『ファイナルファンタジー トレーディングカードゲーム』(以下、『FF-TCG』)初となる世界選手権が、新宿のスクウェア・エニックス本社で2017年11月18日、19日の2日間にわたって開催された。本稿では19日の準決勝、決勝の様子をお届けする。

 『FF-TCG』は2011年に発売された『FF』シリーズのキャラクターや召喚獣を使って戦うトレーディングカードゲーム。2016年からは、遊びやすさを向上させた新環境『Opus』の実装とともに、世界各国で販売され好評を博している。

 世界選手権では、日本の代表選手4名に、ヨーロッパ、オセアニア、北米各国で開催された選手権の上位者を加えた、計16名の強豪プレイヤーが集結。18日の予選ラウンドではスイスドロー方式の3ゲーム制、19日はシングルエリミネーション方式トーナメントの3ゲーム制で実力を競った。

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『FF-TCG』プロデューサーを務める、ホビージャパンの景山太郎氏も会場で大会の様子を見守った。

 18日の激戦を制し、19日の決勝ラウンドに進んだのは日本代表のKUROSAWA選手、Master選手、閣下選手、欧州代表のTobi選手、Federico選手、Alex選手の6選手。トーナメントでは奇しくも日本勢と欧州勢がキレイに分かれ、日本代表選手陣が互いにぶつかり合う展開となった。

 準決勝は、前日1位通過のKUROSAWA選手と、準々決勝でMaster選手を下した閣下選手の対戦。欧州勢は、準々決勝でAlex選手がFederico選手に勝利し、前日2位のTobi選手との対戦に進んだ。

 KUROSAWA選手と閣下選手の対戦は、1本目をKUROSAWA選手が取ると、閣下選手が2本目を取り返し、互いに譲らぬ展開。運命を分ける3本目では、中盤まで閣下選手がリードするも、KUROSAWA選手が土壇場で押し返し見事勝利した。

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左から閣下選手、KUROSAWA選手

 一方、Alex選手とTobi選手の欧州対決は、Tobi選手が1本目を先取し、その勢いで2本目も取るかと思われたが、Alex選手が華麗な反撃を決めて勝利。3本目はTobi選手が怒涛の攻めで押しきり、決勝への切符をつかんだ。

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左からTobi選手、Alex選手

 そして迎えたKUROSAWA選手とTobi選手の対戦。予選ラウンド1位と2位がぶつかる、決勝にふさわしいマッチングだ。ちなみに、予選ラウンドではKUROSAWA選手が勝利を収めた。惜しくも敗れた選手たちが見守る中、世界1位の栄冠を懸けた、互いに負けられない戦いが始まる。

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 まず1本目では、KUROSAWA選手がフォロワーを並べて盤面を制圧する展開に。Tobi選手も負けじと切り返すも、KUROSAWA選手がそのまま詰めてゲームを制した。続く2本目でも、KUROSAWA選手がフォロワーの大量展開で押す展開だったが、中盤でTobi選手が盤面を一掃。逆に盤面を奪ってKUROSAWA選手を攻め落とし一矢報いた。ここまで1対1。実力が拮抗した白熱の試合展開に、観戦していた選手たちも含め、会場の熱気がさらに高まっていく。

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 この1戦で優勝が決まるとあって、お互い手に悩む時間が増える。なんとか状況を打開しようとフォロワーでアタックするKUROSAWA選手だったが、Tobi選手のEXバーストでコスト7のオーディンをめくり、KUROSAWA選手のフォロワーをブレイク。このダメ押しが勝負の流れを完全に決定付けた。観戦していた欧州勢からは大きな歓声があがり、KUROSAWA選手を始めとする日本勢からは嘆息が。その後もKUROSAWA選手は粘りを見せるも、すでに終盤とあって流れは変えられず、試合は終了。予選ラウンドの雪辱を晴らす形でTobi選手が勝利を手にした。試合中は両選手からときに笑いがこぼれ、真剣ながらも和やかな雰囲気でプレイしていたのが印象に残った。

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 表彰式には『FF』シリーズのブランドマネージャーを務めるスクウェア・エニックスの橋本真司氏が登壇。「『FF』30周年の節目に世界大会を開催できてうれしく思います。この第1回世界選手権を皮切りに、これからも『FF-TCG』を盛り上げていきます」と話し、来年以降も世界選手権を開催することを宣言。これからも、熱い戦いが続きそうだ。

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プレゼンターとして登壇し、選手たちに謝意を伝える橋本氏。
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熾烈を極めた戦いを制した欧州代表ベルギーのTobi選手に直撃

――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちをひと言お願いします。

Tobi選手ありがとうございます、いまは幸せでいっぱいです。

――今大会での勝因をご自身で振り返ってみていただきたいです。

Tobi選手いい場面でEXバーストを引けたりと、もちろん運もありました。ただ、いちばんの勝因は、対戦で使うデッキの構築にかなりの時間を割いたことだと思います。

――そのデッキに入っているカードの中で、もっとも気に入っているカードを教えてください。

Tobi選手ジェネシスとシャントットです! また、デッキに組み込んでいた7コストのオーディンはとてもエキサイティングなカードだと思います。

――決勝ではオーディンがいい働きを見せていましたね。対戦中は楽しそうにプレイされている姿が印象的でしたが、『FF-TCG』の魅力はどのようなところだと思いますか?

Tobi選手ルールの仕組みがとてもおもしろいです。一般的に、TCGでは強い人と対戦すると一方的な展開になりがちなのですが、『FF-TCG』の対戦は運の要素も重要になるので、試合展開が単調にならず、楽しくプレイできます。

――それでは、最後に今後の意気込みを教えてください。

Tobi選手いまは喜びに浸っていますが、もっと多くのトーナメントに参加して腕を磨きたいです!

 来年の会場はヨーロッパ。今大会を制したTobi選手は、来年の世界選手権にも招待される。今後もさらに過熱していくであろう『FF-TCG』。来年の世界選手権はどのような展開になるのだろうか。今後の『FF-TCG』の大会や、第2回世界選手権でのTobi選手の活躍、そして日本勢の巻き返しに注目だ。

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