LogicLinksの新サービスはなんとMVNO事業! 事業参入の思惑を春田康一氏に訊いた!!【超会議2017】

2017年4月30日(日)に行われた“ニコニコ超会議2017”にて、LogicLinksの新サービスの発表会を実施。これまでデータ分析事業と開発サポート事業を行ってきた同社が、“MVNO事業”に参入することが明らかにされた。代表の春田康一氏がゲーム業界で目指すものとはいったい何なのか? 週刊ファミ通編集長の林克彦が、春田氏にインタビューした。

●「ユーザーも開発者も喜ばせたい」(春田氏)

 2016年11月25日、『グランブルーファンタジー』のプロデューサーとして知られた春田康一氏が、新会社LogicLinks(ロジックリンクス)を設立。代表取締役社長に就任するというニュースは、ゲーム業界を駆け巡った。そんな春田氏が、2017年4月30日(日)に行われた“ニコニコ超会議2017”にて、LogicLinksの新サービスの発表会を実施。これまでデータ分析事業と開発サポート事業を行ってきた同社が、“MVNO事業”に参入することが明らかにされた。春田氏がゲーム業界で目指すものとはいったい何なのか? 週刊ファミ通編集長の林克彦が、春田氏にインタビューした。

 なお、本インタビューは“ニコニコ超会議2017”直前に行われたものなので、まずはサービスの説明から話をうかがっている。春田氏からは「新サービスについて話す」ということ以外、何も知らされずにインタビューに赴いたので、話を聞いた瞬間の困惑ぶりにも注目してほしい。

『グランブルーファンタジー』の春田康一氏がこれから目指すものとは?――新会社設立直後の直撃インタビュー

■春田康一氏(文中は春田
株式会社LogicLinks代表取締役社長。『グランブルーファンタジー』のプロデューサーとして、ゲームの開発だけではなく、さまざまなイベントや驚きの展開を作り、ユーザーを楽しませた。

――今回は、ニコニコ超会議で発表されたLogicLinksの新サービスについてのお話を聞くインタビューなのですが、このインタビューはニコニコ超会議の前に行っていますので、我々も何も情報がないですから(笑)、まず何をするのか、というところからうかがえればと思います。

春田 LogicLinks起ち上げのころから、ずっと話したくてウズウズしていました(笑)。LogicLinksという会社では、現在、“データ分析事業”と、“開発サポート事業”という2種類の事業を行っています。データ分析事業は、データを分析し、その結果からゲーム開発に役立つ情報を提供させてもらうもので、開発サポート事業はゲーム企画のお手伝いなど、ゲーム開発に関わる質問の受け付けなどをやっています。これらはLogicLinksの“Logic”の部分です。今回新たに“Links”の部分を担う3つ目の事業として、ニコニコ超会議で発表させていただいたのが、“LinksMate(リンクスメイト)”です。LogicLinksが新たな事業に参入します。それが何かと言いますと、“MVNO事業”です

――えっ? MVNOですか?

春田 はい。NTTドコモ、ソフトバンク、auなどのキャリアを“MNO”と言います。ふだん皆さんはキャリアと契約してデータ通信や電話をしていると思うのですが、MNOの通信網をお借りして、独自のサービスを付帯してデータ通信などを提供するというサービスが、今回LogicLinksが事業として参入する“MVNO”になります。これをなぜやろうと思ったかと言うと、話は『グランブルーファンタジー』を運営していた時代まで遡ります。『グランブルーファンタジー』って通信量が多くて、プレイヤーさんが通信制限に引っ掛かってしまうことが多かったんです。開発側の立場でそれを対処すると、ゲームデータを削って通信量を減らすことになるわけです。でもゲームデータを削ると、画質が悪くなったり、アニメーションのクオリティーが下がったりという影響があるわけで。そこで我々がMVNO事業として、“ゲーム”、“コンテンツ”、“SNS”のカウントフリー(※特定のアプリやWebサイト利用時のデータ通信量がカウントされなくなるサービス)を実現しようと。現状、SNSに対してカウントフリーを行うサービスを提供する会社はあるのですが、ゲームに対するサービスというのがあまりないんですよね。だから、これを徹底的にやろうと

