SIEタイトルの名曲たちがフルオーケストラで蘇る! “Jスタ音楽祭2017”リポート

四半世紀に渡ってファンを魅了してきた、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のゲームミュージックの数々がフルオーケストラで蘇る! 2017年5月3日、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われた“Jスタ音楽祭”の模様をダイジェストでお届け。

●最高の舞台で最高のパフォーマンスを!

 2017年5月3日、神奈川県ミューザ川崎シンフォニーホールにて“GAME SYMPHONY JAPAN 23rd CONCERT 〜PlayStationを彩るJAPAN Studio 音楽祭2017〜”が行われた。

 このイベントは、SIE ワールドワイド・スタジオ JAPAN Studio(以下、“Jスタ”)と、志村健一氏率いる“GAME SYMPHONY JAPAN”とのコラボレーションによるオーケストラ演奏のゲーム音楽コンサート。

 GAME SYMPHONY JAPANは、2014年の第1回公演『ファイナルファンタジーVII』を皮切りにこれまで22回もの公演を行ってきた、ゲーム音楽に特化したコンサートシリーズで、国内外で累計2万人以上の観客を動員している。今回も、さまざまな分野からスペシャルゲストを招き、会場に集ったファンを驚かせてくれた。

 本記事では、このイベントの模様をダイジェストでお届けする。

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 今回は、開演よりも1時間半も早い16時半に開場。おかげで、物販コーナーにも余裕を持って回れるとあってか、多くの来場者が安心して行列を作っていたり、ロビーでお出迎えをしていたトロやクロ、ピポサルたちと記念撮影をしたりしていた。

▲ロビーには大型の『DUAL SHOCK4』の展示なども。また、物販コーナーには長蛇の列が。

 さらに開演の30分ほど前からは、ステージで“プレトーク”と称して、今回のコンサートで演奏される楽曲のゲームクリエイターやサウンドプロデューサーたちによるトークコーナーも。コンサート全体で指揮をとる志村氏も参加していたが、本番前とは思えないほどのリラックスムード。途中からはゲストの田中公平氏も乱入し、「志村くんの顔をずっと見ていないといけないからツラい」(田中)、「いいから座ってくださいよ!」(志村)など、息の合った和やかトークをくり広げ、会場中の笑いを誘っていた。

▲本日の進行役で、Jスタの公式生放送番組『Jスタとあそぼう』でおなじみの女優・結(ゆい)さんやクリエイター陣に、志村氏や坂本英城氏、なるけみちこ氏といった豪華ゲストも加わり、番組同様の和やかなトークをくり広げていた。

 そしていよいよコンサートが始まる。

●第1部 懐かしの楽曲が当時のまま蘇る

 第1部は“全ての物語はここから始まる”というテーマで、『I.Q Intelligent Qube』(1997年)、『アーク ザ ラッド』(1995年)、『ポポロクロイス物語』(1996年)、『ワイルドアームズ』(1996年)、『俺の屍を越えてゆけ』(1999年)といった、初代プレイステーション作品の楽曲が演奏された。

 『I.Q Intelligent Qube』では、大河ドラマ『真田丸』などで知られる服部隆之氏による楽曲に加え、ステージ曲の演奏開始前には東京混声合唱団によるバリトンの“イイ声”で「1st Stage」のコールがかかるという、何とも豪華な遊び心も。

 続く『アーク ザ ラッド』からは、“光と音のRPG”の名にふさわしい威風堂々としたメインテーマが。CD-ROMの採用で、ゲームにおける音質を一気に引き上げたプレイステーションでは、早くからソニー・ミュージックゆかりのプロミュージシャンや、国内外のオーケストラを起用した音作りを行ってきた。20年以上経った今日、この曲のようにあのころと変わらぬ演奏を耳にすると「当時の音楽ってすごかったんだな!」と、あらためて感動させられる。

 『ポポロクロイス物語』の主題歌『ピエトロの旅立ち』には、“ジュリエッタ柴田”名義で歌唱を担当した女優の奥山佳恵さんがゲスト出演。「この日のために発注しました」というゲームのヒロイン・ナルシアの衣装で登場し、約20年前のレコーディング以来、公の場では初披露だというこの歌を見事に歌い上げていた。

▲奥山さんは、当時のチーフマネージャーに「俺の遺言だと思って歌ってくれ」と懇願されたことがきっかけで、この曲を歌うことになったのだという。ちなみに、そのチーフマネージャー氏はその後事務所の社長に出世し、今回の衣装代も出してくれたとのこと!

