赤魔道士は攻撃魔法だけでなく回復や蘇生も得意!『FFXIV』吉田氏インタビュー

『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の吉田直樹プロデューサー兼ディレクターに、ドイツ・ハンブルクでインタビュー。6月20日の発売日が目前に迫った次期拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』のバトルの魅力を、各ジョブのロールごとに質問してみた。

●ドイツ・ハンブルクで試遊&インタビューを敢行!

▲インタビューに先立ち、取材班はひと足先にレベル70のジョブをひと通りプレイ。そのとき受けた印象や疑問を、吉田氏に直接ぶつけてみた。

 アメリカのサンフランシスコとドイツのハンブルクで、『FFXIV』の次期拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』のメディア向けプレビューイベントが開催された。これらのうち、ドイツで開かれたイベントに参加したファミ通の『FFXIV』取材陣は、現地で吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビューを敢行。非常に限られた時間だったため、今回は質問をジョブ関連に限定し、ロール単位でお話をうかがっていった。『紅蓮のリベレーター』の発売を機に大きく変わるバトルシステムを、このインタビューから想像してみてほしい。

▲吉田氏みずから新規バトルシステムの概要を各国メディアに説明。インタビューもドイツにて行われた。

●すべてのタンクジョブがメイン/サブの双方で活躍できる

──タンクは3つのジョブともに、メインタンクとサブタンクのどちらもこなせるのかなという印象を受けました。とくに、戦闘時に攻防のスタンスを切り替えたほうが有効なのではと思えるアクションも多いようです。そういった部分も想定されて作られているのでしょうか?

吉田 僕たちは、タンクはターゲットを維持するのが仕事と言い続けてきています。ですがプレイヤーの方々から、「もっとDPSを出したい」というご意見を多くいただきましたので、その部分は意識するようにしました。「やってください」ではなく、「できるようにしています」という横並びの調整を進めるために、『紅蓮のリベレーター』ではタンクを実装しなかった……そんな意図もあります。ただ、スタンスの切り替えは、切り替え時に各ジョブゲージが半減することからも、「そうしてください」という意図ではありません。防御スタンスでしかゲージの使い道がない、では、攻撃スタンス時に面白さが半減するため、どちらのスタンスにも面白さを用意するようにしたため、そう感じられたのかもしれません。

──なるほど。

吉田 『蒼天のイシュガルド』の当時は暗黒騎士にコストをかけましたが、今回はタンクを実装しないぶん、バランスを横並びにすることに注力しました。とくに、戦士の立ち位置が、サブタンクとして非常に優秀なうえ、ソロ性能もすごく高くなっています。でも、だからこそ好きで使っている方も多いので、そこを中心にしながら暗黒騎士とナイトを調整していきました。最終的には、好きなジョブを使ってもらうのがいちばんという考えかたのもと、できる限りのことをしたつもりです。

──これまでの戦士は、サブタンクとしての性能がズバ抜けて高い印象がありました。それを踏まえて今回の試遊では、ナイトのサブタンクとしての性能に注目したんですが、どちらかというと支援寄りの調整になっていて、こういうサブタンクのありかたもあるんだなという印象を受けました。今回のナイトは、そうした立ち位置という理解で問題ありませんか?

吉田 そうですね。ナイトに新しく追加された範囲攻撃に、敵視アップの効果をつけるかどうかは最後まで議論したところです。インスタンスダンジョン(ID)をプレイするときは敵視アップ効果があったほうが楽だと思われるかもしれませんが、(高難度の)コンテンツで大量の増援が出現したとき、サブタンクのナイトがその新技を使うと、敵視アップの効果があるせいで振り回しづらくなってしまいます。

▲メインタンクの筆頭というイメージの強いナイトだが、今後はサブタンクの出番も増えそう。

──たしかにそんな気がします。

吉田 そう考えたときに、あえて敵視アップの効果を乗せないほうがいいだろうと。その代わり、フラッシュはナイトだけに残してあります。複数の敵のターゲットを取る際は、フラッシュを使っていただいて、敵視が安定したら範囲攻撃を振り回してくださいという感じにしてあります。一方でナイトがサブタンクのときでも、範囲技でガッツリと攻撃できるほうが、より気持ちよく戦えるだろうという考えかたです。意図は結構深くまで踏み込んだつもりです。レベル70向けのいろんなコンテンツに行ってもらわないと、そうした部分に気づいてもらうのは難しいとは思いますが、そのぐらいまで考えてやっているというところは、けっこうあります。

●IDへ気軽にヒーラーで挑戦できるように

──ヒーラーは、正統を行く進化を遂げたなという印象を受けました。いい意味で変化の度合いが小さいうえに、命中の廃止やクルセードスタンスの仕様変更、攻撃魔法の上位版への置き換えなども相まって、種々の恩恵がいちばん受けられていると感じました。このあたりは、意図的にそうしているのでしょうか?

