レッドブルアスリート“ボンちゃん”が『ストリートファイターV』カプコンプロツアーなど、2016年の闘いを振り返る

ファミ通の格ゲー好き編集者の豊泉三兄弟(次男)がボンちゃんに直撃インタビュー。

●ボンちゃんが2016年を振り返る

 レッドブルアスリートとして活躍するプロゲーマーのボンちゃんは、フランスで行われたRed Bull KumiteやアメリカのEVO2016、そして『ストリートファイターV』のプロツアーなど、2016年は休む間もなく世界を駆け巡った。今回は、2016年を闘い抜いたボンちゃんにファミ通の格ゲー好き編集者の豊泉三兄弟(次男)が直撃インタビュー。きびしい闘いの続いた2016年を振り返りつつ、2017年への意気込みをうかがった。EVO2016前に行ったこちらのインタビューと併せて読んでほしい。


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ボンちゃん
レッドブルアスリートとして活躍するプロゲーマー。
『ストIV』シリーズではEVO2014準優勝などの輝かしい実績を持つ。『ストV』ではRed Bull Kumite 2016で4位入賞を果たした。メインキャラクターはナッシュ。

豊泉 先日行われたRed Bull 5Gでは、ぷげら選手、ガチくん選手とアツい勝負をくり広げましたね。
※Red Bull 5G大会リポートはこちら
※ボンちゃん選手は同じくレッドブルアスリートのウメハラ選手とタッグを組んで出場。試合ごとに選手の入れ替えが可能だが、同一選手は2連続までしか出られないという変則の5セットタッグマッチ(3セット先取、1セットは2試合先取)で行われた。

ボンちゃん 正直、練習があまりできていなかったんですよ。ぷげら君はメインキャラクターが曖昧だったんですけど、おそらくいぶきかキャミィだろうと予想していて。東側の予選の決勝で俺がいぶきに負けたので、決勝でも同じようなことにならないよう、いぶきとキャミィは対策を詰めていました。ラシードに対しては昔かなり対策を立てていた組み合わせだったんですけど、まさに決勝の相手ガチくんと対戦して詰めていったんですよ。だからお互いに手の打ちはわかっているはずだったんですけど、ガチくんのラシードは最近さらに成長しているのに対して、俺のラシード対策は当時から変わっていなかったので、そういう意味では分が悪いと思ってました。そういうこともあって、ガチくんに対しては相方のウメさん(ウメハラ選手)に任せようと。先鋒戦も「とりあえず行ってきて」みたいな感じでしたね。

豊泉 ウメハラ選手が先鋒戦に勝利して、つぎはボンちゃん対ガチくんの試合でしたね。

ボンちゃん ウメさんが続投でもよかったんですけど、そうするとルール上、そのつぎが絶対に俺になるんですよ。だったら俺が出て、もし負けても3戦目で対戦相手を見てキャラクターを変えられるようにした方がいいなと思いました。最初の試合は、ガチくんがこういうプレイをするという想像はできていたんですけど、思ったよりきつかったんですよね。2試合先取だから、ちょっとした攻防を変えるだけで勝ちに結びつくんで、絶望という感じではなかったんですけど、明確にここを変えれば展開がガラッと変わる、というところは思いつかなくて、妥当に負けたという試合でしたね。そんなだったから、ガチくんが続投するならウメさんに出てもらって、ちょっと試合を見たいなと思ったんですよ。そしたらウメさんがフルボッコにされて戻ってきて、「うわーガチくんやっぱ強いな」と(笑)。

豊泉 4戦目はぷげら選手の隠し玉のようなバイソンとの対戦でしたが、戦ってみてどうでしたか?

ボンちゃん ルール的にぷげら君が出てくるのは確定として、キャラが何かって聞いたらバイソンで、ちょっと驚きました。ウメさんから「バイソン戦は怪しい」と聞いていたので、バイソン戦自体は結構やっていた俺が行ったほうがいいだろうと。実際試合をやってみても、ぜんぜんいけるという手応えがありましたね。

豊泉 事前にバイソンを使ってくるという情報はあったのでしょうか?

