2017年12月2日、ディファ有明にて、『アトリエ』シリーズ20周年を祝う記念すべきイベント“アトリエ20周年フェスティバル”が開催された。当日は歴代シリーズの主人公を演じたキャストや、キャラクターデザインを手掛けたイラストレーター、アーティストなど、ゲストが多数出演。昼の部と夜の部の2回に分けて行われ、時空を超えた朗読劇や、伝説の番組『たるラジ』の復活など、20周年を飾るにふさわしい企画が満載の豪華なイベントとなっていた。本稿では、そんなイベントの“昼の部”の模様をリポートする。
昼の部 出演者(敬称略)
キャスト
・池澤春菜(マルローネ役)
・門脇舞以(ロロライナ・フリクセル役)
・名塚佳織(トトゥーリア・ヘルモルト役)
・明坂聡美(メルルリンス・レーデ・アールズ役)
・相坂優歌(ソフィー・ノイエンミュラー役)
・本渡 楓(フィリス・ミストルート役)
・長縄まりあ(リディー・マーレン役)
・赤尾ひかる(スール・マーレン役)
スペシャルゲスト(『アトリエオンライン ~ブレセイルの錬金術士~』より)
・花守ゆみり(主人公(女性)役)
・日岡なつみ(アニスヒソップ役)
イラストレーター
・岸田メル
・左
・ゆーげん
・NOCO
アーティスト
・南壽あさ子
・riya(eufonius)
・井上忠信(『アトリエ』シリーズ エグゼクティブプロデューサー)
歴代作品が時空を超えて共演! あの伝説の番組も復活!?
グッズ販売も行われていたこともあり、イベント開始前から多くの『アトリエ』シリーズファンが押し寄せた今回のイベント。開演前のアナウンスでは『アーランド』シリーズのロロナ、トトリ、メルルによる掛け合いが放送され、ロロナが会場に飲食物や撮影道具を持ち込もうとして、弟子に注意されるなど、微笑ましい演出に観客たちからは笑みがこぼれていた。
そして開始時間になると、ステージ中央の巨大スクリーンに『マリーのアトリエ』のオープニング映像が流され、いよいよイベントがスタート! 『マリーのアトリエ』のエンデルク役などでお馴染み、小杉十郎太さんによるナレーションのもと出演者の紹介が行われ、出演者がひとりずつステージに登壇。出演者全員で「アトリエ20周年フェスティバル!」と叫ぶと、会場からは大きな拍手が起こった。
オープニング後は、そのまま朗読劇“時空を超えた贈り物”へ。物語の朗読劇の始まりとなる舞台は、マリーのアトリエ。そこで卒業試験真っただ中のマリーは、新たなアイテム調合に挑戦すべく、部屋中のものをひっくり返してさまざまなアイテムを窯に投入していた。そして、懐かしのアイテム“世界に笑顔を”をアレンジして作ろうとしたところで、本棚がひっくり返り、“時の石版”などよくわからないものがつぎつぎと窯の中へ。これは爆発か! ……と思いきや何も起こらず、調合に失敗したマリーは意気消沈しながら部屋の掃除をすることに。ところが、じつは窯の中ではあるアイテムが調合されており、そのアイテムは突然姿を消してしまう……。
場所は変わり、舞台はアールズのメルルのアトリエへ。ここでは、『メルルのアトリエ』で子どもの姿になってしまったが、無事に大人へと戻ったロロナ、そしてトトリとメルルが、アイテムの調合を行っていた。ロロナは以前“若返りの薬”でひどい目にあったにもかかわらず、再びアンチエイジングのために薬を調合し、弟子のトトリにこっぴどく叱られてしまう。そんなとき、以前ドラマCDに登場した旅の絵師・ルーメル(岸田メル氏)がアトリエを訪問! ルーメルは“アメの入った、動く不思議なビン”をロロナたちに渡し、嵐のごとく去っていってしまう。
そして、アメを舐めてみたロロナたちは突然頭が冴えだし、再び調合へ。メルルは素直になってしまう“ピュアトリフ”に成分を似せたキノコ、トトリはかわいい(?)“生きてる魚の目玉人形”、ロロナは若返りの薬を使った“アンチエイジングパイ”と、ひと癖もふた癖もあるものを調合。ピュアトリフ(仮)を食べたロロナとトトリが、お互いに「大好き」、「かわいい」と言い合うシーンに会場からは歓声が上がる中、お礼を求めてきたビンに、3人が調合したアイテムを入れると、ビンは突然姿を消してしまう。
ここで、朗読劇はいったん終了。続いて行われたのは、なんと『マリーのアトリエ』からのファンのあいだでは伝説となっているラジオ番組を復活させた、“「たるラジ」~一日限りの復活版~”だ。ここでは池澤さん、岸田氏をMCに、門脇さん、名塚さん、明坂さん、左氏、井上氏が登壇し、番組ではお馴染みだったコーナーを実施。最初に行われた、コーナー“酒場の張り紙”では、事前に募集した『アトリエ』シリーズにまつわるうわさや出演者への質問が紹介され、うわさの真偽を出演者が語ってくれた。
