新たに6つ目の部門が登場!

 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)では、日本ゲーム大賞に“U18部門”を新設することを決定。応募対象者となる小中高生、そのご家族および教育機関に向けたシンポジウム“集え! 創れ! 未来のゲームクリエイター ~日本ゲーム大賞 U18部門~”が、2017年11月12日に東京都内で開催された。その模様をお届けする。

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会場ロビーでは、クリエイター交流コーナー、ゲーム開発ツールコーナー、ゲーム体験コーナーなどを設置。多くの来場者で賑わい、親子連れの姿も目立っていた。

 シンポジウムの司会進行役は、『ゼビウス』で知られる遠藤雅伸氏。まずは冒頭、氏のアナウンスにより、CESA人材育成部会 部会長である、セガゲームスの松原健二氏が登壇し、開会のあいさつを述べた。

 ここではCESAの活動がひと通り紹介されたのち、従来5部門だった日本ゲーム大賞に新たにU18部門が設けられ、来年から実施されることが報告された。U18部門新設の背景として松原氏は、子どもがなりたい職業としてゲームクリエイターの人気は高いのに、大学生あたりになると堅実な職業を望む人が多くなるという現状を指摘。
 「若い世代がゲームを開発し、それを表彰する場を作ることで、開発者の育成はもちろん、もの作りや表現する力を持ってもらうことにつながるのではとの思いから、U18部門を立ち上げました。ぜひ多くの方にご応募いただきたいし、ご父兄や教育機関の皆様は、サポートしてもらえれば幸いです」(松原氏)。

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『ゼビウス』生みの親の遠藤氏が司会を担当。
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開会のあいさつを述べる松原氏。
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CESAの活動として、CEDECや東京ゲームショウが紹介された。
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日本ゲーム大賞6つ目の部門として、U18部門が誕生。

 ステージには続いて同じくCESA人材育成部会の、バンダイナムコスタジオの斎藤直宏氏と、ディー・エヌ・エーの門脇宏氏が登場。U18部門の応募要項と開発レギュレーションが説明された。

 応募資格は2000年4月2日以降に生まれていて国内に住んでいる人で、個人・グループどちらでの開発でも可。2017年11月13日よりエントリーはスタートしており、2018年3月1日より作品受付が開始となる。スケジュールなどの詳細は、画像を参照してほしい。

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詳細を説明してくれた、斎藤氏(上)と門脇氏(下)。
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応募者にとっては重要なポイントが語られた。

クリエイターが本音を激白!

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3人のクリエイターの貴重な意見を聞くことができた。

 日本ゲーム大賞U18部門の概要説明に続いては、ディスカッションコーナーに。まずは“楽しく作って遊んでもらう! ゲームクリエイターの仕事とは?”と題された、クリエイター パネルディスカッションが行われた。
 登壇者は、スクウェア・エニックスの時田貴司氏、グリーの下田翔大氏、ディー・エヌ・エーの古川貴士氏の3人。ディスカッションは時田氏が進行役で、それぞれがトークテーマに対してコメントする形で進行した。

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時田氏
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古川氏
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下田氏

 まずは各人のプロフィール紹介とともに、「なぜクリエイターを志したか?」というテーマでトークが展開。古川氏が挙げたキーワードは“中華料理店”で、料理人を目指しながらもパソコンやプログラミングへの情熱が捨てきれず、ゲーム業界に転身した経歴が語られた。
 下田氏のキーワードは“小説家”で、もともとは小説家になりたかった過去を暴露。そして時田氏のキーワードは“アルバイト”で、声優志望で劇団で芝居もやりつつ、たまたまアルバイトでグラフィックデザイナーをしたことが、ゲーム業界に入るきっかけだったと当時を振り返った。

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古川氏は簡単な年表で経歴を紹介。

 続いては、思い出のゲームや手掛けたゲームについて。時田氏は『ドラゴンクエストII』に感動し、「全力でゲームを作ろう!」と思ったとのこと。また下田氏は、『ファイナルファンタジーXII』のスタッフ募集に応募して落ちたものの、ボツの応募書類が時田氏の目に止まって入社できたという、運命的なエピソードを披露してくれた。なお初めて手掛けた仕事は、時田氏が『FAIRY』、下田氏は『半熟英雄 対3D』とのこと。

