大塚角満が見た『モンスターハンター:ワールド』【E3 2017】

週刊ファミ通副編集長兼ファミ通コンテンツ企画部編集長である大塚角満が、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2017”にて出展されている『モンスターハンター:ワールド』について語りまくる!
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●ずっとこのゲームを待っていた!

 すでにたくさんの記事が溢れているので遅きに失した感はあるのだが、やはりここは、自分の言葉で語ってみたい。

 そう、発表されたのだ。

 『モンスターハンター:ワールド』が!

 衝撃の発表が行われたのは、E3に先立って開かれたプレイステーションのプレスカンファレンスでのこと。わずか1時間という短い発表会の中、“超”がつくほど厳選されたプレイステーション4用新作タイトルの中に『モンスターハンター:ワールド』はあった。

 以下、週刊ファミ通の巻末コラム用に書いた原稿の一部を、抜粋して掲載する。

 密林を思わせるフィールドに、大剣(アギトか?)を持ったハンターが降り立つ。ときおり、雷光虫のような光るアイテム(後の開発者インタビューで“シルベ虫”と教えてもらった)を使い、巧みにフィールドを駆け巡っている。ふいに現れるモンスター。茂みに身を隠しつつ、狩猟の機会を伺う。大型モンスターに飛びついての攻撃は、“乗り”攻撃の系譜を受け継ぐものか? 圧倒的な木々の質感。モンスターどうしが、お互いを牽制しているような姿も見受けられる。くり出されるワイヤーアクションにド肝を抜かれる。獣竜種を彷彿とさせる大型モンスターは、いかにも凶暴そうだ。そんな、恐るべきモンスターに挑みかかるハンター。フィールドでの生存競争は、世界の形が変わっても脈々と受け継がれている。そんな中、大空から迫る巨大な影が……! リオレウス!! 『モンスターハンター』の象徴と、新たに見た大型モンスターに挟まれて、ハンターは絶対絶命に……って、えええええ!? リオレウスがハンターではなく、大型モンスターに襲い掛かった!? これはもしかして、ずっと見たかった“モンスターごとの生の生業、モンスターどうしの生存競争”が表現されているのでは! すげえ! 本当にすげえ!! 未開の地を舞台にし、新しい息吹が『モンハン』に吹き込まれているよ!

 数分間に及ぶ迫力のデモ映像が公開されると、会場は大騒ぎになった。万雷の拍手。飛び交う口笛。“Early 2018”の文字がスクリーンに映し出されると、その歓声は最高潮に達した。

 俺は誇らしかった。

 来場した外国の記者やゲーム業界関係者が、『モンスターハンター:ワールド』の映像を見て、猛烈な拍手喝采をしている……。中には立ち上がって、スタンディングオベーションを贈っている熱狂者もいた。彼らも、我々日本のハンターと同じなんだ。まったく新しい『モンスターハンター』の誕生を、心から歓迎しているのだ。

 正直、俺は叫びたかったよ。

 「見たか!!」

 って。

 「これがアクションゲームの日本代表だ!!」

 って。

 そして、

 「これが俺たちの『モンスターハンターだ!!』」

 ってね--。

 抜粋終わり。

 公開された映像を見てもわかる通り、『モンスターハンター:ワールド』で突き詰められたのは“世界観の深まり”だろう。従来のソレの2倍になるという広大なフィールドは驚くほどの高低差があり、多種多様な木々と、それに負けぬほど個性的な生き物で彩られている。

 驚くべきは、その広い空間に形作られた生態系だ。

 そこで暮らすものすべてが、知性を持って生きるための営みを行っていると確信できる行動をし、ただならぬ存在感を主張している。食いしん坊のドスジャグラスがアプトノスを丸飲み(!)にし、安全そうなエリアに移動してから吐しゃ物を吐き出すと、それに呼応して小さなジャグラスが殺到。ボスが吐き出したものを、ガツガツとむさぼり食っている。姿形は違えど、親ペンギンがたんまりと飲み込んだ魚を吐き出して子ペンギンに与えるような姿が、そこに展開されているのだ。一方で、大型の肉食モンスターが現れるや、蜘蛛の子を散らすように木の上に避難する小型モンスターたち。生態系のピラミッドが構築されているのがわかる行動で、ついつい見惚れてしまう。

