HIDE×HIDEの10年間が詰まったソウルフルな演奏に会場が震えた!
2017年8月13日、東京のライブハウスである南青山MANDALAにて、和楽器ユニット“HIDE×HIDE”のコンサートが行われた。HIDE×HIDEは、尺八の石垣秀基氏と、中棹三味線の尾上秀樹氏によるふたり組のユニットで、『モンスターハンタークロス』4大メインモンスターの1体であるタマミツネのテーマ曲や、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』における『ヘラクレスの栄光~魂の証明~』の編曲など、ゲーム楽曲の収録や制作に多数参加している。カプコン主催の“モンスターハンター オーケストラコンサート 狩猟音楽祭2017”大阪公演での演奏も、記憶に新しいところだ。
そんなHIDE×HIDEが、2007年のメジャーデビューから本年で10周年を迎えるということで、記念ライブを開催。ピアノにワキマル・ジュンイチ氏、ヴァイオリンに伊藤友馬氏、ドラムにふうじ氏、ギターに裏谷玲央氏と実力派のメンバーを迎え、ゲームミュージックやオリジナル楽曲などを多数披露した。この記事では、昼夜2回公演で行われた本コンサートの、昼公演の模様をお届けする。
開演時刻となり、HIDE×HIDEのファーストアルバム『日本~Neo Japanesque』に収録された『HA・YA・TE』が鳴り響く中、HIDE×HIDEのふたりが登場。これまでに制作したCDのことを振り返りつつ、BGMに合わせて同曲を演奏すると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
HIDE×HIDEの楽曲における尺八と中棹三味線以外の音色は、初期はコンピューターによる“打ち込み”で作られたものが多かったが、それ以降はピアノなどの生演奏と合わせる機会が非常に増えたという。そのきっかけとなったのは、ロシア映画音楽界の巨匠であるミカエル・タリヴェルディエフ氏の楽曲集『nostalgia』が国内外で高く評価を受けたこと。HIDE×HIDEのふたりは、これを契機にロシアの国際コンクール“TEREM Crossover International Music Competition”で第1位と特別音楽賞を受賞し、場数を踏んでいくこととなったのだ。そんな逸話も交えながら、ワキマル氏のピアノに合わせて『トンテケトン』と『チホレツクへ』の2曲が披露された。
ここからの2曲は、カプコンのゲームミュージックをカバーしたアルバム『和楽器xゲーマーxCAPCOM~HIDE×HIDExゲームミュージック~』シリーズの第2弾から。女性向けアドベンチャーゲーム『囚われのパルマ』のメインテーマである『囚われのパルマ』は、男子校出身の尾上氏が思い描く、“キュンキュンした青春”が詰まった楽曲で、尺八のやさしい音色が響き渡る。一方、『レッドアリーマー魔界村外伝』からの楽曲群は、力強さが特徴。荒々しい中棹三味線の演奏が、歯応えのあるカプコンのアクションゲームらしさを表現していた。
『悠久の刻』、『Sarabande』から休憩を経て、再びふたりが登場すると、着流し姿に衣装替え。本日のためにあつらえた友禅染の特別品には、ふたりの干支(石垣さんが酉年=鳳凰、尾上さんが兎)が描かれており、涼やかな雰囲気が漂っていた。
「ゲームが好きと言い続けたらゲームの仕事が来て本当にうれしかった」などと2009年のPRESS START(竹本泰蔵氏、桜井政博氏、植松伸夫氏、酒井省吾氏、野島一成氏ら5人の企画者とファミ通が主催したゲーム音楽のオーケストラ・コンサート)当時のことを振り返りつつ、ワキマル氏、ふうじ氏、裏谷氏を招き入れ、『百里風』をパワフルに演奏した。ここで裏谷氏はいったん退出し、4人での『魁!!』へ。「ハイ!」という合いの手がこだまし、それに呼応するように客席のテンションも高まっていった。
