Blizzard Entertainmentのアクションシューテイング『オーバーウォッチ』の国際プロリーグ“オーバーウォッチ リーグ”。その開幕初週の会場として使われた“Blizzard Arena”の舞台裏に潜入してきたので、フォトリポートをお届けしよう。

あのBlizzardのeスポーツイベント施設“Blizzard Arena”の裏側に潜入! プロスポーツ並みの放送設備に本気度の高さを感じた【OWL】_02
あのBlizzardのeスポーツイベント施設“Blizzard Arena”の裏側に潜入! プロスポーツ並みの放送設備に本気度の高さを感じた【OWL】_03

 Blizzard Arenaがあるのは、カリフォルニア州バーバンク。ロサンゼルス郡の北に属するバーバンクは、ハリウッドの映画・テレビ産業の延長にある街で、かの有名な“HOLLYWOOD”の看板の向こう側に行ったところにある。ちなみにロサンゼルスの南東にあるアーバインのBlizzard本社からはクルマで1時間ほどだ。

 周辺はワーナー・ブラザース系列の撮影スタジオなどが並ぶ界隈で、Blizzard Arenaが入っている建物は、もともと米大手テレビ局NBCの収録スタジオだった場所。現在はThe Burbank Studiosという複合スタジオ施設となっている巨大な敷地の一角を改装してアリーナ仕立てにしているのだが、裏手に入ると今でもスタジオとして使われていたりする。

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Blizzard Arenaが入っている建物は、元々は米テレビ局NBCのスタジオ。なので裏手に入ってみると、今でもそんな感じに使われている。

 実はBlizzard Arenaは『オーバーウォッチ』専用というわけではなく、古くはリアルタイムストラテジーゲーム『スタークラフト』シリーズや、直近ではオンラインカードゲーム『ハースストーン』、MOBA『Heroes of the Storm』など、競技性の高い対戦ゲームを数多く抱える同社の公式イベント施設という扱い。なので『ハースストーン』の大会なども行えるようになっている。

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スタンド席への入り口部分のデジタルサイネージ。『オーバーウォッチ』専用というわけではないので、例えば『ハースストーン』のイベントの時などはそれに合わせて内容が変わるそう。

 とはいえ訪れた時はもちろん『オーバーウォッチ』一色。入り口から入ると『オーバーウォッチ』グッズ満載の物販が出迎えてくれる。各チームにフランチャイズ都市が設定されているなど、オーバーウォッチ リーグはプロスポーツリーグのような方向性を目指しており、キャップやチームユニフォームといったスポーツ系でおなじみのチームグッズが多めなのもちょっと変わったところ。

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入り口には物販が。
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基本的にはその日に試合するチームのグッズが並ぶが、レジで出場していないチームのものを買うこともできる。
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99ドルだがゲームグッズとしてはそこそこ出来が良い感じだったジャケット。ボタンなども『オーバーウォッチ』のアイコンになってたり。

 スタジオ内の客席はアリーナ席とスタンド席で構成されていて、合計450席。正面には選手が戦うステージと、それを少し覆うような形で巨大スクリーンが設置されていて、スタンド席後方からでも結構何が起こっているかがわかるのが嬉しいところ。それでもまだ細かい表示は読みづらかったりするが、ゲーム画面に加えて表示を拡張することで対応している。

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ステージを少し包むように巨大スクリーンが立ちはだかり、アリーナの頭上にはリング(これも光る)が吊ってある。
(この写真のみ公式素材)

 例えば今回のリーグでは、中央のメイン画面の両脇に、それぞれの選手が選択中のヒーロー、そして残り体力やアルティメットのチャージ具合などをどデカく表示。倒されたヒーローは暗転するし、復活までのメーターまでリアルタイムに反映される。Blizzardの自社タイトルだからできる芸当とも言えそうだが、こういう“大会のディスプレイ用にデータを吐き出せる”仕組みを用意しておくのは、業界内でもっと広まってほしいところだ。

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ちなみにゲーム画面の両脇には各選手のキャラが表示されており、アルティメットの溜まり具合や復活までの時間なども表示される。ゲームにその手のデータを出力する仕組みを組み込んであるんだと思うが、わかりやすくていい感じ。

 大会進行中にも関わらずステージ裏も見せてもらったのだが、面白かったのは選手が使用するPCについて、データ部分のハードドライブを大会側で一括管理していたこと。SSDが全選手分用意してあって、試合の入れ替えの合間にスタッフが差し替えるという方式で、こうすることによって不正防止とプロ選手だからこそこだわりたい個々の設定の保持を両立しつつ、スピーディーな入れ替えを実現しているようだ。

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実は大スクリーンの裏側はこんな感じ。1万3000ピクセルのワイドモニターとして出力しているとか。
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選手が使用するPCのハードドライブは大会側で一括管理。試合間に入れ替えておいて、選手はマウス&キーボードなどだけを持ってきて設置する。

 Blizzard Arenaはオフラインイベントのための施設というだけでなく、それを世界に発信するための発信基地も兼ねており、放送設備もかなりゴージャス(スタジオを選んだのも、機材のためのケーブルの取り回しなどが楽だからなんじゃないかと思う)。

 10人の選手のゲーム映像と表情を捉えるWebカメラ、ステージを動き回るカメラに、スタンド席から捉える俯瞰カメラ、アリーナ席の後方には番組進行と試合間の解説などを収録するミニステージもあって、試合中の実況を収録する部屋はさらに別。相当な数の映像・音声ソースをミキシングして、番組として公式サイトほか、配信パートナーのTwitchやMLGなどに送出している。

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映像のコントロールルーム。
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スタンド席にもカメラマンが。
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アリーナ後方では、試合間の番組進行&解説を生収録。
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こちらは試合中の音声のみの実況解説をするShoutcaster(シャウトキャスター)用の部屋。

 またスタジオ部分には、観戦者機能を使ってゲーム内カメラを切り替えながら中継に使える映像を撮影する“オブザーバー”班や、リプレイ映像を必要な時にすぐに取り出すための“EVS”と呼ばれる班のための部屋も用意されていて、機材が山のように積まれている。

 このリーグはビジネス的に始まったため、ホーム/アウェイ制はおろか、フランチャイズ制自体がまだうまく機能していなかったり(フランチャイズ都市に行ったことがない選手がいたり、その国の選手すらいないチームがあったりするんだから当然だ)、果たして長期にわたるリーグに各チームや視聴者がどこまでついていけるのかといった問題はある。それでも、オフライン/オンラインの大会視聴体験をプロスポーツ並みのものにしていこうという志は、アリーナのいたるところからしっかりと感じられた。

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こちらは観戦者機能を使って試合中の映像を取り込むためのオブザーバールーム。
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こちらはリプレイ用の画像などをすぐ引っ張り出すための“EVS”と呼ばれているシステムのための部屋。
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試合中に使わなかったものも含め、あらゆる映像を保存。「このシーンのあの選手のアングルある?」といった時にすぐに呼び出せるようになっている。
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選手のインタビュー映像などを収録するスペースも。