THQ Nordicが、子会社のSALEM einhundertste Holdingを通じ、オープンワールドアクション『セインツロウ』シリーズなどで知られるパブリッシャーのDeep Silverを傘下に持つKoch Mediaグループを総額1億2100万ユーロ(約161億円)相当で買収することを発表した。
THQ Nordicは、北欧系のパブリッシャーだったNordic Gamesが、経営破綻した旧THQのブランド権を入手して改組したもの。一方、Deep Silverも『セインツロウ』やFPS『Metro』および『ホームフロント』といった旧THQ系のIPを持っており、今回の買収は旧THQ系の権利の一部再統合(※)という側面もある。(※追記:各社に散らばった旧THQのIPにはそのほか、現セガ傘下のスタジオRelicのものや、2K Gamesが持つWWEのプロレスゲームの権利、ユービーアイソフトが持つアニメ『サウスパーク』のゲームの権利などがある)
またDeep Silverは、同社が躍進するきっかけとなったゾンビサバイバルアクション『デッドアイランド』シリーズの権利を有しているほか、『セインツロウ』のスタジオであるVolition、かつて『タイムスプリッター』シリーズなどを手掛けた名門Dambuster Studios(旧Free Radical Design/Crytek UK)といったスタジオを所有。どちらのスタジオもAAA(超大作)級の新作を開発中とのことで、THQ Nordicのタイトルラインアップは急激に膨れ上がることになる。
さらにDeep Silverは日本製ゲームの海外配給を行うパブリッシングパートナーとなることも多く、直近では『龍が如く 極』や『ペルソナ5』などのユーロ圏でのパブリッシャーになっているほか、『シェンムーIII』ではグローバル・パブリッシング契約を締結している。
こうした買収で気になるのが部署の統廃合などによる既存プロジェクトへの影響だが、公開されている投資家向け資料に従えば、少なくとも当面はTHQ NordicとDeep Silverがそれぞれ独立した形でそれぞれの計画を遂行していくことになる模様だ。