――思ってもみないサービスの話が出てきたので、まだ考えが整理できていないのですが(笑)、一般の方々はMVNO事業というもの自体、聞きなれない言葉だと思いますので、そこを改めてお聞きしたいです。

春田 MVNO事業が活発になってきたのは10年ほど前になります。NTTドコモ、ソフトバンク、auから通信網をお借りして、SIMカードの貸し出し、データ通信などのサービスを行う事業です。お客様としてはキャリアやMVNOがそれぞれ行っているサービスや料金・プランの違いで判断して契約している形で、とくに契約先がMNOかMVNOかというのはあまりもう気にされていないのではないかと思います。ただ、個人的には手厚いサービスやケアが欲しい場合は、NTTドコモ、ソフトバンク、auのほうが実店舗も多く対面でサポートを受けられるなどという点からいいと思います。もっとお得にスマホを使いたいという人はMVNOを選ばれる方が多いようですね。データとしてもMVNOへの認知度は40~50%まで高まってきていて、SIMカード利用者の20%程度の方々がすでにMVNOを利用しています。比較的一般的になってきてはいますが、まだまだご存知ない方も多いでしょうね。

――要するに“格安スマホ”、“格安SIM”と言われているものですよね。

春田 そうですね。MVNOのひとつの特徴としてコストをできるだけ抑えて安価にサービスを提供できているというのもあります。LinksMateの通信網はNTTドコモさんからお借りしてサービスを提供し、お申し込み手続きなどのほとんどをネットで完結するようにできていますのでコストは抑えられています。コストを抑えるとともに、サービスの充実に力を入れていて、たとえばLinksMateではSMSが標準で付いています。理由としましては、ショートメッセージを使ってアプリの利用認証をするゲームも増えてきたので、これが標準装備されていないとゲームができなくなってしまうからなんです。また、ゲーマーの方だと端末を複数持っている方も多いですよね。LinksMateではデータ通信容量はどのプランでもシェアできますので、自分自身の複数の端末でシェアしてもいいですし、家族の方々でシェアしてもらっても大丈夫です。LinksMateのプランは4つありまして、音声通話機能を付けない場合で高速データ通信容量別に5GBプランで1500円、30GBプランで5400円となっています。音声通話機能を付けると5GBプラン2100円、30GBプラン6000円となります。自分で使用していた携帯電話は基本料金だけで毎月1万円くらい払っていましたが、これよりはぜんぜん安くなりました。

――かなり安く感じますね。

春田 CMなどでもよく耳にされていることと思いますが、“格安SIM”と言われている通り、一昔前の携帯利用代金と比べればかなり安いと思います。一般の方でも月7000~8000円くらいは平均的に払っていたのではないでしょうか。これが5GBプラン1500円で済んでしまう時代です。5GBの高速データ通信容量があれば、メールやニュースサイトチェックくらいなら十分困らないくらいの容量だと思います。

――しかも、対象ゲームがカウントフリーになるわけですから、通信量を気にしなくて済む。つまり、月末近くになるとゲームユーザーにはよくある「通信制限で速度が落ちちゃった~」ということも防げるわけですよね。

春田 そうです。どうしても通信制限で速度が落ちてしまうと、ゲームをプレイするのを諦めて、一旦止めてしまいますよね。でも、通信制限が入る時期って、ゲーム側からしたらアップデート時期だったりするわけですよ。アップデートファイルが500メガ、1ギガくらいのものをダウンロードしなきゃいけないのに、通信制限のせいでそれができない、なんてこともありますよね。それを防ぐためにも、このサービスを立ち上げようと、LogicLinksを起ち上げた当初から準備していた事業なんです。

――なるほど。ゲームに対するサービスというのは、どういうものになるのでしょうか?

