紙でメモ推奨。気付けば彼女の話に引き込まれている。
Playismが、Sam Barlow氏による推理アドベンチャーゲーム『Her Story』PC/Mac日本語版の配信を開始した。定価は598円で、発売記念セールとして現在は50%オフの298円で販売されている。なお、すでに海外版が配信中のSteamでの製品キーも同梱されているが、Steamでの日本語版配信は後日アップデートとして提供される予定。
このゲームは、1994年に起こったという、とある男性の失踪事件についての断片的な事情聴取映像を収めた旧式のデータベースを操作し、その真相を探っていくという一種の推理アドベンチャーだ。しかし本作がユニークなのは、ゲームデザインとしてプレイヤーにゲーム的な“正解”や目標を求めてこないこと。ゲームはただプレイヤーの入力を待ち、検索結果だけを淡々と提示する。
果たしてこの事件はどうなったのか、原因や犯人はなんだったのか、カメラの向こうで喋っている男性の妻とされる彼女はどんな人物なのか、そして自分はなぜこの事件を調べているのか? 本作は一切のガイドを提示しない。すべての鍵は、彼女が語る話(Her Story)から、プレイヤーが自分で推理するしかないのだ。
本作については海外版発売の際に一度紹介しているが、ネタバレにならない範囲であらためて簡単に紹介しておこう。
推理のカギとなるのは“検索”で、そもそもそれ以外にできることがほとんどない。すべての映像はデータベースに記録されていて、たとえば失踪した人物“サイモン”の名で検索をかければ、52ファイルがヒットする。再生できるのは最初の5ファイルだけなので、それ以外のファイルを見たい時は、追加キーワードで絞り込みをかけることになる。
というわけですべては最初からプレイヤーにとって開かれているとも言えるが、問題は7回にわたって行われた事情聴取の膨大な記録が1個あたり数十秒、長くても2分程度の映像に完全に断片化されているうえ、時系列順に一覧を表示できないことだ。
幸い、収録された日時がタイムスタンプとして刻まれているので、「この日はこの辺についての話をしているらしい」、「服が一緒だが話がぜんぜん違う。どうもこの映像とこの映像のあいだに何か話のポイントが切り替わっているんじゃないか」といった感じに推測することはできる。
すでにお伝えしたようにゲーム側で目標を提示してくれないし、プレイヤーが何を既に知っているかも示してくれないので、メモはゲームの外側で行うしかない。クラシックな推理モノの主人公のように、紙のメモに確認した内容や気になった点を記し、仮説を組み立てていくのをオススメしたい。