吉田 一部レイドでヒーラーを使っていた方々が、「このタイミングであえてクルセードスタンスを切り替えて、ダメージを稼いだ後でそれを解除してヒールを行うのが腕の見せどころだったのに」とおっしゃっていることは、すでに認識しています。おそらくそうした声は出るだろうと思っていましたが、その側面は後で説明します。

──承知しました。

吉田 IDなどにヒーラーで参加したときに、現状ではどうしてもDPSを求められる空気があったと思います。たとえそれが無言の圧力だったとしても、です。そうした空気が醸成されていった結果、インスタンスダンジョンでさえも、ヒーラーを出すのが億劫に感じてしまう事態を招きました。僕自身IDのクリア時間はそんなに気にしないほうで、確実にクリアできるほうが嬉しいタイプです。初見の方がいればゆっくりプレイしようとしますし。ただ、ヒーラーがだんだん面倒に感じられてきています……申し訳ありませんが僕もそうなりつつあります。プライベートアカウントでは、どのロールもプレイしますが、せめてIDくらいは好きなロールで遊べていいのかなと思うのです。逆にレイドでは性格が出てしまうので、初期攻略はどうしてもDPSに寄りますね。ILが上がって周回に入ると、ほかのロールもありなんですが(苦笑)

──そうなんですね。

吉田 その一方、IDに参加する際は、マッチングが早いのでタンクやヒーラーで行くことも多いのですが、ヒーラーの場合攻撃すること自体はいいとしても、スタンスの切り替えがどうしてもふつうにヒーラーをするプレイヤーの層を狭めていると感じます。実際にデータを見てみると、ヒーラーのジョブレベルをカンストさせているのに、インスタンスダンジョンですらヒーラーを出していない方が結構いらっしゃいます。その理由を考えると、やはり面倒くさいことと、DPSを求められることのふたつが原因のようです。

──そう感じる人は多いかもしれません。

吉田 そこで今回、ヒーラーの攻撃魔法をMNDで計算することにしました。無理にクルセードスタンスを入れる必要がなくなったことで、ホーリーを撃ちたいときに撃てる。迅速魔からのホーリーで(敵を動けなくして)、あとはヒールをしていればいい……この気楽さが加わったことで、インスタンスダンジョンにヒーラーで参加される方が絶対に増えるはずです。

▲魔法のダメージ計算式がINTからMNDに変更されることで、今後は攻撃と回復を両立させた立ち回りが可能になる。

──たしかにそういう気持ちになりそうです。

吉田 僕たちは、レベリング活動全般やインスタンスダンジョンと、レイドを代表とするエンドコンテンツを、分けて考えます。ようは、もっとIDでヒーラーをカジュアル感覚で使えてもいいのではないかなと。そういう意図のもとで、簡略化を行ったポイントは結構多いです。逆に、エンドコンテンツに挑んだ場合は、そこから先が求められます。おそらく、固定メンバーの(ジョブの)組み合わせや腕前に応じて、ヒール以外の要素を求められることもあるのが現実です。ですので、スタンスの切り替えを瞬時に行って、攻撃して即戻してヒール、というプレイスタイルに楽しみを覚えていた方がいらっしゃることも、とてもよく理解できます。上手くやってる!という感覚です。ただ、今回はスタンスを変えて戻す2手分も攻撃に回すこともでき、その2手は設定するロールアクションの使用に回すこともできます。ロールアクションで画期的にやることが増える、とまでは言いませんが、工夫の余地は増えると考えます。

──味方ひとりを自分の場所に引き寄せる“救出”は、まさにそういう技ですよね。

吉田 キャスターのロールアクションに、自分のMPをほかのメンバーに渡せる技が入ります。自分のパーティのヒーラーがMP管理が苦手なのであれば、MPを無限に持つ黒魔道士から、攻撃ができないフェーズ切り替えのときなどに、MPをガンガン分けてもらうことができます。これによってMPに余裕が生じるぶん、ヒーラーのロールアクションからMP回復効果のあるものを外して、ほかの技を選ぶという選択肢が生まれる場合もあります。MPに余裕がある場合、さらに攻撃に使っても良い、ということもありますし。各アクションの消費MPにも手を入れてありますので、攻撃しやすくなったぶん、ガス欠になっても意味がないので、そうした部分も細かく調整しました。

──殴りたければ、もう一発殴れと。

吉田 はい。ですので、クルセードスタンスのオン/オフを行う手間が省けるぶん、(攻撃以外にも)いろいろできるようになっています。ロールアクションの追加により、クルセードスタンスの切り替えの代わりに行える選択肢が増えたので、そこに腕前を発揮していただければと。

──なるほど。

吉田 とかく誤解されがちですが、シンプルさやわかりやすさと、簡単さはイコールではありません。シンプルでわかりやすくなったからこそ、腕前の差やセットアップの差が出始めるので、HP回復以外に活躍の場を求めるのであれば、ヒーラーはその分野で輝いていただきたいです。

──実際にプレイしてみて、ヒーラーに限らず、ほかのロールでもコンテンツごとにロールアクションの入れ替えが重要になりそうだと感じました。そうした際に、ロールアクションのプリセット機能などがあれば便利だなと思ったのですが、実装の予定はありますか?

吉田 ひとまず様子見です。実際どこまでそれをされるか、蓋をあけてみないとわからないと感じています。特にそれをするのはレイド攻略などだと思いますので、フィードバックをお待ちしています。