『ストリートファイターV』の公式世界大会に挑むボンちゃん選手のインタビュー。

 『ストリートファイターV』を中心に活躍するレッドブルアスリートのプロゲーマー・ボンちゃん選手。ファミ通.comでは、フランスの“Red Bull Kumite 2017”、アメリカの“EVO2017”など、世界の大型大会に出場するボンちゃん選手の密着取材を続けてきた。

 そんなボンちゃん選手が、今回は現地時間2017年12月9日、10日(最終予選は8日に開催)にアメリカ・アナハイムにて行われる『ストリートファイターV』の公式世界大会“カプコンカップ2017”へ参戦する。この大会は世界ランキング上位者が一同に会し、賞金総額は37万ドル以上にもなる世界最高峰のビッグトーナメントだ。この戦いに挑むボンちゃん選手に試合前の心境を語っていただいた。

ボンちゃん

『ストリートファイターV』で活躍するレッドブルアスリート。2016年シーズンは惜しくもカプコンカップ出場を逃すが、2017年シーズンは早々に出場を確定させる。使用キャラクターをナッシュからかりんに変更し、万全の状態で挑む。

――ついにカプコンカップ本戦になります。これからが本番ではありますが、予選を振り替えってみてどうでしょうか?

ボンちゃん本戦に出場確定になるポイントを獲得できたのが予想以上に早かったので、そこから今日までは長かったですね。

――たしか7月に行われた格闘ゲーム世界大会“EVO2017”の時期よりも早く決まっていたような?

ボンちゃんそうなんですよ。だから今年は本番までやたら時間がかかったなって(笑)。出場が決定したころはナッシュを使っていたんです。でも、ナッシュはけっこうきびしいキャラクターだったので、使用キャラクターをかりんに変えました。本戦出場が早く決まったからかりんを練習する時間が生まれたので、結果として幸いでしたね。

――本戦出場が早かったから、キャラクターを変更する時間もあったわけですね。

ボンちゃんかりんに関しては、使い始めたころから「いけそうだな」っていう感覚はつかめていたので、あとは細かいところをどれだけ詰められるかでした。キャラクターを変えてよかったのか悪かったのかは結果でしか語れない部分なので、本戦では結果を残したいです。

――カプコンカップ本戦が終わったあともかりんを?

ボンちゃんこのバージョンに関しては、かりんはこれで終わりでいいなっていう気持ちですね。ナッシュを使っていたときのほうが、がんばったっていう気持ちが強くて。

――それはナッシュのほうが使用していた期間が長かったからですか?

ボンちゃんそうですね。ナッシュはシーズン1から使っていて、やり尽くした感がすごいあったんですけど、かりんに関してはまだまだやれていないなって思うことも多いから、そういった意味では発展途上ではありますけど、今回はここまででいいなと。でも、キャラクター変更は自分にとっていい変化をつけられたと思ってはいるので、それ自体はよかったですね。

――キャラクターは万全のようですね。そうなると、あとはコンディションの調整はいかがですか? EVO2017のときは体調を崩すというアクシデントがありました。

ボンちゃんコンディションは大丈夫と言うしかないです(笑)。不安がないわけじゃないけど、たぶん大丈夫。今回は準備もしっかりとしていくので。EVO2017のときは対戦相手が強いのもあったし、体調も悪かったので苦戦しましたが、「体調が悪かったから負けた」はプロとしては通らないので。

――さて、カプコンカップ本戦のトーナメント表が発表されました。初戦の相手は世界最強のバイソン使いと目されるSMUG選手。自信のほどはいかがですか?

ボンちゃんナッシュだったらきびしかったですが、今回はかりんにキャラクターを変えたので、「よし、いけるな」とは思っています。キャラクターを変更してよかったなと。

――いくら仕上げてもナッシュだときびしいですか?

ボンちゃんナッシュだと、「こう戦われたらイヤだな」と思えてしまう環境でずっとプレイしないといけないのが現状。ナッシュでは、ぶっちゃけごまかして勝てていた部分もあったんですけど、ここまで来たらもうごまかしは効かないので、キャラクターを変更するべきと考えました。1回戦のSMUGに関しては、情報も多いので、かりんなら自信はあります。

――トーナメント表のボンちゃんのまわりには、日本人が多いですよね。2回戦の相手は、ふ~どさんとももちさんの勝ったほう。3回戦にはEVO2017優勝のきどさんと当たる可能性もあります。

ボンちゃん勝っても負けても、ふ~どくんと、ももちくんのどちらかと戦うことになるんですよね。そういった意味でも、当たりたくない人たちが近いなとは思います。初日はベスト8までが行われて、3回勝ったらウィナーズで残れるんですが、そこの道のりを見ていくと、クジ運は悪いかな~(笑)。

――その面々とベスト8までに当たるのは、キツいですね(笑)。

ボンちゃんじつは前回覇者のNuckleDuが辞退したため、トーナメントの組み合わせが変わってしまったんです。変更前の相手はPHENOMだったのでネカリの対策を一生懸命やっていたんですけど、いちばん当たりたくないときどと近い位置になってしまいました……“ままま”、仕方ないですね(笑)。

――ときどさんの豪鬼対策をしなければいけないと思うのですが、そういった場合はときどさんとは対戦しなくなるものなのでしょうか?

