最期の4日間のループを抜け出せ!

 アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開催中のインディーゲームイベント“IndieCade”から、Golden Glitch Studiosによるアドベンチャーゲーム『Elsinore』を紹介しよう。本作のプラットフォームはPC/Mac/Linuxで、2017年早々にリリース予定。

 エルシノア(Elsinore)というタイトルでピンと来た人もいるかもしれないが、本作の土台となっているのはシェイクスピアの有名な戯曲「ハムレット」。エルシノアとは、その舞台の名前である。
 しかし本作のハムレット世界にはちょっとだけ問題があった。いったい何の因果か、悲運のヒロインであるオフィーリアに、最期の4日間を繰り返すタイムループ能力が宿ってしまったのだ。というわけで本作でプレイヤーは、4日後に身の回りの人々がすべて死ぬというビジョンを幻視したオフィーリアとなって、失敗を繰り返しながら最悪の事態を避けるべく奔走することになる。

時をかけるオフィーリアは皆を救えるか? 古典「ハムレット」をタイムループものにしたアドベンチャーゲーム『Elsinore』【IndieCade 16】_02
▲墓地で話しかけてくる父ちゃんポローニアス。なお、ほっとくとハムレットに「ネズミかな?」とかとぼけられながら間違って殺されます。

 誰もが知っている古典×現代的ひねりの組み合わせという仕組みは、映画にもなった「高慢と偏見とゾンビ」と同じような系統のマッシュアップ的手法だが、安易な作品にありがちな「とりあえず混ぜてみました」というレベルではなく、王家の人々の政治的闘争と復讐に巻き込まれて命を落とすことになるオフィーリアが、力はなくとも「前のループで起こったことを活かして立ち回ったり会話の選択肢を選べる」というギミックで運命をねじ伏せようとするという、全然印象の違う話にちゃんとなっているのがいい感じ。

時をかけるオフィーリアは皆を救えるか? 古典「ハムレット」をタイムループものにしたアドベンチャーゲーム『Elsinore』【IndieCade 16】_01
▲諸事情によりキレ気味なハムレットに探りを入れるオフィーリア。「時間がループしてるんですけど」なんて言ってみることもできるが、まぁ多分理解してくれないんじゃないかな。

 というわけで2017年の発売が気になる本作。強いて言えば、英文学科でもなければ英語の原文に親しんでいないので、どこか翻訳権を取って、ちゃんとシェイクスピア版の日本語訳のどれかに準じた形でローカライズしてくれないかなぁ、というところだろうか。