 「白亜紀のドキュメンタリー映像があったら、恐竜たちはこんな動きをしていたのかな……」

 そんな風にも思う。目の前で展開される事象がすべて自然で、何の違和感もない。

 もちろん、ハンターも生態系の一部だ。“この世界に組み込まれたもののひとつ”として存在し、環境をフルに活用しながら狩猟を展開するのである。草むらに身を潜めたり、虫や草を採取してその場で回復したり、ワイヤーを使って高所に移動したり(ワイヤーを引っ掛けられる虫がいるらしい)。また、大型モンスターを相手に立ちまわっているとき、まったく別の大型モンスターが乱入してきたりもする。

 「それは、これまでのシリーズでもあったじゃん」

 と思われるだろうが、『モンスターハンター:ワールド』での描かれかたはひとつ先に進んでいる。これまで、2頭の大型モンスターが同じエリアに存在すると、あくまでも、

 ハンター1対モンスター2

 という力関係になっていたが、『モンスターハンター:ワールド』ではそうではない。そこに現出するのは、

 ハンター1対モンスター1対モンスター1
 
 という状況なのだ。藤岡要エグゼクティブディレクターによると、

 「モンスターの力関係を把握すれば、“このモンスターをこちらのエリアに誘導して襲わせよう”といった、新たな立ち回りが可能になります。モンスターをコントロールする手段はいくつかあるので、自分なりの狩りかたを模索すれば楽しくなると思います」

 とのこと。“環境利用”が本作のテーマのひとつのようだが、モンスターも環境のひとつとして、うまく活用して楽しめるというわけだ。

 こういった深まった世界観、どこかで見たなぁ……と考えていて思い出したのが、『モンスターハンター3(トライ)』の“モガの森”の風景だった。群れるジャギィを忌々しく眺めていたとき、ふいに飛来したリオレイア。この大地の女王の姿を見て肝をつぶしたのか、ジャギィたちはエリアの隅っこに固まって、キャンキャンギャンギャンと吠えるばかりになっていた。

 「おお……。モンスターどうしの力関係が表現されている!」

 とそのときも感動したものだが、『モンスターハンター:ワールド』では、さらに深まった世界観を見せてくれるようだ。

 もうひとつ、思ったことがある。

 この『モンスターハンター:ワールド』で展開する世界、俺たちはずっと前から目の当たりにしていたと思うのだ。……そう、『モンハン』シリーズで毎回楽しみにしていた、オープニングムービーで。

 ゲーム中ではどうしても描き切れなかったハンターの心情や生活の風景、そしてモンスターたちの生業と生態系を、オープニングムービーは切り出して見せてくれていた。それを見るたびに、「ハンターたちはこんな生活をしているのか」とか「これが本来のモンスターの姿なんだな」なんて夢想したものだが、それが『モンスターハンター:ワールド』では、リアルタイムのゲームとして触れることができるに違いない。

 いまから2年以上も昔。『モンスターハンター4G』の発売後に開かれたモンハンフェスタの地方大会の折に、ディレクターの徳田優也さんと酒を飲んだことがある。そのとき、心地いい酔いの中で俺が振った、

 「ボリューム的にもシステム的にも、かなり極まってきましたね。まだこの先があるんですかねー?」

 という何気ない問いかけに、徳田さんは心からうれしそうにこう言ったのだ。

 「大塚さん、これだけじゃないですよ。やりたいことが、まだ山ほどありますから!」

 あのときの答えのひとつが、この『モンスターハンター:ワールド』なんだなとしみじみと思う。

 ずっと、このゲームを待っていた。

 しっかりと、追いかけさせていただきます!


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