ボンちゃん ぷげら君に、「何使うの、キャミィといぶきだよね?」と聞いたら、「えー、それ言わなきゃ駄目ですかー?」と言われました(笑)。でも話を聞いてみると、「『ストV』はプ昔ほどやり込めていないけど、動画をとにかくたくさん見て、脳内でシミュレートすることが多くなりました」と言ってたんです。それで現状は、全キャラでダイヤモンドくらいの実力があるらしいんですよ。その中でキャミィが抜けて強いのかな。でもウメさんのリュウにキャミィで勝てないからバイソンという策が出てきたと思うんですが、ほかのキャラクターに比べるとクオリティーは明らかに落ちていましたね。だから4戦目はふつうに勝てたかな、と。

豊泉 それで五分に戻しての最終戦。

ボンちゃん そうなったらつぎに来るのは十中八九、ガチくんじゃないですか。で、ウメさんに聞いたら、「さっきよりは行けると思う」といっていて、「いやお前、さっきより行けないってどんだけ行けないんだよ」と(笑)。ただ、純粋な勝率だけで言ったら、俺よりウメさんの方が高いかもとは思いました。でも、俺は以前に東京ゲームショウの大会でガチくんに負けているんですよ。だから今回の5Gでリベンジしたいとずっと思っていて、これだけの舞台が整ったんなら、俺ががんばらないと、とウメさんにわがままを言う形で出させてもらいました。

豊泉 最終戦では“中ソニックサイス”からの“ジャッジメントセイバー”で、試合の流れが一気にボンちゃん側に傾いた気がします。05:27:25あたりの場面。

ボンちゃん 本当はその前のチャンスで、ナッシュの中PにVリバーサルをさせて“刈り取ろう”としていたんですよ。そうしたら最初のしゃがみ弱KにVリバーサルをかけられて逃げられてしまったんです。その時点の体力差からすれば、もう大技が決まらないとほぼ勝てないだろうという流れになっていました。でも、あの場面ガチくんとしては、残り体力と間合い的に、ソニックをどうにかしたいから絶対に前に出てくると思ったんですよ。だから、中サイスを出しながら相手の動きを見て、ステップしてきたらボタンを押そうとコマンドだけ入力しておいたんです。そうしたらラシードのステップが見えたのでボタンを押しました。ちょうどよく体力もゼロになってくれて。すごい劣勢だったのがあの1プレイで流れもよくなって、勝ちへの道筋が開けた感じでしたよね。

豊泉 そのつぎのラウンドからは安定した試合運びができましたね。

ボンちゃん まあ、結果は出来すぎでしたね。いまガチくんと10試合先取とかやったらかなり分が悪いと思っています。結果的には、俺とガチくんは1勝1敗ですけど、ウメさんにも勝ってもらって、チームで勝利できたんで、うれしかったですね。

豊泉 ウメハラ選手とチームを組むのは久しぶりだと思いますが、いかがでしたか?

ボンちゃん そうなですよ。『ストIV』のころはよくチームを組んでいたんですけど、今回は数年振り。まあでも、変わらないですね。むしろ簡単にヤジを飛ばせるくらいの雰囲気(笑)。ふだんはやっぱり、大会に出ると敵どうしになりますから、応援は、自分の利害が一致したときにしかやらないんですよ。たとえば、自分が戦いたくない相手とウメさんが当たった時だったら、ウメさんを応援できるけど、それ以外はフラットな目線でしか見られない。そういった意味ではチームを組んだことで最大限ウメさんを応援できるので、それはおもしろかったですよ。

豊泉 1年間ずっと個人戦のプロツアーをやってきましたもんね。

ボンちゃん そういった意味では、『ストリートファイターV』の大会としてはかなり新鮮でした。

豊泉 いろんなジャンルのゲームで対戦が行われたRed Bull 5Gというイベント自体の感想はいかがですか?

ボンちゃん Red Bull 5Gは2015年から見始めたんですけど、やっぱり知らないゲームを見られるというだけでもおもしろいですね。その年に出た新作の中から種目を選ぶフリーというジャンルがあって、それはまだ浸透していないタイトルなわけですよ。だからフリーは2016年も楽しみにしていて、それであの『ロケットリーグ』ですよ。あれは主催側にフリージャンルのゲームを選ぶセンスがあると思いましたね。後はパズル種目の『ぷよぷよテトリス』もおもしろかった。小さいころからやっているなじみのあるゲームというのもありましたが、レッドブルが力を入れているゲームなので、これまでの因縁があって、そういった背景を知っていたのですごく盛り上がれました。でも、『ぷよぷよテトリス』は頭ひとつ抜けた技量のプレイヤーが東側のチームにいて、それで向こうが3戦目に指名してきたから「それ終わっちゃうやつじゃん」と思いましたけど(笑)。

豊泉 結局は東側の完全勝利でしたね。

ボンちゃん そうですね。ちなみに、『ストV』部門はうちら東側が若干有利かな? くらいの実力差だったと思うんですけど、チームメイトがそれを信用してなくて、「またまた、プロのおふた方が」みたいな(笑)。それもあってトリをうちらに任せたかったようなんです。4連勝して最後負けたら格好つかないな、というのもあったので、やっぱり勝ててよかったです。