2017年10月7日にパシフィコ横浜で開催された『GOD EATER ORCHESTRA LIVE 〜フェンリル極東支部公演〜』にて、サプライズ的にお披露目となった『GOD EATER 3(ゴッドイーター3)』(以下、『GE3』)の1stトレーラー。最新作の詳細をうかがうべく、IP総合プロデューサーの富澤祐介氏、総合ディレクターの吉村 広氏、そして『GE3』のプロデューサーの富山勇也氏に取材を敢行した。

「時代に合ったマルチプレイの形に」ついに姿を見せた『ゴッドイーター』家庭用最新作について訊く_01
左から富澤祐介氏(文中は富澤)、富山勇也氏(文中は富山)吉村 広氏(文中は吉村)。

本当に求められているものを『GE3』として届ける

──かねてより、“家庭用最新作”が開発中であることが伝えられてきましたが、ついに『3』として発表されましたね。

富澤 まずは、ファンの皆様にもたいへんお待たせしてしまったことをお詫びしなければなりません。ナンバリング作品としては『GOD EATER 2 RAGE BURST(ゴッドイーター2 レイジバースト)』(以下、『GE2RB』)のリリースから約3年という期間が空いてしまいました。その3年のあいだに、シリーズ2作目にあたる『GOD EATER BURST(ゴッドイーターバースト)』(以下『GEB』)をパワーアップさせた『GOD EATER RESURRECTION(ゴッドイーター リザレクション)』(以下、『GER』)を発売しましたが、完全新作という形では長らくお待たせしている状況が続いていまして……。今回、ようやく具体的に『GE3』という名前とともに、コンセプトや新しくなったビジュアル、各種要素をお見せできる段階になりましたので、このタイミングで発表させていただきました。

吉村 僕たちは『GE2RB』の開発を終えた後、『ゴッドイーター』というものの魅力と、ユーザーの皆さんが求めているものは何か、改めて考え直しました。『GER』やテレビアニメ化などへの反応も見ながら、“本当に求められているもの”といまの『ゴッドイーター』に少なからず乖離があるという状況と向き合うことにもなりましたが、ひとつひとつに真摯に検討を重ねてまいりました。

富澤 1作目が発売された2010年から7年が経ち、当時中高生だった方はいま大学生や社会人です。そうした状況も踏まえて、『GE3』では、新しいユーザーさんへのアプローチと、これまで支えてくださった方が求めているものに応えられるような体制や物量を用意し、そこから目を背けないという気持ちで開発を進めてきました。

──新しいユーザーだけでなく、既存のユーザーの“いま”に合わせて、作品も変わっていく必要があると感じたわけですね。

吉村 はい。作品としての素直な進化はもちろんですが、海外での展開も含めて、市場的な可能性も同時に探ってきました。

富澤 おかげさまで、『GE2RB』や『GER』は海外で高い評価をいただきました。実際、国内で数年にわたって積み上げてきた物量を一気にお届けしたわけですから、多少は評価いただけないと困っちゃうのですが(笑)。そんな欧米市場でも、日本と変わらず、しっかりとした続編を求めていると思っています。欧米の話で言えば、『GE2RB』や『GER』のプレイステーション4版でシリーズを知った方が多く、過去作品から引き継がれたグラフィックやゲームデザインに対して、世代の古さを指摘する声もありました。

吉村 『GEB』から『GE2』ではゲーム的に大きな進化はあったものの、システムとしてはすでに確立されたベースに上乗せしていく形だったんです。その積み上げに対して満足の声もいただいていましたが、その一方でどんどん複雑になっているという実感もありました。最初のころに感じていた、スピーディーに敵と戦う気持ちよさ。『ゴッドイーター』が元来持っていた遊びにいまこそ立ち返るべきだなと。