春田 まず、カウントフリーの対象となるコンテンツをお伝えします。春田が発表するのだから、「どうせ『グラブル』と『シャドバ』なんでしょ?」と思われるかもしれませんが、違います(笑)。まだリリースされていないタイトルもありますが、フォワードワークスさんの『みんゴル』、マーベラスさんの『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、ハッピーエレメンツさんの『あんさんぶるスターズ!』、DMMさんの『刀剣乱舞』、『一血卍傑-ONLINE-』、『三国ブレイズ』、『千年戦争アイギスA』、ブシロードさんとCraft Eggさんの『BangDream! ガールズバンドパーティ!』、KONAMIさんの『実況パワフルサッカー』、そしてサイゲームスの『グランブルーファンタジー』と『シャドウバース』が、カウントフリー対象のゲームになります。今回発表に間に合わなかったタイトルもたくさんありますので、対象ゲームは引き続きまだまだ増えていきます。僕としてはすべてのゲームに参加していただきたいという思いで進めています。今回の発表では、7社11タイトルの提供が決まっているという感じですね。それ以外のカウントフリー対象として、AbemaTV、AWA、Facebook、Twitterも入っています。

◆カウントフリー対象タイトル
みんゴル』(フォワードワークス)
剣と魔法のログレス いにしえの女神』(マーベラス)
あんさんぶるスターズ!』(ハッピーエレメンツ)
刀剣乱舞 Pocket』(DMM.com)
一血卍傑-ONLINE-』(DMM.com)
三国ブレイズ』(DMM.com)
千年戦争アイギスA』(DMM.com)
BangDream! ガールズバンドパーティ!』(ブシロード/Craft Egg)
実況パワフルサッカー』(KONAMI)
グランブルーファンタジー』(サイゲームス)
シャドウバース』(サイゲームス)

◆カウントフリー対象コンテンツ
AbemaTV
AWA
Facebook
Twitter

春田 また、せっかくMVNO事業としてインフラを提供させていただくので、もっとゲームを楽しんでいただくために、対象のゲームとの連携特典や毎月のご利用特典、スタープレゼントという利用特典を用意しています。現在は、『グラブル』と『シャドバ』だけが内容も確定している状態です。まず連携特典ですが、『グラブル』はSSレアキャラクターの“メドゥーサ”がもらえます。『シャドバ』は“プレミアムオーブ”という、所持カードをプレミアム化するアイテムと、『しゃどばすチャンネル』の限定スリーブ&限定エンブレムがもらえます。毎月利用特典は、プランによって異なります。いちばん高い30GBのプランですと、『グラブル』ではエリクシールハーフ30個、ソウルシード50個、リンクスガチャチケット5枚、10万ルピが毎月もらえます。『シャドバ』は、カードを生成できるレッドエーテルがプランに応じてもらえます。30GBプランであれば、レッドエーテルが5400個もらえますので、1ヵ月にレジェンドカード1枚とゴールドカードが2枚をもらえるようなイメージです。

――やっているゲームが多ければ、それだけ毎月特典や連携特典がもらえてお得、ということでしょうか?

春田 プランによって連携できるゲーム数が変わるので、プレイしているゲームの数が多い方は連携できるゲーム数の多いプランを選んでいただく、という感じですね。そしてスタープレゼントなのですが、10GB以上のプランをご利用の場合に連携しているゲームを対象として毎月スターが1個もらえます。このスターが6個貯まると、連携しているゲームでアイテムと交換できます。『グラブル』ですと、ヒヒイロカネか、金剛晶か、“リンクス交換チケット”といういわゆるサプライズチケットのようなものがもらえます。『シャドバ』は好きなレジェンドプレミアムカードが3枚もらえます。なお、『グラブル』のリンクス交換チケットは、ゾーイなどのほかの特典でもらえるSSレアキャラクターなども対象となっていますし、季節限定のものも対象です。ゲーム連携タイトルのほうもカウントフリー対象のゲームとともに、順次サービスサイトのほうで発表していきます。ゲーム連携は正式サービスから順次開始する予定ですので少々お待ちください。

――ちなみに、スターはいつもらえるのでしょうか?