 昨年、シリーズ20周年を迎えサウンドプロジェクト『Score Re;fire WILD ARMS』も発表された『ワイルドアームズ』からは、口笛の音色が美しいオープニングテーマ『荒野の果てへ』が登場。かつて全日本口笛音楽コンクールでグランプリを取った、“日本一の口笛師”早川章弘氏がゲスト出演し、“オーケストラ+口笛”という珍しい組み合わせの演奏を聴かせてくれた。

 そして第1部の最後を飾ったのは『俺の屍を越えてゆけ』。主題歌の『花』を、作曲家でピアニストの樹原涼子氏が、オーケストラをバックにピアノの弾き語りで披露。左右非対称の設計で、音響にこだわり抜いた設計で知られるミューザ川崎に、当時を遥かに超えるパワフルな歌声が心地よく響き渡っていた。

▲もともと『花』は『俺の屍を越えてゆけ』のために作った楽曲ではなく、初演の際に同作のディレクターだった桝田省治氏が楽屋にやってきて「使わせてほしい」と頼んだことで主題歌に決まったらしい。ただ、そのとき桝田氏からは、ゲームの内容については一切語られなかったという……。

●第2部 キャラクターたちがステージを盛り上げる!

 第2部のテーマは“音楽とキャラクターたちの共演”。『サルゲッチュ』(1999年)、『勇者のくせになまいきだ。』(2007年)、『パタポン』(2007年)、『どこでもいっしょ』(1999年)、『LocoRoco』(2006年)と、キャラクター性の強い作品群が登場し、おなじみのキャラクターたちもステージ上に。耳だけでなく、目でも楽しめる賑やかな時間となっていた。

 『サルゲッチュ』では、ピポサルたちがモンキーパークから逃げ出すオープニングシーンから、主人公たちがタイムスリップしてピポサルを追いかけ、捕まえる……というゲームの流れを、演奏と実演で再現。最後は、ピポサルが指揮者の志村氏に“ゲッチュ”されていた。

 『勇者のくせになまいきだ。』では、ピアニカやリコーダー、タンバリンなど、昔音楽の授業などで誰もが演奏したことがあるであろうポピュラーな楽器が参戦。ゲームの流れを追いながら、ゲーム同様どこか懐かしさを感じさせる音色で観客を魅了していた。

 続く『パタポン』は、当時テレビCMでも使われた『ギョロッチのテーマ』を含むおなじみの3曲を演奏。オーケストラの打楽器隊と、合唱団によるパタポン行進のかけ声“ポン・ポン・パタ・ポン”は迫力満点で、観客席をノリノリにさせていた。

 『どこでもいっしょ』で大歓声を浴びながらステージの両脇から登場したのは、トロとクロ。みずから手拍子を要求し、『まいにちいっしょ』のニュース番組『トロ・ステーション』の曲で会場を盛り上げる。調子に乗ったふたりは、志村氏の代わりに指揮台へ……。クロは失敗するも、トロがベートーヴェンの交響曲第5番『運命』の指揮を見事に成功させ、会場をさらに盛り上げた。

 『LocoRoco』には、東京少年少女合唱隊の皆さんが参加し、テレビCMで話題となったテーマソング『ロコロコのうた』を歌唱。ステージ上方の混声合唱団のお姉さま方もノリノリで、見た目にも楽しいステージに。

 第2部ラストは『パラッパラッパー』。オーケストラをバックに、ラップとダンスで各ステージを再現してしまう、型破りな構成で観客席も大興奮。リマスター版がプレイステーション4で発売を開始したばかりの、本イベント中もっともホットなタイトルが見事にトリを飾った。

▲「キック、キック、パンチ!」など、ゲームと同じセリフを再現していた。

●第3部 オーケストラならではの圧倒的な音圧

 いよいよラストとなる第3部へ。“PlayStationと共に広がるJAPAN Studioの世界”をテーマに、『ICO』(2001年)、『ワンダと巨像』(2005年)、『人喰いの大鷲トリコ』(2016年)の上田文人氏の3作品、『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』、『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』の『GRAVITY DAZE』シリーズ2作品の楽曲が演奏された。

 『ICO』からは、ゲームの幻想的な雰囲気を思い起こさせる、美しい旋律が耳に残った。とくに印象的だったのはコーラスの美しさ。後に『ペルソナ3』などをきっかけにBGMにもボーカルを採用する作品が定着していったが、当時はまだあまり採用されていなかった。そういったゲーム音楽史の視点からも、『ICO』は重要な作品と言えるのかもしれない。

 『ワンダと巨像』では、勇壮な戦闘中の楽曲が特徴的だった。穏やかで美しいメロディーが心地よい、プロローグからの変化に驚かされるのは、まさにゲームと同じ。巨像との、重量感溢れる戦闘をイメージさせる力強い演奏に、会場にいながらにして緊張感を味わわされることに……。

