【現地コラム】MS、SIE、任天堂のカンファレンスはどうだったのか?【E3 2017】

E3 2017現地からお送りするコラム。週刊ファミ通編集長の林克彦が、ハードメーカー3社のカンファレンスを振り返ります。

●現地で観て、感じたことをつらつらと。主観です。

 週刊ファミ通編集長の林です。せっかく日本からここロスまで来ているので、気の赴くままに、E3関連の雑記を書きたいと思います。よろしかったらお付き合いください。今回は、ハードメーカー3社のカンファレンスについて。マイクロソフトとソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)は、例年通り現地でカンファレンスを開催。当然ながらLIVE配信もありました。任天堂も、ここ数年と同様に(昨年はありませんでしたが)デジタル配信でカンファレンスを実施。ハードメーカー3社が、同じタイミングで今後の戦略、注力タイトルについて言及する機会はやはり貴重です。というわけで、主観メインに感想を綴っていきます。

■マイクロソフト
 今年のマイクロソフトのカンファレンスは、とても重要なタイミングでの開催でした。なぜか? 言うまでもなく、今年はXbox One Xのお披露目の場であり、そのインパクト、内容によっては北米市場における勢いを加速、市場の主導権を握れる可能性があるから。Xbox One Xのマシンパワーが、現時点、現世代において頭ひとつ抜けていることは紛れもない事実。カンファレンスでもそのスペックの解説に時間が割かれ、とても丁寧に説明されました。まるでハイスペックなPCのプレゼンを見ているような、そんな感覚。確かに、来るべき4K時代に照準を絞ったうえで、ギリギリの価格に設定しただけではなく、後方互換にいたるまでしっかり対応。すでにこの時点で高い価値があります。

 では、ソフトはどうだったのか? カンファレンスでは、多数のエクスクルーシブ(独占)タイトルがあると明言したうえで、そのラインアップを公開。Xbox One Xのスペックについて最初に説明した以外、残りすべての時間をタイトルの紹介に費やすという、かなり思い切った異例の構成。とくに、ホロレンズやその他サービス関連に一切触れなかったことに正直びっくり。マイクロソフトは、Xbox One Xそのものの魅力と、その魅力を引き出す対応タイトルの力で勝負を賭けた、ということです。

 結果はどうだったのか。正直に書くと、少し物足りなかった。誤解なきように説明すると、ラインアップはすばらしいんです。どれもクオリティーが高く、惹きつける魅力もある。遊びたいゲームが多かった。でも、会場の瞬間的な“沸き具合”は足りなかった。例年、必ずあるはずの、会場中が歓声と拍手で包まれ、スタンディングオベーションが自然に発生するような、そんなサプライズが今年はなかったんです。贅沢かもしれませんが、新ハードを強力に牽引する、代名詞となるべきタイトルがあれば、印象はもっともっとよくなったと思います。

 とはいえ、冒頭に書いたとおり、Xbox One Xのマシンパワーはものすごい。今年11月のロンチから、1年、2年をかけて普及を推し進めていくはずで、いまも水面下では強力なタイトルを仕込んでいるはず。加えて、ホロレンズがどうなるのかも非常に興味深い。マイクロソフトの当面の目標は、北米市場で先頭に立ち、リーダーとして、ゲームの未来を切り拓くことでしょう。そのために、どんな二の矢、三の矢を仕込んでいくのか。これからも注目です。


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■SIE
 SIEはもしかすると、会場で観た僕たちメディアと、配信で観たユーザーの皆さんでは、演出面や会場の沸き具合の印象が異なるかもしれません。カンファレンス自体は約1時間でしたが、各タイトルのプレゼンテーションに工夫が効いていて、かつテンポもよく、とにかく飽きなかった。たとえば『Days Gone』なら、ゲーム中のシーンと同様に、スクリーン横に残虐に吊るされたゾンビが突然現れて蠢いたり(人形かと思ったら生身だったw)、『モンスターハンター:ワールド』なら、発売時期発表のタイミングでリアルに火の手が上がったり、さらには『Call of Duty:WWII(コール オブ デューティー ワールドウォー 2)』では、スクリーンの枠を越えて会場全体に交戦時の射線が投影され、最後には大音量の爆発も(爆発後、会場には煙が立ち込め、リアルに火薬の匂いがw)。こういった演出がタイトルごとになされていて、最初から最後までしっかり盛り上がったんです。