ボンちゃん俺は挑ませてもらっている立場なので、どんどんやりたいんですけど、ときどとすればあまりやる必要はないですよね。でも、彼は「やろう」と言ってくれるので、胸を借りにいっています。

――今回の大会で、もっとも注目している選手は誰ですか?

ボンちゃんいちばんハイレベルでバランスがいいのはときどだと思っています。だからさきほども言ったように、彼と早めに当たるのは運がなかったなと。あとは、やっぱりPUNKが強いなと。過去からプレイ内容がそれほど変わっているわけじゃないんですけど、ずっと高いクオリティーのプレイをキープしているプレイヤーだと思います。今回のカプコンプロツアーのポイントランキングもぶっちぎりで1位ですし。

――PUNKは負けるとニュースになるレベルですしね(笑)。とはいえ、日本人プレイヤーも上位にかなりいますよね。

ボンちゃんそうですね。日本人のプレイヤーのレベルがすごく高くなっていると思います。こういったプロツアーはスポンサーがいないと、旅費などがかかるので参加するのがきびしいじゃないですか。そういった条件があるのに、日本人が本戦にこれだけ残っているのは、すごいなと。

――先日の国内大会“レッドブル・タワー・オブ・プライド”では、ナッシュを使っていましたよね。てっきりかりん使うのかなと思っていました。

ボンちゃんあの大会は予選がかなり特殊なルールになっていたため、事前に俺が使うキャラクターを告知してあげたほうが参加しやすいと思って最初からナッシュを使うと宣言していました。ナッシュは駒のひとつとして持っておきたいというのも、もちろんあります。ただ、決勝トーナメントまで勝ち上がったら、かりんを使うつもりではいました。

――あの1試合だけ限定でナッシュを使ったんですね。

ボンちゃんかりんの仕上がりが悪いわけではないです。むしろ「かりん使いて~」と思っていたくらい(笑)。

――(笑)。話を戻しますが、カプコンカップでぜひ当たってみたい選手はいますか?

ボンちゃん俺が大会で負け続けた相手がいるならリベンジしたいんですけど、今年はそういった相手はいないので……あ、ウメさんがいましたね。ナッシュを使っていたときは大会で2回負けてしまっているので。

――負けた相手には、リベンジをしたいという気持ちがある?

ボンちゃん負けた相手に勝つというのは、もっとも自分の成長が感じられるところですから。それに大会の結果はずっと残るものだから、負けた記録を塗り替えていかないと勝てないイメージがついてしまう。そういった意味では『ストリートファイターIV』のころからウメハラさんには負け続けているから、早く勝たないといけないと思っています。

――カプコンカップは賞金がかなり高額なのです。正直な話、高額賞金は意識するのでしょうか?

ボンちゃん一昨年からカプコンカップの賞金が1500万円(日本円に換算)以上になったんですよ。その年は自分はゲームの腕前にも自信があって、大会に出ても優勝候補になれるくらいの自負はあったんですけど。ただ……一昨年は、その賞金がチラついちゃったんでしょうね(笑)。振り返ってみると、「会場もすごい豪華だったし、賞金も高額だから、なんか緊張してプレイも硬かったな」と思います。賞金というのは、あまり考えないようにはしていますけど、どこかで意識しちゃっているのかもしれません。

――大会で緊張しないために心がけていることはあるんでしょうか?

ボンちゃんそういった質問はよく聞かれますけど、経験に勝るものはないと思っています。どんな小さい大会でもいいから、少しでも緊張しそうな場に身を持っていくことが大事なんじゃないかなと。ふだんから緊張しながら戦うっていうのは無理じゃないですか。家だとリラックスしているし。

――たしかに、自室はいちばんリラックスできる場所ですよね。

ボンちゃん俺、昔麻雀の大会の配信に出ることがあったんですよ。それまでは麻雀の配信に出たことがなかったので、さすがに緊張しそうだなと思ったんです。でも、カメラに緊張しているのを映されたくないじゃないですか。ですから、場数を増やすために、知らない土地の雀荘に行ってひたすら新規で打つっていうことをしていましたよ。

――緊張を克服するのは、場数だと?

ボンちゃん“人に見られる”ということは、プレイヤーが乗り越えなきゃいけない最初の階段だと思います。人に見られると緊張するから、そういったところから始めると、徐々に緊張しなくなるんじゃないかなと思いますよ。

――それでは最後に、今後とカプコンカップ本戦の意気込みをお願いします。

ボンちゃん2016年は最後の最後までジタバタしたけど、結局カプコンカップに出られなく……2017年は今年こそ! と挑んだ結果、早々に出場を決められました。出場決定からだいぶ時間が経っているので、「絶対勝つぞ」という熱意は、じつはまだこみ上げてきていないんですよね。でも、こういった大きい大会に出るなら、自分がつねに優勝候補だと言われるくらいの位置にいないとダメだという想いは強いです。ただ、「自分より強いプレイヤーはいますか?」と聞かれると、「います」って答えられちゃうくらいまわりにも強い人が多いので、絶対優勝できると言い切る自信は、まだ芽生えていないです。ただ、こう言っちゃダメかもしれないけど、3試合先取は運の必ずしも強いプレイヤーが勝つわけじゃない運の要素もあるルールだから、優勝は十分狙えると思っています。クジ運もちょっと悪いな~とは思っていますけど、まあ、自分にグッドラックっていうことで(笑)。応援よろしくお願いします。