日本のB-Gamingが善戦!

 Wargaming.netは、PC用オンライン戦車アクション『World of Tanks』(以下、WoT)のアジア・太平洋オフライン大会“Wargaming.net League APAC Season I Finals 2016-2017”を2016年10月22日に開催した。

 この大会には、オンラインで開催されたリーグ戦の上位4チームが出場。オーストラリアはシドニーにあるESL Gamingのスタジオに招待され、APACエリア最強の座をかけて争った。

 なお、本大会で優勝か準優勝を果たすと11月19日にアメリカのニューヨークで開催されるトーナメント“Challenger Rumble”への参加資格も与えられる。

 本レポートでは、そんなアジア・太平洋地域最強の座をかけて行われた決勝大会のレポートを簡単ではあるがお届けしよう。

『World of Tanks』アジア・太平洋大会で日本チームが準優勝! オフライン大会“WGL APAC Season I Finals 2016-2017”リポート_01

■準決勝第1試合
 アジア最強と名高いEL Gamingと戦うのは、多国籍メンバーで構成されるTeam Efficiency。1日8時間は練習していると豪語するプロチームのEL Gamingに、Team Efficiencyがどう戦っていくのかが注目された。

 しかし、蓋を開けてみればEL Gamingの練られた戦いかたがやたらと目立ち、文字通り包囲殲滅・各個撃破されていくTeam Efficiency。そのまま連取されてしまうかと思いきや、2試合目のマップ、ゴーストタウンでなんとか1勝をもぎとる。しかし、EL Gamingはその後も猛攻を続け、結果は7-2とTeam Efficiencyに実力差を見せつけて勝利し、決勝へと駒を進めた。

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■準決勝第2試合
 準決勝第2試合目は日本からの参戦を果たしたB-Gamingと、韓国のMeltdownの戦い。第1マップのヒメルズドルフは攻撃側と防衛側で的確な包囲戦を展開したMeltdownが勝利し、2ラウンドを獲得した。しかし、B-Gaming側も負けじと第2マップとなるプロホロフカでラウンドを取り返すも、Meltdownが鼻先ぶんのリードでラウンドを多く獲得。第5マップのルインベルクで、ついに6-3とマッチポイントを迎える。

▼自走砲にひっくり返されるB-Gamingの車両

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 だが、ここからB-Gamingが怒涛の勢いでMeltdownを猛追。ラウンドを連取して6-6のイーブンへと持ち込み、タイブレーカーへと突入。泣いても笑っても最終ラウンドとなるタイブレーカーのマップはゴーストタウン。両陣営とも譲らぬ展開で少しずつ車両数が減っていき、2両対2両の状況へ。しかし、攻撃側であるB-GamingのOotori選手がキャプチャーエリアに侵入。地形を利用してうまく身を隠しながら、制圧完了までのカウントダウンを待つ。被弾させてキャプチャーを阻止したいMeltdownだが、有利位置に入ってしまったOotori選手に逆に撃破され、2対1に。MeltdownのGOTSP選手が決死の覚悟でOotori選手に接近して砲撃するも、2発連続で外し、Ootori選手のカバーに入っていたTakkyyyy選手の砲撃でGOTSP選手を撃破。日本勢としては初となる決勝戦の出場が確定した。

▼タイブレーカーへの突入が決まった瞬間

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■決勝戦
 準決勝で圧倒的な力を見せつけたEL GamingとB-Gamingが決勝の舞台へ。第1マップのムロヴァンカ、第2マップの炭鉱ともに両チームとも譲らず、取得ラウンドが2ラウンドずつと、序盤から見ている側がドキドキしてしまう展開。一進一退をくり返しながら見ている人を魅了し続け、取得ラウンド数が4対4のまま第5マップのヒメルズドルフに。しかし、ここからEL Gamingが本来の力を取り戻したのか、B-Gamingに包囲戦を展開し、2ラウンドを連取してマッチポイントに。もう後がなくなってしまったB-Gamingだが、なんとか第6マップのルインベルクを連取して準決勝と同様にタイブレーカーへと持ち込みたいところ。

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 B-Gaming側はマップの東側にある道路を南進。建物で身を守りながら進もうとしたが、EL Gamingが完全に迎撃可能な展開をしており、南進を阻まれてしまう。前身も後退もできない状態のB-Gamingに追い打ちをかけるようにEL Gamingが西側から面制圧を展開し、点状態のB-Gamingを徐々に包囲。1両ずつ減っていくB-Gamingだが、生存している味方に「余裕余裕! まだイケるって!」と声をかけていたものの、物量には勝てずあえなく撃破。下馬評どおりの強さを見せつけたEL Gamingが、アジア・太平洋最強の座を獲得した。

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 試合後、B-Gamingに所属する選手たちにお話を伺う機会があり、試合後の率直な気持ちを伺ったところ、「アジア2位という好成績を残し、ライバルであるMeltdownに勝てたことが単純にうれしいです」と答えていた。なにやら、これまでのシーズンではタイブレークに持ち込んだ試合は善戦するも勝利できていなかったということで、ジンクスを打ち破れた感慨もあるらしい。B-gaming所属のsamo選手は「試合後ではあるんですけれども、twitterや配信で応援してくれた方々には本当に感謝していて、涙が出そうになりました」と御礼の言葉を述べ、来たる11月19日にニューヨークで行われる“Challenger Rumble”でさらに上を目指すべく、「引き続き応援をお願いします」と次の大会を見据えていた。

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 日本勢では初めての2位に輝く結果を残したB-Gamingだが、アジアトップとなるEL Gamingとの差はまだまだ大きいように見える。しかし、B-Gamingの選手は「イケるんじゃない?」と試合中に思ったこともあり、外側から見ているよりも実際の実力差はないのかもしれない。次回の大会まで1ヵ月を切ったEL GamingとB-Gamingが、ニューヨークでどんな戦いを見せてくれるのか、どれだけ進化しているのか、いまから楽しみである。