こだわりプレイヤーに朗報! 舞台は“リセットさん”と無縁のキャンプ場

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 初めて本作の情報が公開され、舞台がキャンプ場であると発表されたとき、筆者の感想は「もしかして、リセマラしなくてよさそう!?」だった。

 これまでの『どうぶつの森』で舞台となった“村”は、ランダム生成されるのが基本である。

 崖や川などの地形、お店の位置、特産品のくだもの、主人公を出迎えてくれる住民etc.。これらの要素の組み合わせで、無限に近い“自分だけの村”が完成する。ほとんどのプレイヤーにとっては、個々人のゲーム体験に彩りを添えるすばらしいエッセンスだ。

 だが一部には、究極の理想を追求するこだわりプレイヤーも存在する。

 「最初からお目当てのどうぶつと過ごしたい」、「お店までの距離が遠いのはちょっと」、「芝生の模様は△がいい」、「池、川、海のバランスが」、「ももアレルギーなので」……そうした種々のこだわりを突き詰めた結果、ゲーム購入後、数週間を経ても新生活を始められないプレイヤーの皆さん。そう、あなたのことだ。あなたに聞いてほしい朗報がある。

 筆者の予想は当たっていた。どうぶつの森 ポケットキャンプ』に、そうした悩ましいランダム要素はほぼ存在しない。ゲームをインストールしたら、ものの数分で管理人ライフを満喫できる。

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村を取り壊して、しずえさんの涙を枯らす必要はない。

 詳細は、以下のプレイリポートでご確認いただきたい。

キャンプ場管理人の朝は早い

 キャンプ場管理人の朝は早い。空が白みはじめた午前5時、眠い目をこすりながら『どうぶつの森 ポケットキャンプ』を初起動した。

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筆者の自律神経がおかしくなっているだけで、朝5時に起きてプレイする必要はない。時間帯限定の虫や魚、イベントなどは確認できなかったので、自分の生活リズムに合わせてのんびりプレイできそう。

 ゲームを開始してすぐ、自分の分身となるキャラクターを作成する。顔と髪型はあとからでも自由に変更できるので、ここで時間をかける必要はないのだが、スタートダッシュは大事だ。こだわりを持って臨むべきだろう。

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 こねくりまわした結果が上の画像だ。かなりの悪人顔だが、キャンプ場の管理人に立候補するくらいだから、どうぶつを愛する温和な男に違いない。鋭い目つきは恥ずかしがり屋の裏返しなのだろう。こうしたロールプレイを楽しめるのも『どうぶつの森』の魅力だ。楽しくなってきたぜ。

 そう思っていたら、キャンプ場に着いてそうそう出鼻をくじかれた。

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 似合いすぎだろその服。

 びっくりした。まさか初期装備が“ファイアーな服(L)”だとは思わなかった。恥ずかしがり屋で温和な男は、普段着に“ファイアーな服(L)”を選ばない。前言撤回。純然たる悪だった。

 さて、すぐそばでは、案内役のしずえさんがプレイヤーを待っている。だが、こんな強面の男が近づいて恐がられないだろうか……。

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しずえさんをご存じない方のために説明を加えると、いわゆる“理想の秘書”である。

 意を決して話しかけると、分け隔てないにこやかな笑顔で「あなたの力でキャンプ場を盛り上げてほしい」とお願いされた。天使?

 まずは4種類ある初期テーマからひとつを選択することになる。

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テーマは4種類あり、最初に出会えるどうぶつが変わる(選ばなかったテーマのどうぶつもすぐに登場する)。深く考えずに選んでしまって問題なさそう。

 消去法でクールにした。この男がスポーツで汗を流すようには見えないし、ましてファンシーはありえない。もちろんナチュラルも違う。こいつはナチュラルを破壊する側の人間だ。

 こうなったら、惚れた女(しずえさん)のために、しびれるほどカッコいいキャンプ場を作るのだ。当初の予定は狂ってしまったが、ヤンキー漫画の主人公みたいな心持ちでやっていきたい。

