●“ファミキャリ!会社探訪”第45回はクローバーラボ!

 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍する各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。45回目となる今回は、クローバーラボを訪問。
 2009年に兵庫県・神戸に設立されたクローバーラボ。Webサービスの受託開発を中心に成長を続けていたが、創立3年目より、自社内開発にシフトしていき、2014年には『ゆるドラシル』(iOS/Android)を配信した。また、退職金制度の導入や社内にバーカウンターを設置するなど、福利厚生にも積極的だ。今回は、同社代表取締役CEO・小山力也氏、プロデューサー・川本浩三氏に話を聞いた。


●楽しんで仕事に打ち込める環境を作ったことが、ヒット作につながった

クローバーラボ
代表取締役CEO 小山力也氏

――クローバーラボ設立までの経緯を教えてください。
小山力也氏(以下、小山) リーマンショックがきっかけで、当時勤めていた会社を辞めることになりました。そのとき、いっしょに働いていたメンバーと設立したのがクローバーラボです。設立当時は前職からの流れもあり、Webシステムやソーシャルゲームの受託開発を行っていました。しかし、当時から「いつかは自社開発のサービスでやっていこう」という思いは持っていました。それを行動に移したのが設立3年目。自社開発に移行できるメドが立っていたわけではなかったのですが、「このままではズルズルと行ってしまう。流れを止めて勝負に出るべきだ」と考えて、社内で“受託ストップ宣言”をしました。

クローバーラボ
プロデューサー 川本浩三氏

川本浩三氏(以下、川本) 私が入社したのが、“受託ストップ宣言”の少し前です。「大丈夫?」という気持ちはゼロではありませんでしたが、それ以上に「やってやろうぜ!」という前向きな空気が社内いっぱいに満ちていたことを覚えています。
小山 自社開発でやっていけるという確かな手応えを感じられるようになったのは、やはり2014年に『ゆるドラシル』をリリースしてからですね。“受託ストップ宣言”からは2年近くかかりました。
川本 『ゆるドラシル』は、当時としては珍しいシナリオが充実したタイトルです。しかもギャグ路線のシナリオ。これは本当に稀少だったと思います。パロディネタやナンセンスとも言えるキャラクター設定をふんだんに盛り込みましたね。そのあたりが、ヒットの要因になりました。きわどいネタも多かったのですが、オーケーしてくれた社長に感謝です。
小山 リリース前に説明を受けてはいますが、ゲームの中身は基本的に開発陣に任せています。ただ、「どうせなら振り切ってしまえ」という思いは会社設立時から持っていました。ゲームを作っている人間が楽しそうに開発に打ち込んでいるのですから、そのゲームはきっと楽しいはず。それが私の考えかたです。逆に言えば、スタッフが楽しく仕事に熱中できる環境を作ることが私の仕事であり、それができれば会社は成長する。そう考えて、いままでやってきました。

●自社一貫体制で取り組むからこそ実現できるクオリティーがある

――ゲームの企画から運営まで、すべてを自社で担当されていますね。
川本 はい。この体制のいいところは、密なコミュニケーションが図れることです。メンバーはみんな、日ごろから同じオフィスの同じフロアで顔を合わせていますから、コミュニケーションが活発になり、開発のスピードが上がります。さらにクオリティーも高まります。社外の方に対する場合は、気を遣って言いにくいことがあったり、“おもしろさ”の感覚を共有しにくかったりすることがあります。それがクオリティーに影響してくるのです。ところが私たちは、言いたいことは遠慮なく言い合える関係ですし、お互いに“おもしろさのツボ”を理解し合っている。だから納得できるクオリティーになるのだと思います。
小山 指示書もかなり緩いですよね。
川本 そうなんです。外部の会社に対しては、やはり、キチンとした指示書や発注書などが必要ですが、それを作るだけで時間がかかってしまうんですよね。しかし社内だと、極端に言えば、書類なんてなくてもいい。立ち話で発注や指示ができてしまうのです。スピードアップという点でメリットが大きいですよ。
小山 これは期待する人材の話にもなるのですが、経営陣の立場からすると、“緩い指示書”はむしろ歓迎なんです。というのも、私たちの仕事はクリエイティブであって、決して“作業”ではない。「指示書に書いてある通りにしました」、「指示書に書いていないからやっていません」という姿勢ではダメですよね。むしろ、指示書には書かれていないことに思いを馳せて、ユーザーの楽しむ顔を想像したりしながら、自分なりの仕事を進めてほしい。そういう意味で、指示書よりも立ち話というスタンスは悪くないと思っています。
川本 ディスカッションは活発ですよ。みんながそれぞれに考えを持ち寄って、「このゲームをもっとおもしろくするには」などと意見を戦わせているんです。そうやってでき上がったものは、たいていの場合、最初にプロデューサーが考えていたものよりもおもしろい。チームでゲーム作りをする、当社ならではの強みが発揮できているのかもしれません。