新作の言及も! 10周年を迎えたRPG『世界樹の迷宮』シリーズのこれまでを振り返り、これからを望む。【アトラス・小森成雄氏インタビュー】

『世界樹と不思議のダンジョン2』の発売と、『世界樹の迷宮』シリーズ10周年を記念し、アトラスの小森成雄氏にインタビュー。

●まさか10年も続くシリーズになるとは…!

 2007年1月18日にニンテンドーDSで第1作が発売され、今年で10周年を迎えた人気RPG『世界樹の迷宮』シリーズ。その最新作にして、『不思議のダンジョン』シリーズとのコラボ作品『世界樹と不思議のダンジョン2』が先日発売され、今まさに冒険を進めているプレイヤーも多いことだろう。当記事では、シリーズの第1作より開発に携わってきた、アトラスの小森成雄氏にインタビュー。『世界樹と不思議のダンジョン2』への手応えや、この10年間の振り返り、そしてシリーズの“これから”についてもお話をうかがった。ファンはぜひ最後まで読んでほしい!

左:『世界樹の迷宮』(2007年1月18日発売)
右:『世界樹と不思議のダンジョン2』(2017年8月31日発売)

▲アトラス・小森成雄氏

──『世界樹と不思議のダンジョン2』発売、おめでとうございます。このインタビューが載るころには本作が発売されていますが(※取材は8月に実施)、作品への手応えはいかがでしょうか。

小森成雄氏(以下、小森) 本作の発売前に、東京、大阪、岐阜で体験会を実施したのですが、僕たちが思っていた以上に多くの方に触っていただけて、なおかつ好意的なご感想をたくさんいただけて、とてもうれしかったですね。シリーズファンの方や、たまたま別の用事で店頭に来られた方も気軽に遊んでくださったようで、ご興味を持っていただける良い機会になったのではと思います。僕自身の手応えとしては、前作『世界樹と不思議のダンジョン』も皆さんからご好評をいただけた一方で、キャラクターのAIやシステムなど、さらに磨きをかけられる余地があると感じていましたので、それを本作で追求することができたかと思います。ぜひ、皆さんの思いのままのパーティー編成で冒険を満喫してほしいです。

──『世界樹の迷宮』シリーズは10周年という節目を迎えましたが、10年前を振り返ると、どんな思い出がありますか?

小森 第1作を開発していたときは、当時のディレクターだった新納さん(新納一哉氏)が中心となって、「発売されて何年も経ってから、“そういえばニンテンドーDSの下画面に地図を書くゲームがあったなぁ”と振り返ってもらえるようなRPGを作りたいね」みたいな話をしていました。そのころは、これが10年も続くシリーズになるとは夢にも思っておらず、知る人ぞ知るRPGとしてゲームファンの記憶に残るタイトルになれば良いなぁと思っていたわけですね。ところが、ありがたいことに、期待していた以上に多くの方が『世界樹の迷宮』というゲームを受け入れてくださり、おかげさまで続編を作ることができました。

──第2作の『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』は、小森さんが初めてディレクターを務めることになった作品ですよね。そのときの気持ちはいかがでしたか?

小森 第1作ではテキストを担当していた僕が、第2作では開発のディレクションも担うことになり、仕事の内容はだいぶ変わりましたが、第1作への反響を受けて、「こういう続編をお届けすればきっと皆さんに喜んでいただけるはず」という感触を抱きながら作ることができたので、やり甲斐がありましたね。そして、のちに第3作(『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』)を作ることになったときは、「ファンの方に飽きてしまわれないよう、改良と挑戦を重ねていこう」と意識するようになりました。

──『III』では大海原をも冒険したり、プレイヤーキャラクターの職業を一新したりと、確かに挑戦的な作品でしたね。そのあと、小森さんはいったん『世界樹の迷宮』シリーズの本流から離れて、『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』を手掛けたり、『新・世界樹の迷宮』シリーズを立ち上げることにもなりました。

小森 『ノーラと刻の工房』という完全新規のタイトルを手掛けたことは、それまで『世界樹の迷宮』シリーズに携わってきた僕の立場からすると、シリーズをいったん客観的に見られる良い機会にもなりましたね(※)。そのあとに立ち上げた『新・世界樹の迷宮』シリーズでは、比較的新しいRPGがお好きな方々にも訴求したいと思い、いわゆるアバターではない“個性”があるキャラクターの登場や、ストーリー性の強化、アニメやボイスといった演出の導入など、さまざまな新要素を盛り込みました。『新』シリーズで初めて世界樹を冒険したという方がたくさんいらっしゃいましたので、この試みもおかげさまで成果を得ることができました。

※第4作『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』は、のちに『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』でもディレクターを務める金田大輔氏が担当。

 
──『世界樹と不思議のダンジョン』第1作が世に出るときは、どのような思いだったのでしょうか。

小森 バトルシステムが『不思議のダンジョン』シリーズのそれになるわけですから、『世界樹の迷宮』シリーズのターン制とは明確に異なるので、そこにシリーズの職業キャラクターたちが乗っかったらどうなるのか、僕にとってもまったく未知の領域でした。その結果は、スパイク・チュンソフトさんのお力もあって、僕たちが思っていた以上に『不思議のダンジョン』シリーズのシステムとマッチしましたので、とても幸せなコラボレーションが叶ったと思っています。僕がこのようなことを言うのも僭越な話なのですが、『世界樹の迷宮』シリーズのキャラクターがその魅力を発揮しうる“幅の広さ”を感じましたね。『世界樹と不思議のダンジョン2』でも、そうした魅力を皆さんに感じていただけたらうれしいです。