2018年1月27日に配信された“デジモンゲームコミュ”の公式生放送、“関係者に聞く!”特別版のリポートをお届け。

 2018年1月27日、『デジモン』ゲームファンに向けたコミュニティ“デジモンゲームコミュ”の公式生放送にて、コミュニティのインタビューコーナー“関係者に聞く!”の特別版が配信された。

 番組は3部構成となっており、MCは作家の渡辺浩弐氏と、最新作『デジモンストーリー サイバースルゥース ハッカーズメモリー』プロデューサーの羽生和正氏が担当。それぞれの部ごとに多彩なゲストを迎え、“デジモン20周年”をテーマにアニメやマンガ、『デジモン』の未来について語り合った。本記事ではそんな生放送の模様をリポートしていきたい。

ニコニコ生放送 タイムシフト視聴ページ
http://live.nicovideo.jp/gate/lv310302013
Youtube視聴ページ
https://www.youtube.com/watch?v=qkRlNDXXHpI

『デジモン』はこうして始まった

 第1部のゲストは、『デジタルモンスター』シリーズのメインデザイナーである渡辺けんじ氏、『デジモンアドベンチャー』シリーズのディレクターの角銅博之氏、元『デジモン』開発担当で現在は声優を務めるボルケーノ太田氏。“液晶ゲームからアニメ化までの世界観の広がりとその創作について”をテーマに、さまざまなエピソードを語ってくれた。

 『デジモン』の始まりは液晶ゲームだったが、もともとは“男の子向けのたまごっちを作ろう”というコンセプトからスタートしたものだったという。独特のキャラクタービジュアルは、子どもたちが憧れを抱くようなカッコよくて怖いもの、恐竜や怪獣を飼いたいという欲求を満たしてあげたいという思いと、当時、渡辺けんじ氏が好きだったアメコミを“子供向けに落とし込むとどうなるだろう”という発想から生まれたのだそうだ。また、『デジモン』の大もととなる世界設定は、玩具の企画・開発を手掛けるメーカーであるウィズの北川原真氏の影響を色濃く受けたものとのこと。

 新しいデジモンを考える際にどんなところを大切にするのかというユーザーからの質問に対しては「シルエットをいちばん意識している。キャラクターが並んだときにそれぞれが違って見えるようにしている」と渡辺氏は語る。ただし、1000体以上描いているため、似たような形があっても許してほしいと付け加えていた。

 たまごっちが成長していくのに対してデジモンは進化をしていくが、これは世代が変わり明確に強くなったことをわかりやすくするためとのこと。進化のデザインに関して、「人型やメカになりがちなのではないか」というユーザーからの質問には、「強化されたという意味合いとデジタル感を表現するためにメカ化することも多い。ただ、完全にロボットにしたくないという思いがあり、関節部分はラバーで覆ったり、目玉の部分はしっかり描いている」と回答。加えて太田氏は「ワーガルルモンがメタルガルルモンみたいに四つん這いになったりもするし、マメモンみたいな変化球もある。人型になりがちに見える部分もあるが、そうじゃないパターンもすごくたくさんあると思っています」と語った。

 『デジモンペンデュラム』や『デジモンワールド』で広がった世界観をより深めていくことになった1999年のアニメ『デジモンアドベンチャー』については、「もともとは『デジモン島漂流記』もしくは『デジモン島冒険記』といったタイトルで、登場するキャラクターも4~5人だった」と角銅氏。1998年8月に企画がスタートし、秋にいたるまでに内容を細かく詰めていったという。

『デジモンアドベンチャー』の舞台、ファイル島の初期設定。

 最初に“進化”というキーワードがあり、それをどう説得力ある形でバックボーンにするかという中で、人間のキャラクターもバリエーションが増やしたほうがいろいろな関わり方を描けるため、7人+ひとりの8人が決定。また、作中では語られていないが、“人間の進化の可能性が異世界に分離した世界”という構造になっており、みずからの可能性であるパートナーと出会うことで、人類全体がつぎの段階へと進化していくというテーマになっていたとのこと。

 また、アニメ化にあたり、商品化側から「この設定は守ってほしい」という話はなかったのかというエピソードでは、太田氏は「アグモンやガブモンが進化した後は、ずっと進化しっぱなしにしてほしい」と提案したと回答。これに渡辺氏も同調し、企画・開発サイドは全員そう思っていたと主張。しかし、当時の角銅氏は大きさも変わるし、連れて歩けないので元に戻すようにさせてほしいとお願いしたそうだ。その代わり「毎回進化シーンを入れられる。進化は変身であり合体シーンでもある」とバトルでの見せ場を強く提案し、結果的に双方が納得する形になったのだそうだ。

 そのほか、ボルケーノ太田氏が声優になるまでの思い出話が語られたほか、『デジモンペンデュラム』復刻版や『超進化魂』の新たなシリーズを紹介して第1部は終了となった。

ロゴの初期案の一部。
各キャラクターのシリーズ最後の状態を記したもの。

『デジモンテイマーズ』の裏話

 第2部は第1部に引き続き角銅博之氏と、新たにアニメ『デジモンテイマーズ』でシリーズ構成を務めた小中千昭氏をゲストに迎えて再開。“誕生20周年を迎え進化するデジタルとデジモン”について、さまざまな意見が交わされた。