新しいプロデュース体制で『GE3』を作っていく

──『GE3』のプロデューサーは富山さんということで、改めてご紹介いただけますか。

富澤 これまで『ゴッドイーター』のプロデュースは私のほうで行ってきましたが、新たにチームプロデュースという体制を敷き、私はIP総合プロデューサーとして全体を見つつ、タイトル単位のプロデュースをどんどん任せていくことにしました。富山は入社以来さまざまな形で『ゴッドイーター』に関わっていまして、タイトルへの思い入れも強く持ってくれています。

富山 周囲からは「『ゴッドイーター』以外の案件もやりなさい!」と言われるほどで(苦笑)。『GE2RB』ではプロモーション、『GER』ではマーケティングを担当していました。その後、チームから離れて別のタイトルを担当していましたが、昨年から『ゴッドイーター』チームに戻ることになりました。

吉村 新しいモノを作ってお客様へお届けするまでには多くのハードルが存在します。富澤がIP総合プロデューサーに、チームとして富山がプロデューサーに就任することで、それを乗り越えていくための力をつけられたかなと思います。ユーザーの皆さんの期待に応えるためには、単にモノを作るだけでなく、その環境作りも重要です。よりハイクオリティーなものをより多くの方に届けるという未来に向けて、タイトルを届けるうえでの細やかなケアとIP全体の環境作りの2軸でチームプロデュースを展開していってくれることを期待しています。

『GE3』の時代設定は『GE2RB』より後の時系列

──『ゴッドイーター』は携帯ゲーム機から始まったシリーズだけに、対応プラットフォームがまずは気になるところですが……。

富山 公開された映像をご覧いただければもうお気づきかと思いますが、『GE3』に関しては据え置き機をベースに開発を進めています。

吉村 これまでは、携帯ゲーム機をターゲットに開発して、それをアップグレードしたものを据え置き機で展開するという手法を採っていましたが、『GE3』に関してはPCで開発を行い、そこから据え置き機に落とし込む感じですね。

──端的に、これまでのシリーズと大きく変わる点はどこでしょうか?

吉村 『ゴッドイーター』シリーズの特徴のひとつとしてマルチプレイがありますが、その部分をよりいまの時代に合った、楽しみやすい形になるように意識して進化させています。

──ということは、4人マルチ以外の遊びも用意されるということでしょうか?

吉村 どうでしょう(笑)。

富山 可能性はありますね。

富澤 プレイステーション・ポータブルのアドホック通信から始まったコミュニケーションが、現世代機ベースのオンラインコミュニケーションに置き換わると考えたときに、必然的に求められることは違ってくると思います。それに沿うように進化させたいというのが前提にありますね。それがどのような形になるのかは、機会を改めてお伝えしたいと思います。

吉村 討伐アクションにおけるプレイヤーどうしの新たな関わりかたについても模索、検証しているところですので、ご期待いただければ。

──過去作とのつながりも気になります。

富山 『GE3』は、『GE2RB』の後の世界の物語で、舞台はフェンリル本部周辺です。しかし、『GE2RB』で存在していたフェンリル本部はすでに崩壊していて……っと、まだ多くは話せないのですが、ここまででもいろいろと想像をしてもらえると思います。

吉村 映像や画面写真にもある通り、いままでとは世界が大きく変化しています。また、ゴッドイーターの立ち位置も変わっています。その一端が、腕輪です。これまで腕輪はひとつしかありませんでしたが、両手首に備わることで、まるで手錠のようになっています。ゴッドイーターは人類の希望であり、大切な存在だったのですが、これを見る限りそうは思えないですよね。背中のフェンリルのエンブレムがボロボロになっていたりしますから。

──舞台が変わるということは、フィールドもすべて新規のものになるのでしょうか?

富山 はい。フィールドはすべて新しく作っています。ユーザーの皆さんの要望として、新しい舞台とそこで紡がれる物語を見たいという声をとくにいただいていました。今回はそれに応えるという形でもありますが、新しい主人公による新たなストーリーを、我々が得意なドラマティックな体験で突き詰めて提供していくと。

吉村 やっとフェンリル本部周辺が出てくるかと思ったら、本部が崩壊しているというね(笑)。

──フィールドは過去作と同様、シームレスな作りなのでしょうか?

