年の1月。アトラスから、ニンテンドースイッチ向けに『真・女神転生』シリーズの新作を開発していることがアナウンスされた。この段階では、それがシリーズの正統なるナンバリング最新作になることは明かされていなかったので、同年10月に真・女神転生Vとして改めて発表された際は、大きな話題を呼んだ。ファミ通では、タイトル発表時のインタビューと、つい先日に行われた本作の“成功祈願”の機会において、プロデューサーの山井一千氏にじっくりお話をうかがったので、当記事でお伝えしよう。

『真・女神転生V』ティザートレーラー

 『真・女神転生V』(以下、『V』)については、まずは上のティザートレーラーをご覧いただきたい。よく見ると、気になるキーワードやスポットがいくつか出てくるが、これについて山井氏はこう語った。

 山井氏「たとえば“Shekinah Glory”というのは、直訳すると“神の奇跡”。これらのキーワードでいろいろと想像を膨らませていただき、実際に皆さんがゲームを遊ばれたときに、その本当の意味を感じてもらえたらと思います。砂漠化しているような都会の道路標識を見ると、この場所はどのあたりだろう……と見当がつくかもしれませんし、品川駅の人通りもよく見ると、“京都へ”と書かれた看板などが目に入ると思います(笑)。品川は、通勤・通学や観光の要衝で、さまざまな世代や国の人が利用する、いまの東京がよく表れているスポットのひとつ。もちろん、本作の物語にも絡みます。どのシーンにも何かしらの意味を込めていますので、ぜひじっくりとご覧になってみてください」※出典:週刊ファミ通2017年11月9日号

アトラス 山井一千氏
『真・女神転生』シリーズプロデューサー。これまでに、『真・女神転生III -NOCTURNE(ノクターン)マニアクス』、『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズ、『真・女神転生IV』のディレクターを歴任。『真・女神転生IV FINAL』ではプロデューサーを務め、『真・女神転生V』でも開発現場を統括している。

 ティザートレーラーでは、冒頭にUnreal Engineのロゴが表示されるが、これも『V』の開発に欠かせないポイントだ。

 山井氏「弊社として初めて、このパワフルなゲームエンジンを採用しています。昔は、開発機材で作ったものを、実際のゲーム画面としてコンバート(出力)するまでに時間が掛かったので、そのあいだに食事に出掛けたり、帰ってきたら失敗していたので再度コンバートするために徹夜をしたこともありました。それが、Unreal Engineを使うと1分も経たないうちに出力されるので、ゲームを作る環境がガラリと変わりましたね。作ったものをすぐにゲーム画面で確認できるぶん、アイデアを練ったり試行錯誤する時間が多く取れるようになりましたから。さらに、僕たちならではのアレンジができる懐の深さも持っているエンジンなので、導入して本当によかったです」※出典:週刊ファミ通2017年11月9日号

 こう聞くと、開発はさぞかし順調なのだろうと思えるが、今月某日に行われた本作の成功祈願に同行させてもらった際、山井氏はこんな近況を話してくれた。

 山井氏「じつは昨年末あたりから、開発チーム内でPCのクラッシュが続発しまして……。まるで“魔が通った”かのように、フロアの奥のほうから順番に発生したんです。体調不良を訴えるスタッフが続出したのもこの時期でしたね。物理的な原因や偶然もあるのでしょうが、我々は神や悪魔が登場するゲームを作っているものですから、信心深いスタッフからは「山井さん、これはそろそろお払いに行ったほうが良くないですか?」と心配する声も上がりました。もともと『メガテン』は、第1作(スーパーファミコンで発売された『真・女神転生』)のときから、この鬼子母神堂で成功祈願をさせていただいていて、シリーズにとって由緒ある場所なんです。ちょうど、開発チームを構成するスタッフもほぼ揃ってきたので、「このメンバーで作らせていただきます」というご報告も兼ねて、ここで祈願させていただきました

東京・池袋から程近い、雑司ヶ谷にある鬼子母神堂。開発チームや関係者が集まり、厳かな雰囲気の中で『V』の成功祈願が執り行われた。

 スタッフが揃ったということは、開発がいよいよ本格化しているということか。気になる進捗や、ゲームの内容について聞いてみると……