動画は音がせくしー過ぎるので掲載できません

 ようやく親が出掛けた。テレビを消して、周囲を確認し、ひとり静かにパソコンを起動する。モデム音とともにAOLに繋いだら深呼吸。今日こそは見てやるんだ、ムフフな秘密の花園を……。

 現在アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開催中のインディーゲームイベント“IndieCade”から、Seemingly Pointlessの『You Must Be 18 or Older to Enter』を紹介する。本作はPC版がItch.ioで無料配信中。

なぜかアスキーアートで構成された“親の居ぬ間にエロサイト”シミュレーター『You Must Be 18 or Older to Enter』【IndieCade 16】_01
▲90年代オマージュのインディーゲームは4対3の比率のディスプレイを掘り出してきて展示するのが基本。

 本作は親が外出中の間にこっそりインターネットのエッチなサイトを初閲覧するという、夢いっぱいでドキドキな体験を描く一種のアドベンチャーゲーム。動画なんて豪勢なものはなくて、時間をかけて低解像度の画像を拝むのが精一杯だった90年代終わりごろへのオマージュを捧げており、アートスタイルはなぜかアスキーアート。

 というわけでゲーム中に出てくる“画像”は、妄想力と気合で補完しないとナニが映っているのかわからないレベル。リアルタイム世代の30代は、かつて鍛えた心眼を思い出せば簡単ですね(といっても大した画像ではないんだけど)。
 なお画像一枚の読み込みに死ぬほど時間がかかるということはない代わりに、サイトに接続した途端に広告ウィンドウがブラクラ(死語)ばりに出まくるといったネタが仕込まれていたりするので、在りし日のインターネット体験を思い出しながらなかなかしんみりできてしまう仕組み。んなこたぁ知らない人は、そういう時代もあったのだと教科書的に理解しましょう。

なぜかアスキーアートで構成された“親の居ぬ間にエロサイト”シミュレーター『You Must Be 18 or Older to Enter』【IndieCade 16】_02
▲やたらと存在感を主張する「後ろを気にするコマンド」。母ちゃん勝手に入ってくるなって言ったろ! なお肝心の画像は掲載にあたってモザイクをかけたわけではなく、実際こんな感じにガビガビです。ご了承ください。

 一方、初閲覧ということで、興奮よりも、ステルスゲームばりにやたらと緊迫感を煽る演出になっているのも笑いどころ(その上、せっかく画像を拝んでも「今のはなんだったんだ?」といった感じにショックを受けているセリフが表示される)。重要なのは「後ろを確認する」コマンドで、親が突然帰ってきてドアを開けたりしないか警戒するのは、時代を問わず青少年に必須の行動ということですね。それでは紳士の皆様、引き続き優雅なインターネットライフをお楽しみください。ごきげんよう。