ひとつ目のうわさは、「“たる”というパワーワードは偶然生まれた」という、ファンにとってはさっそく気になるもの。これに対しては、長くシリーズに携わってきた井上氏が、アイテムの前でセリフを言う仕様にするため、テストとしてたまたま置いてあったたるにセリフを入れるようにしたと、意外な事実を告白。テストのため、製品版では「たる」というセリフを入れるつもりはなかったが、池澤さんの「たる」がかわいかったため、結果的に採用されたとのことだ。すると、ここで岸田氏が池澤さんに「たる」をリクエスト。久々のため池澤さんは緊張しつつも、生の「たる」に会場は大いに盛り上がった。しかし、これに味を占めたのか、岸田氏はほかのキャスト陣にも「たる」のセリフをリクエスト。さらに、左氏と井上氏にも無茶ぶりをし、両氏がこれに渋々応えると会場からは再び大きな拍手が上がった。
さらに、ふたつ目のうわさ『アトリエ』シリーズのBGM曲数については、1作品で60~200以上の曲が作られているという事実が明かされた。続く質問「どの攻撃アイテムを作りたいですか? 攻撃したい対象は何ですか?」では、先程無茶ぶりをされた左氏が、攻撃したい対象として岸田氏を指名するなど、思わず笑ってしまうようなやり取りが展開された。そして、コーナーの最後には、なんとイベントのオープニングでナレーションを担当した小杉十郎太さんからビデオメッセージが。小杉さんは「これからもアトリエシリーズを大いに楽しんでいただいて、これからの若者にもアトリエシリーズの楽しさを伝えてもらえたら」とファンに向けて語った。
つぎは、番組でも大人気だったコーナー“今週の調合”。ファンから材料のアイデアを出してもらい、錬金窯(ミキサー)で混ぜて、ドリンクを調合するというコーナーだ。できあがったドリンクは偉い人が飲むのだが、これまでに飲んだ人の中には、消息を絶った人、つぎの日に会社を休んだ人がいたとかいなかったとか……。とにかく危険なコーナーだ。
今回は、出演者がランダムに引いたカードに記載されている材料を窯に投入。使われた材料の内訳は、栄養ドリンク、豆腐、おでんの大根、コロッケ。明らかに組み合わせてはいけないものたちが窯に入っていき、さらに池澤さんは「水分が足りない」と、おでんの出汁を追加投入してしまった。
会場に不穏な空気が立ち込める中、できあがったのは、強烈な臭いを放つドリンク。偉い人が飲むということで、まずは井上氏が先陣を切って飲むが、なんと井上氏からは「まずい」という言葉が出てこないという予想外の展開に。
しかし左氏、岸田氏も続いて飲むと、岸田氏は悶絶しながら「食道を上がってくるアレです」と答え、観客を笑わせた。そしてドリンク名については、かつてコーナーの中で付けられたドリンク名をもじって“アフタヌーンスメル・おえっ”と命名。会場は笑いに包まれた。そして、井上氏からの「これを支えてきたのはファンの皆さんなので、心からありがとうございますと言わせてください」という言葉で、復活した伝説の番組は幕を閉じた。
『リディー&スールのアトリエ』と『アトリエ オンライン』を紹介! 会場限定の特別映像も
“アフタヌーンスメル・おえっ”の残り香がステージに漂う中、つぎに行われたのは、まもなく発売される『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』の紹介コーナー。ここでは、双子を意識したコーディネートの長縄さん、赤尾さんがMCを務め、ゆーげん氏、NOCO氏、riya(eufonius)さんをゲストに迎え、本作の概要などを改めて紹介。本作のアバンムービーが発売に先駆けて公開されたほか、本作のさまざまなシーンが垣間見られる、会場限定となる特別な映像も流された。
また、MCのふたりがゲストに質問する場面も。キャラクターデザインを手掛けたゆーげん氏、NOCO氏に、双子の主人公のデザインについて尋ねると、ゆーげん氏は「ふたりで双子をデザインしたことで、似通らなくても雰囲気は似た、不思議なデザインができあがった」と答えた。また楽曲についてriya(eufonius)さんに質問すると、オープニングテーマ『クローマ』はriya(eufonius)さんとCeuiさんがデュエットで歌っているが、それぞれのパートで分けても、ひとつの曲として成立しているという興味深い情報も聞くことができた。
続いて行われた『アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~』紹介コーナーでは、花守さん、日岡さんが特別ゲスト兼MCとして登場。本作のキャラクターが身に着けるアカデミーの制服をまとったふたりによって、ゲーム内容の紹介が行われた。さらに、ここでは主人公(女性)とアニスヒソップを紹介する映像も公開。事前登録20万人突破で“ロロナ”がもらえるという情報が紹介された際には、日岡さんから「ロロナが出るということは、歴代キャラクターも出るの?」と気になる質問も飛び出したが、ここでは花守さんに「それ以上は言えないぜ!」と止められてしまった。