 最初は『デジモンテイマーズ』の作り込まれた深い設定について解説し、現在のネット事情にも言及。『テイマーズ』はデジタルワールドという異世界ではなく、現実のネットをモチーフにしたもの。当時の小中氏は、「インターネットってこれからどうなるのだろう」と期待に溢れていて、すごい変革が起きるのではないかと思っていたようだったが、「人がスマホを持っているのが違うだけで、20年経ってもあまり変わっていなかった」と感想を述べた。話を詳しく聞くと「ネットで生まれた知性体のようなものが本当に出てくるのではないかと期待していた」とのこと。コンピューターのCPUも期待以上の発展は遂げていないということもあって、残念そうな口調で話してくれた。

 もともと角銅氏と小中氏はアニメ『serial experiments lain(シリアル エクスペリエンツ レイン)』に参加しており、この『lain』という作品から得たデジタルネットワークと人間の進化の可能性の着想を、デジタルモンスターと組み合わせて生み出されたのが『デジモンアドベンチャー』とのことだった。

 また、『テイマーズ』は企画の段階では『デジモンアドベンチャーEVO』というタイトルだったが、セガサターンの『デジタルモンスターVer.S ~デジモンテイマーズ~』というゲームから現状の形に命名。EVOというキーワードは挿入歌のタイトルとして残っているという。

 『テイマーズ』では『デジモンアドベンチャー』とは打って変わり、8話でようやくギルモンが進化する点について小中氏は「進化をするならイベントのようにクライマックスにしたいし、1回進化してすぐに戻るのは都合がよすぎる」と当時の心境を明かした。アニメの中でリアリティーを追求するのは矛盾していると言いながらも、そういったリアルさにこだわりがあったと語ってくれた。なお、当時の子どもたちがどう思っていたのか気にしていたが、Blu-rayが出るときに好意的な意見が多くて安心したようだった。

 その後は『テイマーズ』の死生観などについて意見を述べたあと、ユーザーからの質問にも回答。「ファン投票で選ばれた1位のエピソードは『つながる心 復活のベルゼブモン』でしたが、小中さん的にはどのエピソードでしたか?」という質問に、「2007年のDVDボックス発売時は41話と答えたが、いまはとなっては1本は選べない」と心情の変化を吐露。自分が関わるすべてのエピソードがかけがえのないものになっていると語った。

開発秘話からSF論まで飛び出た第3部

 第3部のゲストは渡辺けんじ氏、角銅博之氏、ボルケーノ太田氏、小中千昭氏という全員集合のメンツ。“ハカメモ裏話+デジモンゲームの展望について”というテーマで話す予定だったそうだが、基本的にノープランということでさまざまな話が飛び出した。

 まずはMCの羽生和正氏が『デジモンストーリーサイバースルゥース ハッカーズメモリー』の誕生秘話を披露。本作の世界観を詳しく解説し、『デジモン』とオカルトの親和性の高さをアツく語ってくれた。これには太田氏も賛同。あくまで自分の考えだが「子どものころに4次元という別の世界の存在が流行ったが、このような考えを人間はつねに抱いている。それをデジタル的な表現で見せたのが『デジモン』というものなのだろう」と持論を述べた。小中氏も「デジモン自体がいろいろな宗教観がベースになっていて、それを統合できてしまっている。オカルトというのも納得できる」と得心した様子を見せていた。

 さらに話は『惑星ソラリス』のソラリスの海やサイバーパンクのトレンドにまで波及。各人のデジモンに関する考えを話してくれた。「『デジモン』はSF論を広げようとするとすごくおもしろい。デジタルゆえのキャラクターだけに時代合わせの価値観に変化していける」とは羽生氏。渡辺けんじ氏も「この小さな液晶のドット絵のゲームから、ここまでみんながあーだこーだと20年も言えるものはなかなかない」と感想を述べていた。

 おつぎはユーザーからの質問に羽生氏が回答。「元ジュードの3人の年齢はいくつですか?」との質問には「真田アラタは設定的に19歳くらい、フーディエメンバーの千歳と龍司は22歳くらい」と回答。また、「主人公だけしゃべらないのはなぜか?」という質問には「チームの中での役割分担というドラマを描くうえでキャラクター性をよりしっかりと描いていきたかったから」など、いくつかの質問に手早く返答。ボルケーノ太田氏や渡辺けんじ氏も質問に回答し、観客の笑いを誘っていた。

 そして、約3時間の番組はついにクライマックス。最後は全員からひと言のメッセージでシメることとなった。小中氏は「17年も前の作品にいまだに血が流れているのはうれしい! Blu-rayボックスをよろしくお願いいたします(笑)」、角銅氏は「こういう機会を設けていただいたおかげで、20年近く経ってからお互いに初めて知る事実というのが出てきて驚きました。ありがたいです。またこういった場でびっくりできればと思います」、渡辺けんじ氏は「今回はざっくばらんとした感じで非常に楽しかったなと。難しい話もいっぱいあったが、おもしろいからつぎもやりましょう」、太田氏は「『デジモン』をずっと好きでくださってありがとうございます、としか言いようがないです。そういう気持ちがある限り、羽生さんみたいな人が『デジモン』をつぎの世代へとつなげてくれると思うので、引き続きよろしくお願いいたします」と各人感謝を述べた。トリは羽生氏が引き受け、「来年は『デジモンアドベンチャー』が20周年という形で引き続き盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします」と来年への意欲を大いに語って番組は幕を閉じた。

 なお、年末年始のリツイートキャンペーンで10000RT達成したことで配信デジモンがアポカリモンに決定。2018年2月中旬に配信予定となっていることも発表された。