PC用オンラインアクションゲーム『機動戦士ガンダムオンライン』初のオフラインイベント“ガンダムオンライン宣伝部Mk-II ~全国キャラバンin東京~”が、2017年10月21日に開幕。同作を展開するバンダイナムコオンラインは、会場の浅草ヒューリックホールに100名のプレイヤーを招待し、プレゼント抽選会やエキシビジョンマッチなど、いくつものプログラムでもてなした。
この日行われたイベントは、全国6都市で行われる全国キャラバンの第1回目となる。今後、札幌、仙台、名古屋、大阪、博多にて開催予定で、参加方法や会場などの詳しい情報は今後発表されるとのことだ。
イベントの詳細をお伝えする前に、本作を知らない読者のために少しだけゲームの概要を説明しておく。『機動戦士ガンダムオンライン』は、地球連邦軍またはジオン軍から所属チームを選び、敵軍を撃破していく対戦型オンラインアクションゲーム。往年のザクIIから新顔のνガンダムまで、さまざまな機体が入り乱れて展開される、最大52人対52人による大規模バトルが魅力だ。
本作では、充実したチュートリアルを通じて機体の操作方法が学べるほか、初心者向けのマッチングも用意されている。“初心者戦場”を選択すればビギナーどうしの対戦に参加できるので、上級者から一方的に攻め立てられて戦意を喪失するようなことはほとんどない。
また、課金サービスを利用した場合よりも時間を要するものの、8割を超える機体が無料で手に入れられる点も見逃せない。300種類にも及ぶメカをコレクションしていくことも、本作の楽しみのひとつと言えるはずだ。
次期アップデートで追加される機体は全4種!
“ガンダムオンライン宣伝部Mk-II ~全国キャラバンin東京~”でもっとも注目を集めたプログラムは、ガンオン宣伝部公開生放送。2017年10月25日の定期メンテナンス終了後に追加される新たな機体の特徴を、プロデューサーの佐藤一哉氏みずからが説明していった。ここでは、会場でお披露目された一連の新情報を、同氏のコメントを交えてお伝えする。
【新機体1】ハンブラビ
地球連邦軍の機体として、ハンブラビが選択可能に。コスト340の強襲タイプで、モビルアーマーからモビルスーツに変形しているあいだも攻撃が継続できるのが持ち味だ。
佐藤氏のコメント(要旨):
ハンブラビは可変式の機体となっています。従来の機体は変形することで航続距離が稼げますが、ハンブラビは素早く移動できるため(敵の攻撃を容易に)回避できます。ただし、高速で動けるぶん進める距離は短いので、移動に用いるにはやや不向き。なお、モビルアーマーの状態でも攻撃可能ですが、それを行うと変形が解除されてしまいます。
【新機体2】ジェガン(バーナム所属機)
アニメ『機動戦士ガンダム Twilight AXIS(トワイライトアクシズ)』に登場するバーナムという組織が、ジェガンに独自の改造をほどこした機体。敵のHPだけでなくDPも同時に奪える、チャージ・ビーム・ランスを装備している。
佐藤氏のコメント(要旨):
チャージ・ビーム・ランスは射出が可能なうえに、チャージも行えます。フルチャージ後の攻撃を敵に当てると、1200ポイントものDPが取れます。命中させればダウンと大ダメージの双方が期待できるのですが、当てるのがかなり難しいかと思います。チャージ・ビーム・ランスに関しては威力が高いぶん使い切りになりますので、“確実に当てる”能力が求められるはずです。
【新機体3】バウ(量産型)
バウの量産型は、照射型のビーム兵器と斉射式の実弾兵器の双方が扱える。出撃時のコストは360だ。
佐藤氏のコメント(要旨):
照射型兵器のメガ粒子砲は、シールドを構えたまま撃てます。身を守りながら攻撃できる代わりに、火力は若干低めです。(ほかの新規機体と比較して)使いやすいと思います。
【新機体4】ザクIII改(TA)
射撃に特化した重撃機体。ビーム・ライフルを駆使した連携を攻撃の軸に据えている。
佐藤氏のコメント(要旨):
チャージ可能なビーム・ライフルと通常のビーム・ライフルを、中距離から放つことで強さを発揮するタイプです。前者で攻撃を加えてから、ひるんだ敵に後者で畳みかける感じになります。(双方を)持ち替える時間が短いので追撃を行いやすい点が持ち味です。いわゆるチャージ・バズーカと同じ感覚で使えるハイドボンブも付いております。
ジオング実装の可能性に佐藤氏が言及
新機体の紹介を終えた後は、来場者から寄せられた質問にプロデューサーが答える“ガンオンQ&A”のコーナーへと突入。鋭い質問の連続に、佐藤氏は苦笑いしつつも丁寧に回答していった。
【Q.】ユニコーンガンダムなど、『機動戦士ガンダムUC』に登場した機体が実装される予定はありますか?