春田 最初のご利用月の決済が正常に完了したときにひとつスターがもらえます。その後も、毎月決済が正常に完了した後にもらえます。

――なるほど。

春田 以上が、全体の概要になります。スケジュールにつきましては、ニコニコ超会議での発表時からサービスサイトをオープンしまして、そこで先行会員登録を受け付け開始します。先行会員登録をしていただいた方には、5月の下旬ごろからサービスを先行して申し込んでいただけるようになる予定です。この段階ではまだゲーム連携はできませんが、7月1日の正式サービス開始時点には、ゲーム連携もできるようになります。

――いやあ、ビックリしました。なぜLogicLinksがMVNO事業に参加されるのでしょうか? やはりゲームユーザーの環境改善が目的なのですか?

春田 そうです。やはり自分自身がゲームを作っていて感じたことがきっかけで。作り手側としては、どんどんゲームをリッチにしたいですよね。でもたとえば、『グラブル』ですと、Webベースのゲームなのでつねに通信が行われていて、膨大なデータ通信量になってしまうんですよ。ではそれをどう改善したらいいのか、と考えると画質を落としたりする必要がある。でも、開発側としてはそこを気にせずに開発したいわけです。たとえばオープンワールドでオンラインのゲームを出そうと思ったらデータ通信量がこれまで以上に増えるわけですよね。そこにゲームのカウントフリーといったサービスがあると、よりリッチにクオリティーの高いゲームを出せるわけです。LogicLinksがMVNOに参入するのは、僕らだけの市場を作りたいわけじゃないんです。MVNO業界全体でこういったサービスが開始されて、ゲーム業界に貢献してもらえないかという思いもあり、今回参入しました

――たしかにお聞きすると、ゲームと親和性の高いサービスですよね。でも、いままでほかの会社はやってないですよね?

春田 目立って「ゲームに向けて行っています」というのはあまりないですね。スマホを使う方って、電話、メール、コミュニティツールやSNSを使ったり、あとは地図や乗り換えなどのナビ系、そしてゲームで遊ぶという使いかたが多いですよね。最近はリアルタイムで映像を見るという使いかたも広まってきましたが、スマホ購入の入り口はゲームという方も多いと思うんです。スマホが欲しい人=ゲームをやりたい人みたいな。必ずしもそうではないですが、ゲームをやる人はスマホを持っているのが基本ですよね。そこに気付いたときに、MVNO事業に行き着いたわけです。

――ふつう、インフラをやろうとはなかなか決断できないですよね。

春田 プラットフォーマーのほうが幾分か自分の身丈には合っていると思います。DeNAさん、GREEさん、DMMさん、iOS、Androidもひとつのプラットフォームだと思います。プラットフォーマーがゲーム業界で担う役割は大きいとは思いますが、これから自分がプラットフォーマーとして新規参入してゲーム業界の助けになるにはもう市場が成熟している状態だと思います。成長鈍化と言いますか、各社取り合っている状況ですよね。そこに参入してどうするんだと考えたんです。そこで別の業種で参入しようと。DMMさん以外は、MVNOをやっていないですしね。

――そういう理由もあったんですね。今回発表されたプランは4つありますが、ゲームユーザーの目線で、どれを選んでいくのがオススメなのですか?

