ナマ観劇の臨場感を追体験する2.5次元VR

 2016年10月13日、ついに発売されたプレイステーション VR(PS VR)。ローンチタイトルとしてゲームを始めとしたさまざまなコンテンツがラインアップされていますが、いま女性を中心に人気を博す“2.5次元”作品もVR化! 試遊インプレッションでその内容に迫りつつ、VR化実現のキーマンにインタビューを敢行しました。

 “2.5次元”作品とは、マンガやアニメ、ゲームなどの二次元コンテンツを舞台化・ミュージカル化した舞台作品やミュージカル作品のこと。PS VRの発売とともに、ともにマーベラスが製作を手掛けた『あんさんぶるスターズ!』(Happy Elements KK)原作の『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』、そして『刀剣乱舞-ONLINE-』(DMM GAMES/ニトロプラス)原案の“舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺”という2作品がVR化を果たします。ローンチタイトルとしては数少ない実写系コンテンツ、そしてさらに貴重な女性向けコンテンツとあって、“2016 PlayStation Press Conference in Japan”で発表されて以来、個人的に期待していた2作品でもありました。……ということで、まずは2作品の試遊インプレッションをお届けしましょう。ちなみに、こちらの2作品はいずれもVR用に撮り下ろした新規映像とのことです。

舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺

 本コンテンツに収録されているのは、オープニングの『勝ち鬨の歌』と、番傘演出が印象的な『真影の炎』の2曲。装着者の視点は客席最前列のドセンター……なのですが、高さのイメージ的には“最前列のドセンター席に立って観ている”感じ。キャストとほぼ同じ目線、まさに最前列に座る以上の臨場感を体感できます(最前列ドセンターに座れる機会もそうそうないのに!)。もちろん360度視野なので、振り向くと公演が行われていたシアター1010の客席が広がっているのですが、観客はおらず“客席には私ひとり”状態。この優越感がスゴい(笑)。刀剣男士たちがつぎつぎと現れては一礼し、立ち回りをくり広げるシーンを、ありえない特等席で独占できるわけですね。
 本コンテンツでとくにVRに向いているなと感じたのは、キャストが舞台後方から前方へやってくる縦の動きや、刀剣を振りかざす殺陣アクション。思わず「近い!」とのけぞる距離感・迫力や、ときおりキャストがカメラ目線を送ることによる「あ、目が合った」という胸キュンは、動画では味わえないVRならではの体験と言えるでしょう。まさに審神者気分で、目前でくり広げられる華麗な立ち居振る舞いを“体感”することができます。
 さらに本コンテンツには、舞台裏で行われる円陣映像が特典として収録されています。文字通り、キャストが組む円陣の真ん中に入ったかのような映像なのですが、衣裳を身に着けたキャストに周りを囲まれる感覚は圧巻(笑)。こういった映像はよくDVDなどにも収録されていますが、VRでは360度見渡せるので、誰かが話をしているとき、その対向で誰かが隣の人と談笑していたり……といった場面もバッチリ見えちゃうんですね。もちろん、自分が座組みの一員になったかのような円陣の様子にもテンションが上がりました!

◆タイトル:舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺
◆メーカー:マーベラス
◆発売日:2016年10月13日
◆価格(ダウンロード専売):1500円[税抜](1620円[税込] )
◆ジャンル:VR映像

『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』

 こちらはキャラクターが一挙登場する劇中歌『ONLY YOUR STARS!』、『Singin’☆Shine!』の2曲が収録されています。登場キャラクターは男性アイドルだけに、2曲ともキャストがカメラ(=装着者)に近づいて覗きこんだり、笑顔で手を振ってくれたりと、思わずテレる演出が続出(笑)。視聴者を意識した振る舞いを多くしてくれることで、「目の前にいる!」という実在感がより強まります。
 また舞台『刀剣乱舞』同様、こちらもほかの観客はおらず、AiiA 2.5 Theater Tokyoを独占状態。キャストが客席に降りてくる演出時は、10数名のイケメンに文字通り囲まれ、しかも全員が私に向けて歌ってくれてる~! という、ナマの観劇でもそうそう味わえない体験が待っています(笑)。ひとつの視点に固定されるDVDと違い、自分で観たいところを選べるのも魅力ですね。さらにカメラがセンターだけではなく、上手・下手、ステージを見上げる高さ(まさに客席に座った視点ですね)に切り替わるのも本コンテンツの特徴。斜めの角度から見ることで、舞台狭しと駆け回るキャストの動きや舞台自体の奥行きをよりリアルに感じられます。
 そして本コンテンツの特典には、実際に公演が行われていたAiiA 2.5 Theater Tokyoの控室に劇中ユニット“Trickstar”の面々がやってきて……という楽屋映像が収録。舞台よりも狭いぶんVR感が高まり、まさにTrickstarと楽屋で“会って”いるかのような体験ができます。この“会ってる感”や360度視野も魅力なのですが、いちばんの見どころは、キャスト自身がVR撮影に興味津々なところ(笑)。部屋をぐるぐる回ってみたり、しゃがんでみたり……と、初めてのVR撮影に試行錯誤するキャストの姿にご注目ください。

◆タイトル:『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』
◆メーカー:マーベラス
◆発売日:2016年10月13日
◆価格(ダウンロード専売):1500円[税抜](1620円[税込] )
◆ジャンル:VR映像

結論、舞台のVR化は超アリ!

 2コンテンツを視聴してみての結論としては、“舞台のVR化は超アリ!”。もちろんライブエンターテインメントであるところの演劇ゆえ、劇場に行きナマで観るのがいちばん! という前提は変わりませんが、動画で観るよりも劇場の空気やキャストの躍動感が生々しく感じられたように思います。
 VRで観る2.5次元作品は、DVDを観る感じに近いのかなと思いきや、意外にも劇場でのナマ観劇寄りの印象。動画では感じられない奥行きや近さ、「目が合った!」と感じられる錯覚は、舞台を“鑑賞”するというよりは“体験”するという感じでしょうか。それに加えて、ナマ観劇ではありえない視点で観られるVRならではの特別感もあり、ナマの観劇とも動画鑑賞とも違う“いいとこ取り”なのだなと感じました。酔い(今回体験した2作品ではあまり感じませんでしたが)や解像度(“そこにいる感”がある一方、キャストの表情や衣装の細部はそこまでハッキリとは見えません)の面でまだ進化の余地があるとは思いますが、目には見えない臨場感が伝わるだけに、「ぶっちゃけ、2.5次元ってどうなの?」と思っている方の入門編としてもオススメのコンテンツです。