【A.】(2015年8月26日に公開された)U.C.0096のアップデート以降、一度『機動戦士Ζガンダム』シリーズに(時代が)戻ったうえで、そこから順番に(『機動戦士ガンダム』シリーズの歴史に沿って更新が)進んでいきました。今年の8月に実施された『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』アップデートでνガンダムなどを公開しましたが、これから先は、『機動戦士ガンダムUC』系の機体を中心に展開していこうかと思っています。(デルタプラスが実装されるかどうかの問いに)あるかもしれません。
【Q.ジオングは実装しないのですか?】
【A.】エースとしてはすでに登場済みですが、プレイヤーが操作できる機体としてはまだ実装されていません。ジオンを象徴するモビルスーツでもありますので、この質問にお答えしているということは、何かしら考えがある……のかもしれません(苦笑)。ご期待いただいて大丈夫ではないかなと思います。ちなみに、ブラウ・ブロが実装される予定はいまのことろありません。
【Q.】ガンオンファイトのようなモードを、通常マップのひとつとして組み込む予定はありますか?
【A.】ガンオンファイトを大規模戦のマップのひとつとして、たとえばランダムミッションの中に入れられないものか……という趣旨のご質問かと思います。大規模戦に近い雰囲気で戦いたい方と、ガンオンファイトのような形式で楽しみたいという方は、それぞれ異なる楽しみを求めてらっしゃると思っていますので、(既存の)大規模戦にそれを混ぜ込んでしまうと不満が出てしまうはずです。それぞれの楽しみが(個別に)味わえるような形で開催していきたいと思っています。
もちろん、ご指摘のようなチャレンジは必要なので、今後もいろんな形で『機動戦士ガンダムオンライン』の楽しみが広がるような新要素の導入を検討していきます。
武器&機体の新たな強化システムがお目見え
今回のイベントでは、2017年の年末から2018年にかけて実施される各種調整の中身も発表されている。その詳細を、今後行われるキャンペーンの中身も交えつつ振り返っていく。
【武器属性耐性のバランス調整】
一部の機体に対して、爆発や実弾によるダメージを軽減できる“爆発装甲”と“実弾装甲”のふたつが追加される。佐藤氏は「ビームコーティングの実弾版みたいに考えていただければ」と説明していたぞ。
【モジュール関連のバランス調整】
特定の状況下でディフェンスモード/モジュール/特性を組み合わせることで、防御効果が想定以上に高まってしまっている。この現状を打破すべく、各要素の重複によって生じるダメージの軽減に上限が設けられることとなった。
【アドバンストオプション】
大規模戦のプレイを終えると、武器もしくは機体に最大4種類の“強化能力”が付与されるようになる。佐藤氏は「アイテムみたいな形で何らかの“強化能力”がゲットできるイメージです。大規模戦に参加した場合にのみ付与されるので、強化したい機体は優先的にデッキに組み込んでください」と説明していた。なお、アドバンストオプションの実装時期は「寒いうちには実装できると思います」とのことだ。
【全国キャラバン連動キャンペーン】
『機動戦士ガンダムオンライン』の推奨PCや対象となるゲーミングデバイスを購入したプレイヤーに、インゲームアイテムを中心とする品々が贈られる。
【全国キャラバンの次回開催地】
オフラインイベントの次回開催地が愛知県に決定。名古屋市内のImyホールにて、2017年11月18日に開催される。
イベントを終えた佐藤氏に単独インタビューを決行!
“ガンダムオンライン宣伝部Mk-II ~全国キャラバンin東京~”終了後、ファミ通.comはプロデューサーの佐藤氏に単独インタビューを実施。当日行われたイベントの感想や、注目のアドバンスオプションの詳細をじっくりと訊いたので、その模様をたっぷりとお届けしよう。
──来場者と出演者が一体となって盛り上がった、素晴らしいイベントでした。
佐藤一哉氏(以下、佐藤) ありがとうございます。
──いまのお気持ちはいかがですか?
佐藤 もともとガンダムオンライン宣伝部は、去年の11月からインターネット生放送で行ってきた流れがあります。お客様からコメントをいただきながらの配信を、1年ほど継続してきました。その延長として、お客様をお招きしたうえでのイベントと生放送を行った感じです。これまでの生放送をご覧になられてきた、熱の強いお客様たちが今回集まってくれたのかなと思っています。
──初めての開催とは思えないほどの盛り上がりぶりは、そうした過去の実績が生み出したものだったと。
佐藤 はい。そう思います。
──イベントも終始スムーズに進行していました。
佐藤 ドタバタしましたが、皆さんのご協力もあり、何とかまとめることができました。
──準備を進めたスタッフの努力が実ったわけですね。
佐藤 この1ヵ月ほど、かなり(スケジュールを)詰め込みましたので(苦笑)。
──突貫作業に近かったんですか?