春田 まずはシンプルに価格を他社と比較していただきたいですが、我々はいわゆる“格安SIM”と呼ばれるものに対して、安さで勝負をしていこうとは考えていないです。とはいえ、ある程度の安さは提供したいので、できる限りの金額にしています。あと、他社の契約でよくあるような“期間縛り”がないです。たとえば音声通話を使う場合は、1年間使わないと解約金や違約金が発生するようなものですね。我々のサービスでは、どのプランでも不満があればすぐに解約できます。解約手数料は発生するのですが、3000円ほどで解約できる仕組みにしています。そういった縛りをなくして、とにかく契約も内容も手順もシンプルに、お客様が使いたいときに使って、使いたくなくなったら、すぐに辞められるものにしています。

――ユーザーとしては、自分が月どれくらい支払っているのか確認したうえで、適したものをチョイスすればいいわけですね。あとはキャリアと契約している場合は、解約してこちらで契約すればいいと。

春田 そうですね。現在のスマホの利用状況を確認して、ゲームをたくさんやっていて、通信制限にかかってしまうことがあるようでしたら、こちらのほうがお得です。

――連携特典などは、すべてのゲームが対象になっているのでしょうか?

春田 カウントフリー対象となっているのが、現在7社11タイトルありまして、ゲーム連携ができるものはその中の一部です。今後すべてのゲームで連携ができるようになるかというのは、まだお約束できないです。各社さんにはカウントフリーを利用する方々向けに連携特典を用意してほしい、というお願いはしていますが、必ず特典があるわけではありません。ただ、できる限りご協力いただいています。あとは特典内容については各社さんのご判断で、サービスを通してどんな特典を用意するのかというのを現在検討してもらっています。

――プランによって連携できるゲーム数も変わるということでしたが、具体的には何タイトル連携できるのでしょうか?

春田 5GBプランで1タイトル、10GB以上のプランで3タイトル連携できます。30GBでも3つですね。これは状況を見て変更をさせていただくかもしれません。あと、キャンペーンなども行う予定です。たとえば、新たにリリースされるタイトルがゲーム連携対象となっていた場合に、そのタイトルを特定の期間中は連携タイトルとしてはカウントしない、とか。要は10GB以上のプランの人は、その期間だけ新規タイトルを含めた4タイトルを連携できる、というキャンペーンです。

――カウントフリー対象のゲームについては、連携せずともすべて使いたい放題ということですよね。

春田 そうですね。対象のゲーム・コンテンツ・SNSはカウントフリーオプションに入っていればLinksMateをご利用の際はカウントフリーになります。カウントフリーになることで遊べる時間が増えるわけですから、いままで以上にもっともっとゲームで遊んでほしいと思っています

――ちなみに、改めてカウントフリーの仕組みを教えていただければ。

春田 MVNOを契約しているお客様がモバイル通信でサーバーにアクセスする際の一般的な例を挙げますと、必ずMNOの通信網、無線基地局を通り、契約しているMVNOのサーバーを経由して、インターネットにつながるという流れになります。そしてMVNOのサーバーを通る際に、何メガの通信量を使用しているのかを確認して、契約している通信容量が使った分だけ減っていくわけです。その通信容量を減らす処理のところで、特定のURLにアクセスしている場合だけ、通信容量を減らさないという処理をする仕組みになります。今回の場合は、NTTドコモさんの通信網をお借りしたうえで、LogicLinksで用意したサーバーで対象コンテンツの90%以上のカウントフリーを実現しています。たとえ速度制限モードになったとしても、カウントフリー対象コンテンツであれば高速データ通信で遊ぶことができます。たとえばカウントフリー対象外の動画サイトをずっと見ていて速度制限がかかったとしても、『グラブル』はできる、という感じです

――なるほど。事業としてはこれからまさに波が来るような分野ですよね。ただ、LogicLinksさんの負担も大きいのでは?

春田 やはりインフラなので、事業を行うための設備投資などは必要ですね。まだまだ簡単に参入できるような事業ではないと感じました。ただ、我々としてはネットワークを使ったゲームがもっともっとうまくいってほしいと思っているので、参入したというところが大きいですね。

――各メーカーの反応はいかがでしたか?

