アメリカのカリフォルニア州サンノゼで行われた、Oculus VRの開発者向けイベント“Oculus Connect 4”。
初日の基調講演で紹介された、PCやスマートフォンなしで単独動作するスタンドアローン型のVRヘッドマウントディスプレイ“Santa Cruz”プロトタイプを体験することができたのでご紹介しよう。
Oculus Connect 4の基調講演ではもうひとつのスタンドアローン機であるOculus Goが発表されたが、Goがモバイル機であるGear VR相当の体験を対応スマートフォンなしで実現するのに対し、Santa Cruzプロトタイプはよりリッチな、Riftに近い体験をPCなしのスタンドアローン機として目指すものだ。
簡単にその違いを言い換えると、Santa Cruzでは視界を没入させるだけでなく、ある程度の範囲内を動き回ることができるし、モーションコントローラーで自分の手を使って銃の狙いをつけるとか、任意に物をつかむといったアクションを行える……といったところ。
Santa Cruzは本体の前面の四隅近くにセンサーを持ち、プレイヤーの上下前後左右の動き(6DoF)とモーションコントローラーのトラッキング(位置検出)も単体で行う。
一方、モーションコントローラーはRift用モーションコントローラーであるOculus Touchの親戚のような形状(同じチームによる設計)。ふたつのトリガーボタンとひとつのタッチパッドがついており、さらにメニュー系に使うふたつのボタンが存在する。
Touchと比較するとボタン数そのものは減少しているのだが(アナログスティックもない)、関係者に聞いてみたところ、入力が足りない場合はタッチパッド内にボタンを割り振ることもできるとのこと。
軽い、そして俺の眼鏡が入る!
あくまでプロトタイプなので製品版に向けていろいろな部分が変わってくると思うが、驚いたのがつけ心地。まず、かなり軽い。くり返しになるが、あくまでプロトタイプなので、今後動作時間を長くするためにバッテリーが増強されて重くなったりはするかもしれない。それでもこの重量で必要な一式が全部詰まっているというのはスゴい。
そして記者のメガネは横幅がそれなりにあり、自宅でRiftを使用する際でも実はメガネを外して着用している(頑張れば押し込めないこともないが。ちなみにJinsとAlienwareのコラボモデル)。
しかしSanta Cruzでは、ややギリギリとはいえフレームをたわませることなく入ってしまう。“メガネを先に押し込んでから被る”といった裏技も使わず、そのまま被れちゃったのである。
実際、Riftなどに対して「もっとメガネが入るようにして欲しい」といったフィードバックがあるのは認識しているそうで、それを受けた形となっている今回の設計はメガネ族としてありがたい。
カスタム版『Dead and Buried』が動作
プレイできたコンテンツは2種類あり、エイリアンのような小動物と交流できるものと、RiftとGear VR向けに配信されているVRFPS『Dead and Buried』のカスタム版をプレイすることができた。
どちらもびっくりするほどスムーズに動いて、普通に歩けるし、普通にモーションコントローラーを使ってプレイできる。ケーブルを気にせず後ろを向くこともできる。
手のトラッキングが時折飛ぶこともあったが、Gear VRコントローラー(本体から位置検出をしているわけではない)でプレイするよりは当然精度が高いし、すぐに正しい位置を拾い直してくれる。プロトタイプがゆえの今後の精度向上も考えれば、かなり上出来だ。
面白いのはSanta Cruzにはサウンド機能も組み込まれていて、ヘッドフォンをしなくても結構クリアーに音が聞こえてくること。コンテンツや場所によってはヘッドフォンも必要になってくると思うけども、そのままでも結構それなりに没入できて、周囲の人(この場合はスタッフ)の声もそのまま聞こえるというというのは、これはこれで大きなメリットと言えるだろう。
現状で製品版に向けた重量や連続動作時間の目標値や、どれぐらいハイエンドなコンテンツまで対応可能にするのかなどは不明だが、ハイエンド寄りのVRがより身近になる未来に向けた、大きな可能性を感じた次第。今後の開発に期待したい。