『大神』より『天神族のテーマ』、『両島原 其の二』、『太陽は昇る』の3曲をアレンジバージョンでしっとりと演奏し、クールダウンを図ると、つぎもまたカプコンのゲーム楽曲から『モンスターハンターダブルクロス』より『銀翼の凶星 ~ バルファルク』へ。ここで再び裏谷氏が登場すると、裏谷氏から「あの話、もうしたんですか?」という振りが。じつは、”あの話”というのは、尾上氏が着物を家に忘れてきた、という失態エピソードのこと。尾上氏によると、シワがつかないようにギリギリまで畳んで置いておこうと思っていたところ、そのまま自宅に忘れてきてしまい、本番中にスタッフに取りに行ってもらったのだという。そのため、本来は着物の衣装で始める予定が、スーツ姿の開始となったのだそうだ。
そんな話もありつつ、『モンスターハンターダブルクロス』より『銀翼の凶星 ~ バルファルク』の演奏がスタート。“裏谷玲央”という名前でピンと来た方もいるかもしれないが、同氏は『モンスターハンタークロス』や『モンスターハンターダブルクロス』のメインコンポーザーであり、カプコンのギターユニット“BlackLute”としても活躍した。”モンスターハンターフェスタ”などでも見せたその腕前をいかんなく披露すると、会場は大きな拍手に包まれた。
※以下の動画は夜公演のものです。
ここで裏谷氏と入れ替わるように、ヴァイオリニストの伊藤氏がステージへ。ヴァイオリンの調べに乗せた『うたかた』は、水泡のような儚さを漂わせていた。
改めて、ゲストも含めた5人がステージに揃い、いよいよコンサートも終盤。『モンスターハンタークロス』より『妖艶なる舞~タマミツネ』と、本コンサート1曲目の楽曲のアレンジバージョンとなる『颯(Hayate)』を、魂を込めて演奏し、いったんはフィナーレを迎えた。
しかし、アンコールを求める聴衆の手拍子に迎えられ、HIDE×HIDEのふたりは再びステージへ。これまでの感謝を述べるとともに、今後についての決意を新たにしつつ、最後は代表曲の『獅子奮迅』をふたりきりで演奏。HIDE×HIDEワールドに包まれた10周年記念ライブは、大きな盛り上がりのまま幕を閉じた。
■HIDE×HIDE 10周年記念コンサート 昼公演 セットリスト
01.HA・YA・TE
02.トンテケトン
03.チホレツクへ
04.『囚われのパルマ』より、囚われのパルマ
05.『レッドアリーマー魔界村外伝』より、タイトル/デモンボーダー/ショートステージ/サンドメイズ/ゲームオーバー/魔界フィールド/ブレーガーズ・パレス
06,悠久の刻
07.Sarabande
08.百里風
09,魁!!
10.『大神』より、天神族のテーマ/両島原 其の二/太陽は昇る
11.『モンスターハンターダブルクロス』より、銀翼の凶星 ~ バルファルク
12.うたかた
13.『モンスターハンタークロス』より、妖艶なる舞~タマミツネ
14.颯(Hayate)
En01.獅子奮迅
『和楽器×ゲーマー×CAPCOM』Vol.2をチェック!
『囚われのパルマ』、『レッドアリーマー魔界村外伝』などの楽曲を収録した『和楽器×ゲーマー×CAPCOM~HIDE×HIDE×ゲームミュージック Vol.2~』は、現在カプコンの通販サイト”イーカプコン”にて予約受付中だ。気になった方は聞いてみよう!
■商品名:和楽器×ゲーマー×CAPCOM~HIDE×HIDE×ゲームミュージック Vol.2~
■発売日:発売中(イーカプコンのお届け開始日は2017年9月29日)
■価格:2000円[税込]
■収録楽曲
1. 「モンスターハンター ストーリーズ」より
風の絆
2.「モンスターハンターダブルクロス」より
銀翼の凶星 ~ バルファルク
3.「囚われのパルマ」より
囚われのパルマ
4.「モンスターハンターポータブル3rd」より
閃烈なる蒼光/ジンオウガ 秘湯を求めて
5.「レッドアリーマー魔界村外伝」より
タイトル デモンボーダー ショートステージ サンドメイズ
ゲームオーバー 魔界フィールド ブレーガーズ・パレス
6.「ロックマンエグゼ」シリーズより
THEME OF ROCKMAN EXE 2 ウイルスバスティング
Global Network バトルプレッシャー
THEME OF ROCKMAN EXE 6 ヒーロー!
7. 魁!!
8. distance