春田 十人十色な反応でしたが、「え、なんで?」というのがまず最初でしたね(笑)。僕のことは皆さんご存知だったようで、「春田が来るらしいぞ」、「アイツ何しに来るんだ?」、「何か説明があるらしいぞ」、「コラボか何かかな?」というところからスタートして、「MVNO事業をやります」と説明したら、「え?」という感じでしたね。

――理解されて、ようやく喜ばれたと。

春田 各社さん、やはり通信量を気にせずに開発したいと少なからず思ってくださっていると感じています。もちろんまだ普及してないから実現は難しいですが、そういう未来もあるということに気づけば、もっとリッチなゲームも作っていただけるのではないかと。もっともっと通信を使っていいんですよ、ということを、この事業から発信できればと考えています。

――ユーザー、作り手両方に喜ばれるサービスですよね。今回の発表で、きっと参入したいメーカーが増えると思うのですが、メーカーがLinksMateに参入する障壁はありますか?

春田 ほぼないですね。カウントフリーは僕らの調査で随時追加できますので、許可がいただければほとんどこちらの作業で参加することができます。ゲーム連携に関しても、弊社にはゲームを作っていたエンジニアもいますので、技術的な協力も可能です。

――そうすると参入タイトルは、今後もっと増えるでしょうね。

春田 そうだといいのですが、タイトルが増えるとLinksMateを利用してくださるユーザーさんがたくさん入ってくるので、僕らとしてはお借りする回線の帯域をどんどん増やしていかなきゃいかない。まだどうなるかまったくの未知数ですね(笑)。各社のゲームを通して、ユーザーが入ってきてくれたらいいなと。

――なるほど。たしかにおもしろい試みですね。

春田 ゲーム業界もザワつくと思いますが、これはMVNO業界もザワつくと思います。

――ほかは真似できるかもしれませんが、ゲーム連携特典はなかなか真似できないですもんね。

春田 これだけゲーム会社さんとお付き合いさせていただいているから、実現できたことだと思います。まだまだ発表できていないタイトルも数多くありますし、自分もこれからが楽しみです。カウントフリーオプションに関しては、月額500円という設定をしていますがまずは試してほしいです。
(※“ニコニコ超会議2017”のステージで2017年内無料での提供が決定した)

――通信をシェアできるということでしたが、どういった仕組みでシェアできるのですか?

春田 ひとつの契約が1グループになっていまして、1度契約した後に、追加のSIMカードを注文することで、ほかの端末でも追加したそのSIMカードを使ってグループ内の通信容量を使えるということです。10GBプランで契約していて、端末をふたつ持っていたら、ふたつの端末で通信容量10GBをシェアするわけです。ただ、カウントフリーはもちろんどの端末から通信しても適用されますが、ゲーム連携特典については1グループでの連携になるので、ふたつの端末で受け取るということはできないです。その場合は契約グループを分けていただく形になります。シェアの機能はかなりこだわりました。僕自身が端末をいくつも持っていますから。スマホ、タブレット端末、ルーターなどなど……、それをひとつひとつ契約しなくても、どんどん使えます。また、契約者は20歳以上である必要がありますが、20歳以上の方が契約されれば、利用者はご家族の未成年の方でも大丈夫です。18歳未満の方にはフィルタリングアプリを無償で提供しますので、お子様にも安心して使ってもらえるネットワーク作りを努めさせてもらっています。

――たとえば3人の家族で使う場合はどうするのでしょうか?

春田 たとえばお父さんが契約者でまず契約をしてもらって1回線、そのあとマイページでSIMカードの追加を2回線お申し込みいただきます。そこでご本人が使うのか、それとも家族が使うのかを選んでいただき、家族の場合は、そこに名前や年齢を入れるという形ですね。契約プランにもよりますが30GBプランでも5400円の月額に追加SIMカード2枚の利用料月額300円×2枚で合計6000円で3人で使えちゃいます。

――人数制限はありますよね?