佐藤 突貫というほどでもありませんが、時間が足りなかったのはたしかです。
──今後も各都市でイベントが開催されますが、基本的な流れは今回と同じですか?
佐藤 同じものを各地で行っていきます。東京や大阪など、どうしても大都市が中心になってしまいますが、各地のお客様と直接顔を合わせてお話したいという思いもあり、今回のイベントを企画しました。
──各地で行わるイベントで、引き続きアップデート情報が発表されていくのですか?
佐藤 その都度発表していく予定です。
──アドバンスオプションの追加によって、武器もしくは機体が強化可能になるというお話でした。大規模戦に参加した結果、4種類ではなく、たとえば3種類の“強化能力”が付与される場合もあるのですか?
佐藤 最大4種類なので、そういうパターンもありえます。
──前回は3つしか付与されなかったけど、今回は4種類の“強化能力”がゲットできてうれしい……みたいな感じですか?
佐藤 そのイメージで問題ありません。このあたりは現在バランス調整を行っている部分ではあるのですが、たとえば2種類の“強化能力”を取得したがそのどちらも数値が低かったという場合もあれば、ひとつしかゲットできなかったわりに数値が高いみたいなこともありえる……といった感じで、いろんなパターンが考えられます。
オンラインゲームの世界でよく見受けられる、ランダムオプションのような要素です。ゲームバランス的にどういった形(で実装するの)が最適なのかを、慎重に詰めているところです。
──つまり、ひとつしか能力が強化されない代わりに、尖った数値が手に入りやすくなる可能性もあると。
佐藤 そういうパターンもありえますし、逆にバリエーションを増やしていく方向性も考えられます。いろいろ試行錯誤しているところです。
──ここまでのお話をうかがうと、大規模戦に挑むたびに、パラメータが積み上げられていくようにも思えます。“強化能力”が付与された状態で再度大規模戦に参加すると、どうなるのでしょうか?
佐藤 入れ替えになります。現時点では順々に増えていって、新しい“強化能力”を取得すると、どれかと入れ替える感じの仕様になっています。
──本日行われた限定ガシャコンバトルは、ランダムで機体が選ばれる特別仕様となっていましたが、このシステムを実際のゲームに盛り込むことは可能ですか?
佐藤 ドラフト戦はおもしろい部分があるとは思うので、ちょっと検討してみます。
──オンラインゲームは長くサービスを続けるほどシステムが複雑化するので、そのぶん新規プレイヤーが入りにくくなりがちです。本作の場合は、豪華キャンペーンでそういった部分をカバーしているのでしょうか。それとも、チュートリアルの改善を地道に積み重ねて、当初のとっつきやすさを維持しているのですか?
佐藤 前提として、どちらか片方だけを行えばいいというものでもないと思っています。オンラインゲームの宿命のようなもので、(以前よりも新規プレイヤーが)入りにくくなっている部分はたしかにあります。(プレイヤーが所有する)資産に差が生じているのも事実なので、(新規の方の)遊びやすさは若干損なわれているとも思います。
ですが一方で、『機動戦士ガンダムオンライン』はほかのタイトルと比較して、継続率が高めな印象です。
──それはなぜでしょう。
佐藤 50対50というバトルの性質上、プレイヤーひとり当たりの責任が軽いために、自身のミスが原因で負けにくい傾向があるからです。たとえば4人対4人で勝負するゲームの場合は、ひとり当たりの責任が重いために、自分が倒されてしまうと勝負の行方が決まってしまうことが多いですよね。
『機動戦士ガンダムオンライン』の場合は、そこがマイルドなんです。この部分に魅力を感じているプレイヤーも多いですし、原作の再現度の面で、そこに『機動戦士ガンダム』らしさを見出しておられる方もたくさんおられます。
──なるほど。そうなんですね。
佐藤 “誰もがエースパイロット”ではなく、プレイヤーはあくまでも“戦場に降り立ったひとりの兵士”である……このコンセプトが『機動戦士ガンダム』の世界観に合うのです。サービス開始から5年目を迎えますが、いまでもその部分は大きく変えていません。
100人規模のバトルが楽しいという根本部分を変えすぎると、ゲームに復帰しにくくなりますし、新規の方も入りづらくなってしまいます。そうならないために、大規模戦に特化した運営サービスを続けている感じです。
──ローンチ当初からの魅力を、シンプルに伸ばしていこうと。
佐藤 そのおかげで、5年前に遊んでた方がいま復帰しても、さほど違和感なくプレイできるわけです。もちろん、かつて存在しなかった機体がたくさんあるな……とは思われるはずですけどね。
──新たな機体が追加されることで、戦術が変化することもありそうです。
佐藤 そうであったとしても、ベースの部分はほとんど変わっていないので、“本拠地を壊せばいい”ということがすぐにわかります。
──これからゲームを始めようと思っている人に、本作のとっつきやすさをアピールするとしたら、どのような感じになるでしょうか?
