2017年10月14日~15日、シンガポールで開催されたゲームコンベンション“GameStart 2017”。“GameStart 2017”はどのようなイベントなのか? 主催を務めるEliphantのディレクター、Elicia Lee氏、そして共催社のSOZOマネージングディレクター、Shawn Chin氏のインタビューとともに、イベントの全容をお届けしよう。

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GameStart 2017の会場は、サンテック・シンガポール国際会議展示場。
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開場前にはご覧の行列。来場者の年齢層は若く、10代~20代の若者でにぎわっていた。
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会場の広さは幕張メッセの1-8ホールの1ホール分ほど。午後になると人が溢れるほどの混雑ぶりだった。
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プレイステーションブースでは、『ディシディア ファイナルファンタジー NT』や『グランツーリスモSPORT』、『V!勇者のくせになまいきだR』などが試遊出展されていた。
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『ドラゴンボール ファイターズ』を前面に押し出したバンダイナムコエンターテインメントブース。『NARUTO TO BORUTO シノビストライカー』の試遊台も注目を集めていた。

 “GameStart”は今年で4回目を迎えたシンガポールで最大のゲームイベント。来場者が“いいコンテンツに出会える”という部分にフォーカスしており、コンシューマー、PC、モバイルのゲームを試遊できるほか、企業が自社タイトルを紹介する場でもあるとElicia氏は語る。大手ゲームメーカー以外にも、同人ゲームやボードゲームブースが展開されていることも特徴のひとつだ。

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Eliphantのディレクター、Elicia Lee氏。『World of Warcraft』が大好きで、9年間遊んでいるという筋金入りのゲーマー。「日本のゲームだと『大神』が好き」と笑顔で回答。

 来場者数は年々増加しており、1回目は会場の大きさが現在の3分の1で、来場者は12000人ほど。3年目には来場者が約32000人となり、会場のホールを拡大。2017年は3ホールでの開催となり、参加企業は55社になっているそうだ。日本やアメリカと比べるとシンガポールの市場は小さいが、ほかの東南アジア地域と比べ、シンガポールは収入が安定しているのでゲームなどの趣味にお金を使う傾向が強い。しかし、人口が少ないことから市場規模の拡大には限界があるため、シンガポールだけではなく東南アジアのイベントとして大きくしていきたいとElicia氏は語っていた。

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トークショウやゲーム大会など、多彩なイベントが行われたメインステージ。観客との距離が非常に近いのが特徴。
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同人ブースもあり、個人でも出展が可能。個人の場合は、出展費用を安くするといったサポートを行っているそうだ。
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『シャドウバース』ブース。シンガポールでの『シャドウバース』の人気は高く、主催側からCygamesに声掛けし、出展が実現したとのこと。
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会場にずらりと並ぶアナログゲーム。会期中はつねに人だかりができていた。
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クラシックゲームが並んでいた“レトロゲーム”ブース。子どもたちが集まっていたのが印象深い。

 東京ゲームショウに強いインスピレーションを感じたと語るElicia氏。GameStart 2017会場では、格闘ゲーム大会“South East Asia Major”が開催されており、esportsにも注力されていることがわかる。ライブストリーミングを専門に行うチームを社内に設けているとのことで、会場の模様はTwitchとFaceBook Liveにて配信が行われていた。ちなみに、PCゲームのシンガポール事情をうかがったところ、『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』が非常に人気で、多くのプレイヤーが遊んでいるとのこと。また、日本人ゲームクリエイターを毎年ゲストとして招待されているそうで、来年はコジマプロダクション、小島秀夫氏にオファーしたいと語っていた。

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会場内で行われていた格闘ゲーム大会“South East Asia Major”。“ストリートファイターV Capcom Pro Tourアジア地区最終予選&地区決勝大会”も開催されており、熱気はご覧のとおり。
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多数のコスプレイヤーが来場。ゲームではなく、アニメ作品のコスプレをされている方も多かった。

 「シンガポールでは、ゲーム、マンガ、アニメ、アイドルなど、日本のポップカルチャーが非常に人気です」。そう語るのは、今年からGameStartを共催しているSOZOのShawn氏。SOZOは今年で10回目を迎えるイベント“Anime Festival Asia”(アニメフェスティバルアジア)を主催しており、日本のポップカルチャーについての造詣が深い。「自分がAFAを始めたときのようなパッションをGameStartから感じました。さらに、GameStartの軸であるゲームは、海外に広がっていける文化でもあるので、AFAといっしょに大きくなっていけると確信したんです。そういった理由から共催に至りました」と笑顔で語るShawn氏。

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SOZOマネージングディレクター、Shawn Chin氏。学生時代は中森明菜や松田聖子といった日本のアイドルが好きで、『科学忍者隊ガッチャマン』や『機動戦士ガンダム』を観ていたとのこと。

※Anime Festival Asia公式サイト

 既報のとおり、GameStart 2017では『NieR:Automata』がフォーカスされていたのだが、Shawn氏によると『NieR:Automata』は東南アジア、東アジアで大ヒットを記録しており、ごく自然に『NieR:Automata』を選ぶことになったという。また、『NieR:Automata』は3Dアニメーションや声優の演技など、アニメファンをも虜にする魅力を持っているとShawn氏は分析。齊藤陽介氏とヨコオタロウ氏を招いたことで、アニメファンやAFAファンを、GameStartに取り込むことができたそうだ。

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『NieR:Automata』ステージは大盛況。開始前から多くの来場者が場所取りのためにステージ前へ集まっていた。

 ゲームとアニメの親和性の高さはデータも物語っており、SOZOがAFAのファンに対して「1日何時間、ゲームを遊びますか?」というアンケートを取ったところ、多数が「1日に3~4時間遊んでいる」と回答したという。さらに、もっとシンプルな質問で「ゲームをプレイするか?」という質問には、99.9%の人が「遊ぶ」と回答。ちなみに、全体の60%が「ゲームを遊ぶ際、課金している」と答えるなど、興味深い結果が得られたそうだ。

 つねに“ファンの目線に立つこと”を重視していると語るShawn氏。「シンガポールはインフラが整っているので、家でオンラインを介してさまざまなゲームを遊べてしまいます。だからこそ、GameStartのような“誰かといっしょにゲームを体験する”といったイベントは、とても重要だと思います。同じ空間でゲームの楽しさを共有する。オンラインでは叶わないものがGameStart、AFAにはあると思います。ぜひ日本の方もGameStart、そしてAFAに遊びにきてください」と述べてインタビューを締めくくった。