春田 おひとりの契約で5回線まで利用できます。

――乗り換えるデメリットはありますか?

春田 キャリアをご利用の方はキャリアメールが使えなくなる点ですね。ですが、Gmailなどのサービスを使う人も多くなってきましたし、あまりデメリットには感じないのではないかと思います。LINEなどでやり取りをする人も多いですし、Twitterはカウントフリーになっているので。ちなみに90%カウントフリーと謳っているのは、厳密に言うと100%カウントフリーということが難しいからです。たとえばカウントフリー対象のものでも立ち上げればOSによる別の通信が発生する場合があるわけですよ。だから、我々は90%以上としています。ただ、グラブル』にいたってはゲームさえ立ち上がってしまえば99%くらいカウントフリーですので、ゲームプレイに問題があるということはないです。ちなみにコレは余談ですが、ファミ通.comさんもカウントフリーに入っていただくこともできますよ?

――えっ、どういうことですか?

春田 ゲームメディアさんって、画像も動画も多いですよね。それをスマホで見るときにファミ通.comさんがカウントフリーになっていれば、通信量を気にせず見られるわけです。

――なるほど。“東京ゲームショウ”や“E3”など大きなイベントがあったときなどは、画像も動画も多いですし、通信制限がかからない高速回線で見られるのであれば、すごく便利ですね。

春田 そういったメディアやコンテンツも、ゲームと親和性の高いところと、どんどんやらせていただきたいと思っています。

――ぜひ検討させていただきます。ちなみにLinksMateという名前の由来は?

春田 “Mate”という言葉に、“近しい人”という意味合いもあるので、近くの人たちとつなげていくというようなイメージです。ソーシャルゲームがまさにそういう世界ですよね。その人たちをどうつなげていくか、ということで、この名称にしました。ロゴはLとMの崩し文字なんですが、遠目で見ると勇者の兜にも見えるなということで、これに決めました。LinksMateでは、今後はMVNO事業だけをやるとは限りません。近くの人とつなげられる別のサービスがあれば、今後LinksMateのサービスのひとつになる可能性はあります。最初のひとつ目が、MVNO事業というだけなんです。

――最後になりますが、LogicLinksを発表して半年経ちましたが、反響や手応えは感じていますか?

春田 やはり人の力は偉大だな、といま改めて感じています。『グラブル』のときもひとつのタイトルに何百人という人数で取り組み、ひとつひとつがとてもクオリティーの高いものに仕上がって、それを皆さまにご提供できていたのかなと思っていました。今回新たな会社で多くの会社にご協力いただいて、これだけ大きく、新しいものにチャレンジできるということがうれしいですね。僕自身、仕事としての手応えは感じています。

――立ち位置がいままでとは異なるじゃないですか。開発の中心にいたのが、外側から見ているというか。俯瞰から見たいまのゲーム業界を春田さんは、どう感じていますか?

春田 『グラブル』を運営していたときには、その範囲内でゲームについて考えていましたが、今回いろいろな会社さんとやり取りをしていくうちに、「ああ、この会社はこういう風にゲームについて考えているんだ」とわかることが多かったです。会社によっては、お客様にどんなサービスを提供したいかというお話を聞く機会もありました。そこで我々が、「ほかのゲームメーカーやユーザーに対して何ができるのだろう?」と考えさせられる半年でしたね。まだまだやれることがいっぱいあります

――最後にLinksMateの今後の目標をお聞かせいただけますでしょうか?

春田 LinksMateとして、で言えば、まずは何よりも、ユーザーの皆さまに満足していただけるサービスをご提供したいです。MVNO事業として、ゲームユーザーのほとんどが「使って当たり前だよね」みたいな規模にまで発展させたいですね。それがどれくらいたいへんなことなのかはわかりませんが、「ゲームをやるならコレだよ」というスタンダードなものにしたいなと。MVNO事業はLinksMateのスタート地点だと思っています。今後のサービス開始をぜひご期待ください!