 そして『人喰いの大鷲トリコ』へ。エンディングまでの物語をなぞるように8曲もの主要楽曲が演奏された。風の音や鳥のさえずり、トリコの声なども挿入され、さながら映画を観ているかのようなメッセージ性の強い構成、演奏という印象で、まだゲームの記憶も新しい観客席は、思い出を掘り起こしているのか、うなずきながら聴き入っている人が多かった。

 ここでミニブレイクが入り、結さんと『GRAVITY DAZE』シリーズの楽曲を手掛けた田中公平氏、同シリーズのディレクター・外山圭一郎氏がステージへ。田中氏は休憩中の志村氏を呼び込み、直前までの緊張感はどこへやらの“田中ワールド”を展開。ラストへ向けて、大いに会場を盛り上げていた。

▲どんなときもエネルギッシュな田中氏(写真右)のトーク!

 いよいよ公演のトリを飾る、『GRAVITY DAZE』シリーズ2作品の演奏へ。楽曲制作に際しては、主役の旋律を演奏するパート(楽器)がつぎつぎと入れ替わったり、それらが合わさったりする構成の楽曲を作ってほしいと依頼があったという。まさにその構成を体現した、主役が代わる代わる移っていったり、合わさっていく、表情豊かな楽曲が展開。とくに、各パートが合わさり、オーケストラのすべての楽器が躍動する瞬間の音圧のすごさは感動的だった。生演奏だからこその醍醐味である。

▲ゲストアーティストのエリック・ミヤシロ氏(トランペット)らも存在感を放っていた。

 興奮冷めらやぬ中、エンディングへ。『パラッパラッパー』のプロデューサー兼作曲家である松浦雅也氏とパラッパ、SIE ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏、そしてゲストが再登場し、客席もオールスタンディングで『パラッパラッパー』のエンディングテーマ『クラブパーティー・ラップ』を合唱。3時間近くにもわたるステージは幕を閉じた。

 プレイステーションの歴史をなぞるコンサートとなったこの公演。随所に遊び心あり、豪華ゲストあり、制作側の熱量が感じられるイベントだった。GAME SYMPHONY JAPANでは、これまでも客席数よりも音響にこだわった会場選びをしており、今回もそんな彼らの“音”へのこだわりが最大限詰め込まれていた。また、ファンの視点からは、「Jスタと言えば……」で思い起こされる作品も数多くあるだろう。彼らの今後のコンサート展開に、大きな期待を抱かずにはいられない。

GAME SYMPHONY JAPAN 23rd CONCERT 〜PlayStationを彩るJAPAN Studio 音楽祭2017〜 セットリスト

第1部 全ての物語はここから始まる
I.Q Intelligent Qube オープニング・コーラス/前兆/第1の潮流/黄道/危機の訪れ
アークザラッド 「アークザラッド」のテーマ
ポポロクロイス物語 ピエトロの旅立ち
ワイルドアームズ 荒野の果てへ
俺の屍を越えてゆけ 花

第2部 音楽とキャラクターたちの共演
サルゲッチュ オープニングムービー/タイムスリップムービー/こだいのはらっぱ
勇者のくせになまいきだ。 すべてのはじまり/こんかいのお題/さわやかな朝のダンジョン/なまいき勇者あらわる/みごと勇者を撃退
パタポン パタポンの伝説/ギョロッチのテーマ/ずんじゃかホイ!〜凱旋〜
どこでもいっしょ テーマ曲(「どこでもいっしょ」オープニングバージョン)/News BGM Ver.3/news_End
LocoRoco ロコロコのうた
パラッパラッパー パラッパ登場/たまねぎ先生のカンフー・ラップ/ムースリーニ先生の教習ラップ/カエル先生の売口上ラップ/ニワトリ先生のお料理ラップ/トイレ・ラップ/クラブパーティー・ラップ

第3部 PlayStationと共に広がるJAPAN Studioの世界
ICO prologue/impression/Castle in the Mist/heal/ICO -You were there-
ワンダと巨像 プロローグ 〜古えの地へ〜/荒ぶる邂逅 〜巨像との戦い〜/甦る力 〜巨像との戦い〜/復活の予兆/エピローグ 〜残されし者たち〜
人喰いの大鷲トリコ Overture: Lore/Forest/Sentinel II/Victorious/Finale I: Apex/Finale II: Escape/End Titles: The Last Guardian Suite/Epilogue
GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動 万有引力の発見/オルドノワ/反抗と殲滅
GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択 GRAVITY DAZE 2/アンジェ/レベル4/GRAVITY DAZE/重力的眩暈(Ending Ver.)

アンコール
パラッパラッパー ファニー・ラブ/クラブパーティー・ラップ



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