お気に入りのどうぶつだけの楽園が作れる。しかも簡単に

 しずえさんの情報では、近くの森にどうぶつがいるらしい。

 キャンプ場の周辺には“サカナ釣り”が可能な海や川、“ムシ取り”が可能な島が存在する。そうしたエリアに遊びにやってきたどうぶつたちは、おねがいを叶えて“なかよし度”を上げることで、プレイヤーのキャンプに招待できるのだ。

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本作の地形は全データ共通。また、キャンプ場の環境(芝生の形や岩の位置など)も固定だ。こだわりの強いプレイヤーも、安心してゲームを始めてほしい。
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“クール”を選んだ場合は、アポロと最初に出会う。

 仲良くなったどうぶつを招待するためには、彼らの“お気に入り家具”を作成してあげる必要がある。

 さっそくキャンプ場に戻って家具を“クラフト(作成)”する。クラフトに必要な素材は、どうぶつのおねがいを叶えたり、仲良くなることで入手可能。

 特定の条件をこなす“しずえチャレンジ”でも大量に獲得できる。

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 また、ベーシックなものなら数分、長いものは数時間と、家具の種類によって待ち時間が発生。効率よくクラフトを行いたいプレイヤーは、リーフチケット(課金アイテム)で同時に作れる家具の数を増やすことも可能だ。

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クラフト台はリーフチケットで3つまで増やせるが、序盤から考えなしに家具を作っていると、あとから素材が足りなくなる可能性がある。ご利用は計画的に。
必要な家具を揃えると、アポロのお迎えが完了。しずえさんがうれしそうでよかったです。

 さらに“なかよし度”の合計値が一定以上になると、主人公の“キャンパーレベル”がアップ。新たな来訪者がキャンプ場周辺にやってくるようになり、家具のレシピも増える。

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新たに作れる家具/出会えるどうぶつは、キャンパーレベルに応じて決まる。のんびりスローライフを楽しめば、確実にお目当てのキャラクターと仲良くなれるし、自然とインテリアも充実してくる仕組みだ。

 したがって、本作の基本サイクルは【(1)どうぶつのお願いを聞いて“なかよし度”を一定まで上げる⇒(2)条件となる家具を作成し、どうぶつをキャンプ場に招待⇒(3)新たなどうぶつが出現⇒(1)】という流れ。

 ちなみに、同時に招待できるどうぶつの数は8体。一度でも条件を満たしたどうぶつは、いつでも任意のタイミングで入れ替えが可能だ。つまり、お気に入りのどうぶつだけのキャンプ場を簡単に作れるということ。これはめちゃめちゃうれしい。

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 また、とくべつ仲良くなったどうぶつは、おそろいの服やスペシャルな家具のレシピをプレゼントしてくれる。これはお願いを聞くモチベーションも上がるというもの。

 3日間のテストプレイでは、なかよし度最大でもらえる家具はおろか、なかよし度10の家具にすらたどり着けなかった。お気に入りのキャラクターと親密になるだけでも、かなりやりごたえがありそうだ。

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悪役っぽい服ばかり増えていく。なんで?
教えてもらえるレシピは、スペースシャトルやピアノなど豪華なものばかり。キャンプ場にスペースシャトルが置いてあったら、すごい。

インテリアを考えるのはやっぱり楽しい! キャンプ場は皆さまの善意で成り立っています

 さて、どうぶつたちとのコミュニケーションをくり返すうちに、わがキャンプ場のゲストも10体に増えた。

 ここまでくると、キャンプ場の雰囲気もご機嫌になってくる。広場では野外ライブが開催されているし、テント前のキッチンでは皆が思い思いの料理を楽しんでいる。

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とにかく熱源をたくさん置いてみた。火事になったら火元が特定できない。
カメラモードでは、アングルを変えてどうぶつたちを観察可能。
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家具を配置する楽しさは健在。移動や回転もタッチ操作で感覚的にこなせる。

 本作の家具は、どうぶつたちがリアクションを魅せてくれるものも多く、単なるインテリア以上の楽しみがある。楽しそうなどうぶつたちの様子は、写真に収めたくなってしまうほどかわいい。気軽にスクリーンショットを撮影できるスマートフォンとの相性は抜群だ。

