Nintendo Switch版『スカイリム』をオススメする理由
2018年2月1日、ベセスダ・ソフトワークスからNintendo Switch向けに『The Elder Scrolls V: Skyrim(ザ エルダースクロールズ V: スカイリム)』(以下、『スカイリム』)が発売された。発売から1週間が経ち、すでに深淵なる冒険を楽しんでいる人も多いだろう。筆者も遅まきながらプレイを進めているが、このおもしろさをまだ知らない人がいたらもったいない! 迷っているならその背中を押したい! そう確信したので、プレイインプレッションの形で、本作の魅力をお届けしたいと思う。
Nintendo Switchで『スカイリム』が出たこと。その意義は、なんといってもNintendo Switchの携帯性の高さにある。携帯モードやテーブルモードで、好きなときに好きな場所でスカイリムを冒険できるのは、全『スカイリム』ファンにとって喜ばしいことのはず。まあ、いつでもプレイができるというのは、本作のようなオープンワールドの作品にはうってつけなのは、言うまでもない。
もうひとつは、Nintendo SwitchのJoy-Conによるプレイだ。剣や盾を振るう動作、弓矢で相手を狙い撃つ動作を、実際にJoy-Conを動かして操作するのは、ことのほか楽しい。Joy-Conを持ち上げれば盾を構え、振れば手持ちの武器で近接攻撃する。魔法や呪文を出すときも、Joy-Conで照準を合わせられる。特に、弓で狙いを付けてから矢を放つまでの一連の行動は、Joy-Conでの所作とぴったり合う。的を直感的に狙いやすいのだ。これだけでもNintendo Switch版で体験してほしいと思えるほど、ちょっとした感動を覚えた。あくまでメインとは言えないが、Joy-Conでのプレイはかなり新鮮で、本作の魅力のひとつと言えるだろう。
世界中で熱狂的なファンを生んだ『スカイリム』
そもそも『スカイリム』は、その自由度と完成度の高さで世界中にファンを持つオープンワールドアクションRPG『ザ エルダースクロールズ』シリーズの最新作だ。このシリーズを語り始めると1冊の本になるくらいになので詳細は割愛するが、タムリエル大陸という世界に存在する各地域(国)を舞台にした物語を描くシリーズで、今回の『スカイリム』は、タムリエルの北部に位置するスカイリムという地域が舞台となっている。『スカイリム』は2011年にプレイステーション3とXbox 360、PCで発売され、すぐに全世界で1000万本を超える大ヒットを記録。2016年にはプレイステーション4、Xbox One、PCと、現行機向けにHDリマスターされた『Special Edition』が発売され、グラフィックなどが全面的に刷新されたことで、新たな息吹を吹き込まれたスカイリムの世界に、さらに多くのプレイヤーが虜になった(Nintendo Switch版の収録コンテンツは『Special Edition』と同等になっている)。ネットで検索すれば、国内だけでも大量のサイトがヒットするように、プレイヤーそれぞれが自分の冒険譚を披露し、共有し、さまざまな議論を重ねた。シングルプレイ専用のタイトルにも関わらず、だ。
なぜなら、このゲームは「誰にでもなれる、何でもできる」から。まず、プレイヤーは自分の分身たる主人公の種族を決めることになるのだが、ここからもう深くて広い世界が始まっている。トカゲのようなアルゴニアンなら水中で呼吸できて、疾病にも耐性があるので、探索に向いている。魔術を極めたいなら、マジカ(魔力)が初期から高いハイエルフがいいかもしれない。スカイリムで勢力を持つ人間種であり、強烈な近接攻撃を得意とするノルドは、比較的初心者でも扱いやすいバランス型だ。プレイスタイルを見越して種族を選ぶのもいいが、純粋にネコが好きだから見た目でカジートを選んでも、プレイに支障をきたすことはない(種族的な対立のせいで、ある種族を忌避するNPCがいることはあるが)。重要なのは、その後、スカイリムの大地に降り立ったときから始まる冒険だ。
プレイヤーにはドラゴンの言葉を解し、その力“ドラゴン・シャウト”を使える能力がある。スカイリムにとって大きな脅威である太古のドラゴンに立ち向かい、タムリエルに平穏をもたらす。それが、プレイヤーの目的となる。が、これはあくまで目的であり、そこに至る過程はプレイヤーの手に委ねられている。言ってしまえば、ドラゴンを倒さなくてもいい(倒した後でも“人生”は続くし)。盗賊となってギルドを牽引したり、魔法大学で魔術を研ぎ澄ましたり、暗殺者として暗躍したり、傭兵となって報酬を手にしたり、冒険家のように遺跡や洞窟を探検したり……結婚だってできてしまう。犯罪を重ねれば、衛兵に追われ、住人が恐れおののいて情報収集もままならなくなることすらある。反乱軍に参加して、スカイリムを統べる帝国軍に対抗するのもアリだ(となれば、帝国軍として反乱軍を倒すことも可能ということ)。とにかく、こういったロールプレイの例は枚挙に暇がない。
何が言いたいのかというと、プレイヤーがこのゲームで選べる人生の選択肢は膨大で、「プレイヤーの数だけ物語がある」というフレーズが真実であることを示してくれるRPGが、この『スカイリム』ということだ。それだけに、とにかくプレイ時間が長くなりがち。ぶっちゃけると、本気で止め時が見つからない。移動しているだけでも何かしら見つかったり、出会ったり、事件が起こるからだ。ここでモノを言うのが、前述した“携帯性の高さ”。携帯モードのおかげでどこでも遊べるのだから、手を止められなくなるのも仕方がない。リビングのテレビを長時間占領するのが難しければ、さっとドックから本体を持ち出して、自分の部屋なりトイレなりでコツコツと進めればいい。グラフィックに関しても問題はなく、スクリーンに広がるスカイリムの美しい大地を十分に闊歩できることは間違いない。