 仕事でポイントとなったゲームについては、古川氏は『コラプス』、時田氏は『ALIEN2』、『ファイナルファンタジー』、『半熟英雄』などをピックアップ。下田氏は、一度落ちたのに関わることになった『ファイナルファンタジーXII』や、初めてディレクターを担当した『イケニエノヨル』などが、ターニングポイントになったと語った。

 現在手掛けている仕事に関しては、古川氏はゲームのUI(ユーザー・インターフェース)回りを担当。下田氏はスタジオの部長となり、ゲーム開発に加えてチームを編成する難しさも実感しているとか。そして時田氏は、リメイクした『半熟英雄』のスマホ版などを手掛け、昔と変わらずコスプレで営業などもしているそうだ。

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仕事のポイントとなったタイトルを各人が紹介。

 クリエイターのディスカッションでは、まとめとして、どんな職種があるのかを簡単に紹介。そのうえで、そうした仕事を目指しているであろう来場者に向けて、登壇ゲストがキーワードとともにアドバイスを送った。コメントの概要を以下に紹介しよう。

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・古川氏 “改造”
 ゲーム制作はハードルが高く、最初は何からやったらいいかわからないと思います。僕は「改造」から入りました。既存のゲームのセリフをちょっと書き換えるとか、やってましたね。

・下田氏 “悪だくみ”
 友だちといっしょにぜひ、悪だくみをしてほしいと思っています。べつにゲームじゃなくてもぜんぜんいいんです。「ちょっとこうしたら、おもしろくなるんじゃない?」といったことを、試してみてください。

・時田氏 “恐れない”
 失敗はやっぱり恐れることですが、仲間がいれば得意技を持っているヤツもいるので力になってくれるでしょうし、みんなで工夫を考えることもできます。ダメならもう1回やればいいだけじゃないですか。

貴重なアンケートデータも公開!

 シンポジウムのラストは、アカデミック パネルディスカッション。冒頭のあいさつで登壇した松原氏が進行役となり、2名のゲストがプレゼンテーションを展開した。ゲストのひとりは東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏、もうひとりは専修大学ネットワーク情報科学部准教授の藤原正仁氏だ。

 テーマ別に細かいクロストークが交わされたクリエイターのディスカッションとは趣向を変え、こちらは各ゲストがお題に沿ってじっくりとトークするコーナー。まずは前提として、トークテーマの“ゲーム作りを通じて、U18の未来はどう広がるか”について、松原氏より説明がなされた。

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最初に若年層とゲーム制作の関連性が説明された。

 稲見氏の講演テーマは、“ゲーム作りで身に着く「創る力」と「表現する力」”。ここではまず、過去の研究実績などがスクリーンで紹介されたのち、現在手掛けている“超人スポーツ”の状況などが紹介された。ちなみに大学の研究室の後輩には、ゲーム業界で活躍している人もいるとのこと。

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シンポジウム後半ではまず、エンタテインメント工学の専門家である稲見氏が登壇。
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研究室の後輩には、のちにゲーム業界で活躍する面々も。

 稲見氏が提唱する“超人スポーツ”プロジェクトは、岩手をベースに展開。“岩”+“手”なので“ロックハンドバトル”など、新しいスポーツが検討・開発されている。ご当地グルメならぬご当地スポーツということで、今後の展開には大いに注目していきたいところだ。

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地域発“超人スポーツ”に期待が集まる。

 最後のスピーチは藤原正仁氏で、テーマは“ゲーム作りで、身につく将来キャリアの可能性”。ここでは藤原氏が発表した、貴重なデータに注目が集まった。
 公開されたのは、近年のCEDECでのアンケートによる、ゲームクリエイターの実情。詳細は画像のとおりとなるが、概要をまとめると、まず学歴については、大学卒などの高学歴が増えつつある。プラットフォームは、据え置きは増、ケータイ系は減の傾向らしい。給与に関しては、一般的な職業よりもやや高めとなっている。

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クリエイターの給与など現実的な話を語った藤原氏。
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ラストは藤原氏が、貴重なデータの数々を公開。

 多彩なゲストで盛り上がったシンポジウムもこれにてフィナーレ。ラストは登壇者が勢ぞろいしてのフォトセッションで幕となった。さらに間口が広くなった日本ゲーム大賞、われこそはと思う若人は、ぜひ応募してみてはいかがだろうか?

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ラストは全員で記念写真。