 それにしても、みんな幸せそうで管理人冥利に尽きる。せっかくなので、ゲストたちに話しかけてみよう。

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 この構図……カツアゲ……? ではない。冤罪だ。

 キャンプ場を気に入ってくれたゲストたちは、“キャンプ場の使用料”、“お世話になってるお礼”という名目で、プレイヤーにお金や素材をプレゼントしてくれる。

 ひとつひとつの額は小さいが、ちりも積もればなんとやら。少し時間をあければプレゼントは何度でももらえるので、キャンプ場の収益のメインはこれになるだろう。

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ふがいない管理人ですまん……!

 正直、キャンプ場の経営には若干の苦しさがある。むやみやたらと家具を作っていると素材は足りなくなるし、車のローンも返さなきゃいけない。どうぶつたちの善意が骨身に染みる。

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新キャラクターのキャンタロー。キャンピングカーの改造やペイントを引き受けてくれる。本作の返済先はこちら。

 どうぶつたちの援助をもってしても、どうしてもお金や素材が足りない場合もあるだろう。そんなときは“ゴロゴロ鉱山”の炭鉱夫になるといい。ミニゲームをこなすことで、ハニワくんからバイト代がもらえる。

 ゴロゴロ鉱山に入るためには、課金アイテムの“リーフチケット”20枚か、フレンド5人の協力が必要だ。素材に加えて“友だちは大切に”という教訓まで得られる。

 また、家具の売買ができるお店も登場。上手なやりくりを心がければ、理想のキャンプ場へと着実に近づいていくはずだ。

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ミニゲームの内容は、スコップで岩を叩くおなじみのアレ。
お店で家具の売買もできる。エイブルシスターズなど、ファッションのお店も登場。

総括

 本作の印象はまさに“スローライフ”=“継続して楽しめるゲーム”だ。コツコツと素材を集めて家具を作り、時間をかけて理想のキャンプ場を仕上げていく。毎日のちょっとした変化を感じながら、フレンド機能やSNSでお気に入りの家具を見せ合うような、ノンビリした楽しみかたができるプレイヤーには自信を持っておススメできる。

 また、キャラクターとの交流も楽しい。とくに、一度条件を満たしたゲストを好きなタイミングで呼び出せるシステムは、シリーズファンが待ち望んでいたものではないだろうか。

 アップデートの存在も考慮しなくてはならない。製品版は不明だが、βテストに登場するどうぶつ(しずえやたぬきちを除いた一般のどうぶつ)は40体だった。この数字をどう感じるかはプレイヤー次第だが、40体のなかよし度をコンプリートするだけでも、かなりのやりがいを感じられると思う。アップデートで次のどうぶつが追加されるまでに全員を攻略しようと考えるならば、決して少ない数ではないだろう。

 『どうぶつの森』シリーズは、遊びきれないほどの楽しい要素が集合してできている作品だ。それを“ポケット”に収まるサイズに再構築するにあたって、まさに身を切るような取捨選択の努力があったことは想像に難くない。

 ムシやサカナのコレクション、かせき掘りなど、コンシューマ版から削られてしまった遊びもあるし、それが残念でないといえば嘘になる。

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コレクション要素がなくなっただけで、虫取りや魚釣り自体は存在する。レア魚を釣ったときのうれしさも健在。

 だが、要素が厳選されたからこそ際立つものもある。新しい家具を手に入れる楽しさ、いきいきしたキャラクターを眺める楽しさ。そして、そうした楽しさを手軽に共有できるのもスマートフォンの特徴だ。

 SNS慣れしたプレイヤーにとって、スマホという新たなプラットフォームに最適化された『どうぶつの森』は、きっとたまらなく楽しい体験になるだろう。リリース後の盛り上がりに大いに期待したい。

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細かいところだが、データダウンロード画面がミニゲームになっているのには感動した。しかも、ここで獲得したお金は本編に持ち越せる。ホスピタリティがすごい。