佐藤 『機動戦士ガンダムオンライン』は大規模戦をテーマとする、ある意味不思議なゲームなので、とっつきにくさを感じるかもしれません。ですが先ほどもお話しした通り、ひとり当たりの責任が薄い作りなので、気軽に対戦が楽しめる典型的な作品かなと思っています。
じつはPCゲーム業界ではeスポーツがひとつのキーワードになっているせいか、『機動戦士ガンダムオンライン』もそういうご提案やお話をいただくことがあります。
──対戦ゲームには違いありませんからね。
佐藤 たしかに本作もそれに近い魅力を持っているとは思うのですが、ほかのeスポーツ系タイトルはガチンコ勝負と申しますか、個々人のスキルの高さを競う作りが主流です。そうした楽しみをカジュアルに味わえるのが、『機動戦士ガンダムオンライン』ではないのかなと。
たとえば『カウンターストライクオンライン』や『レインボーシックス シージ』は、陸上競技とかバレーボールみたいに、個人のスキルやチームワークがすごく重要になってくる作品かと思います。そういう流れでいうと、我々のタイトルはいわばドッチボール。ガチンコルールで行われる競技というよりも、(『機動戦士ガンダム』シリーズの)ファンが気軽に遊べるスポーツゲームみたいなイメージです。
──私は本作に“ミスしてもいい大縄跳び”みたいな印象を抱いています。
佐藤 そうですね。ほかのオンラインゲームよりもコミュニケーションが少なめで済みますので、そういう意味でも(新規の方が)入りやすいゲームなのかなと。オンラインゲームは新規の方も大切ですが、それと同じくらい復帰者を迎え入れることも重要です。そのために、資産の差を広げすぎないことに注力しています。
──なるほど。
佐藤 (ゲームバランスの面では)集団で挑んだり敵の裏をかいたりすることで、たとえジムであってもサザビーを倒せることがある、という味付けが理想です。チャンスを見つけさえすれば(低コストの機体でも高コストの相手と)互角に戦える……このバランスが“資産の差が若干開いていても勝てる”魅力に繋がるので、その点を意識しながら開発しているつもりではいます。
──そこが、うまく立ち回る余地みたいなものも生み出すわけですね。
佐藤 敵を撃つだけでなく、レーダーを置いたり味方を修復したりといった役割もあるので、そうした後方支援も楽しめるゲームになっています。『機動戦士ガンダム』というアニメシリーズは長く続いているコンテンツなので、往年のファンは若い方たちとくらべて(素早い動きに)対応できない部分もあるかと思います。そういうプレイヤーのなかには、原作の世界観に慣れ親しんできたからこそ、ロールプレイの一環として後方支援を楽しんでおられる方もいます。
──『機動戦士ガンダム』を題材とする作品ではあるものの、敵を撃つだけが楽しみではないと。
佐藤 そういうイメージがあるかと思いますが、たとえばアムロやシャアはある意味超人です。ニュータイプとオールドタイプという呼びかたがされますが、アニメを視聴してきた方の多くは、どちらかといえば後者に共感していると思っています。ニュータイプになりたいわけではなく、むしろオールドタイプとしてどのように生きていくか……そういった部分に楽しみを見出しているプレイヤーが多いのではないかなと。
佐藤氏とのやり取りは、以上の通り。今後のアップデートで追加される新システムの仕様から本作が持つ根源的な魅力まで、幅広く語ってもらうことができた。
とくに筆者が印象に残ったのは、復帰者に対する佐藤氏の姿勢。ゲームを休止していた人がスムーズに戻って来られるよう、ゲームの根幹を“あえて変えない”スタイルに、驚きとともに新鮮さを感じた。
オンラインゲームの流行に沿った新要素を手広く備えていくのではなく、ゲーム本来の持ち味をひたすら守り抜く。その方針の先にどんな発展が待ち受けているのか……今後の『機動戦士ガンダムオンライン』に期待せずにはいられない。