富山 そうですね。今回もシームレスにフィールドを移動できます。さらに、面積は過去最大となっていますので、環境も見どころですね。

吉村 いままでよりも広がりを感じるフィールドをご用意しています。

富山 高低差のあるフィールドも多いです。ただ、フィールドが複雑過ぎるとアクションがしにくくなるので、そこは調整をしています。

今度のアラガミはプレイヤーをも喰らう

──対峙する敵は、今回もアラガミということでいいのでしょうか?

吉村 これまで公開させていただいたプロモーションビデオに出てきたある人物が、「次代の神々が降臨する」というようなことを話しますが、アラガミもこの世界の変動の影響を受けています。その中で、より凶悪な存在として生き残ったのが今回の敵です。これまでのアラガミとは違った性質や能力を持っています。

──今回紹介している新アラガミのように、歩行形態が変わったり……?

富山 それどころか、アラガミは“すべてを喰らう存在”なので、今回は捕喰もしてきます。

──プレイヤーが捕喰されるんですか!?

富山 ええ。捕喰を行った敵は強化状態となり、かなり危機的な状況に陥ります。

吉村 両手に腕輪をつけて神機を使うというのは、あまりに危険でタブーとされてきました。よりアラガミに近い存在になるということですからね。いままでは“神と人”という構図でしたが、それが曖昧なのが本作の主人公なんです。まさに、神が喰い合う感じです。

富山 プレイヤーが捕喰された場合、何かしらの変化が訪れる……かもしれないです。

吉村 アラガミの形態変化というのはこれまでもありましたが、今回はそれどころではない、大きなパワーアップをします。敵に捕喰されることで、絶体絶命のピンチに陥るような要素が用意されているかもしれません。

──聞いた感じでは、ゴッドイーター側がだいぶ不利な感じがしますが……(笑)。

吉村 今回紹介した二刀流の神機のほかにも、いままでの系統とは違う神機が新たに登場します。銃形態についても、プロモーションビデオを見ると新たな銃身のようなものも映っていますね……。それ以外にも、強大な敵に立ち向かうための新要素が盛り込まれます。まだご紹介できないのがもどかしいですが(苦笑)。

もうひとつの本部にまつわるストーリー

──最後に、同時に発表されたスマホ向けタイトル『GOD EATER RESONANT OPS(ゴッドイーター レゾナントオプス』(以下、『GEREO』)についてもお聞かせください。

富澤 コマンド選択式のRPGで、舞台はフェンリル本部周辺、時代設定は『GE2RB』から4年後と、『GE3』とも関連がある作品です。世界中のゴッドイーターがフェンリル本部に集まり、とある大規模作戦に従事することになります。

──本作の開発の経緯は?

富澤 『ゴッドイーター』の世界観を楽しみたいというファンの方々の希望に、新しい形で応えるチャレンジでもあります。今回は、ゴッドイーターになれなかった“ディバイダー”と呼ばれる存在も登場します。彼らがバトルを盛り立ててくれて、ゴッドイーターとの関係もドラマとして生まれてくると。ストーリーや世界観の部分でも、『GE2RB』以降の物語を補ってくれる存在になるだろうと思っています。

──『GE2RB』と『GE3』のあいだを埋める作品になるわけですね。

富澤 とはいえ、『GEREO』をプレイしないと『GE3』を理解できないということはありません。それぞれがシリーズの入門的な役割があり、独立した話になっています。ずっと『ゴッドイーター』の物語を追いかけてくださっている方には、両方楽しむと『ゴッドイーター』への理解がより深まるのではないかと思います。既存作の人気キャラクターも続々と登場しますし、『GE3』が発売されるまで、『GEREO』を楽しんでいただければと思います。

※本インタビュー記事は、週刊ファミ通2017年10月26日号(10月12日発売)に掲載されたものです。