 カンファレンス終了後、自分のTwitterアカウントで、『モンスターハンター:ワールド』発表時の会場の盛り上がりについて、動画付きでツイートしたのですが、それに対して、「配信で観た印象と違う」という声をたくさんいただきました。「あれ?」と思ったのですが、おそらく配信には通訳さんの声が必要なため、会場の歓声、盛り上がりが若干カットされているのだと思います。結果として、「そんなに盛り上がっていないのかな」という印象を受けた方もいたのだろう、と。これ、やっぱりもったいないですよね。だって『モンスターハンター:ワールド』は、PVの最初のシーンから会場全体がざわざわして、徐々に歓声が大きくなり、タイトル発表のタイミングでは大きな拍手も起こりました。前述したさまざまな演出も、なかなか配信だと届きにくい。来年以降、この点が改善されるといいな、と思います。

 肝心のタイトルラインアップは、昨年と比較して新作は少なかったですが、僕たち日本のゲームファンにとっては『モンスターハンター:ワールド』のインパクトが飛びぬけて強く、加えて『ワンダと巨像』のリメイク、『GOD OF WAR』の最新PV、PS VRの新作など、うれしいニュースが多かった。なんというか、全体に余裕が感じられるというか、数年先まで見据えたタイトル編成ができていて、いま公開すべきタイトルを全力でアピールして共感を得るという、いい流れができているように感じます。


■任天堂
 任天堂の今年のE3の目玉は、発売日も発表された『スーパーマリオ オデッセイ』。実際にいち早くプレイさせてもらったのですが、『マリオ』なんだけど、いつもの『マリオ』とは雰囲気がかなり違う。開発の皆さんが、ほどよい大きさの箱庭ステージに、密度濃く遊びを詰め込んだ結果、とにかく発見、驚きが連鎖する、ぎゅうぎゅう詰めのおもちゃ箱のような『マリオ』になっているんです。率直に、芸なく言うなら、この『マリオ』は新しくておもしろい! ゲームの構成も性質もテイストもまるで違うけど、“発見の連鎖”という点で、『スーパーマリオ オデッセイ』と『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』には共通項があるように感じます。もちろん開発チームは別ですが、見ている視点が同じなのかな、とか想像してしまいました。

 個人的には、この『スーパーマリオ オデッセイ』の満足度がすこぶる高く、それだけでかなりワクワク。そのほかの発表内容は、安定の新作ラインアップという印象も受けました。新鮮味がもっとあれば……とは贅沢な感想でしょうか。もしかすると、ARやVRに対するアプローチもあるのかなと思ったのですが、このあたりへの言及もなし。でも、総じて、任天堂らしい発表内容だったと思います。

 ご存知のとおり、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)はすこぶる順調に推移しており、2017年ホリデーシーズンまでは盤石のラインアップ。その先も定番タイトルが控えており、きっとソフトメーカーのタイトルも増えていくはず。その間にさらなる大玉、隠し球が仕込めれば、ニンテンドースイッチはもっともっと伸びるだろうと思います。『ポケモン』がニンテンドースイッチで、とアナウンスされましたが、ほかにも多数の強力なIPを抱えているところが任天堂の強み。数年前とは明らかに風向きが変わったな、と感じます。


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 というわけで、ハードメーカー3社のカンファレンスについて書いてみました。それぞれをご覧になった皆さんの感想はいかがですか? こういった話題で盛り上がれるのも、E3の楽しいところ。残念ながらすべて観覧できていないので、今回は除きましたが、今年はユービーアイソフトやベセスダ・ソフトワークスなど、ソフトメーカーのカンファレンスの評判がすこぶる高く、実際、新作の発表も含めて盛り上がりました。詳細は、ファミ通.comの記事でチェックしてくれるとうれしいです。次回は、一般入場者が入って、E3の光景はどう変わったのか、について書こうかな。では、また!