e-Sportsステージで国際レギュレーションの大会が開催

 2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ 2016(以下、TGS 2016)。9月18日のe-Sportsステージにて、ゲームオンはPC用オンラインFPS『Alliance of Valiant Arms』(以下、AVA)のオフライン公式大会“AVARST2016 Season2 爆破・護衛オフライン決勝戦”を開催した。

『AVA』新生DeToNatorが“AVARST2016 Season2”で優勝! 彼らの変化について運営Pと元メンバーに訊く【TGS 2016】_01
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 『AVA』は世界各地でサービスされているタイトル。国内レベルの向上のため、国際レギュレーションをもとにルールを策定した大会が“AVARST”だ。前日のオフライン3次予選を勝ち抜いた実力派クランがぶつかり合った。

 当日は護衛部門の決勝戦と爆破部門の3位決定戦、同決勝戦が開催。本稿では爆破部門の決勝戦の模様を中心にお届けする。

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▲左から、『AVA』日本運営プロデューサー・井上洋一郎氏、実況・mejika氏、解説・Darkよっぴー氏。
▲こちらは配信席の様子。MCは声優の遠藤ゆりかさん(左)、実況&解説はCherylNome氏(中)と井上氏(右)が担当。CherylNome氏は怒られているわけではない。
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▲護衛部門はRecycleが優勝。

TGSの大舞台でくり広げられる伝統の一戦

 爆破・決勝戦のカードは“DeToNator” VS.“Requish”。どちらも長く『AVA』を牽引してきた強豪クランだ。まさに伝統の一戦。DeToNatorは少し前にメンバー構成を大きく変更しており、新体制で臨む初めての大型大会となった。

 使用マップは、除外したいマップを交互に指定した後、戦いたいマップを選ぶBan&Pick方式で決定。苦手なマップを外して重点的に対策を練ったマップを選べるため、ランダムで決定されるより戦略性が増す。マップ選択の結果は以下のとおり。

◆Requishの選択◆
Ban・・・ASLAN
Pick・・・HAMMER BLOW、BLACK SCENT

◆DeToNatorの選択◆
Ban・・・FOX HUNTING
Pick・・・AIRPLAINE、DUAL SIGIHT、CANNON

 解説のDarkよっぴー氏によると、ポイントは“RequishがASLANをBanしたこと”。RequishのASLANでの強さは知れ渡っているため、相手からBanされる可能性が高い。それならばということで、最初からASLANを捨て、練習すらしなかったのだという。試合前から戦いは始まっているのだ。

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■第1マップ HAMMER BLOW
 HAMMER BLOWはRequishの得意マップ。自分たちで選んだマップだけに、しっかりと押さえておきたいところだが、立ち上がりからやや押され気味だった。取得ラウンド数7対4でDeToNatorに軍配が上がり、場の流れがDeToNatorに傾き始めた。

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■第2マップ AIRPLAINE
 第2マップのファーストラウンドもDeToNatorが取ったが、2ラウンド目でRequishのSiotan選手が1 on 4のピンチを打破し、悪い流れを断ち切ることに成功。そのまま調子よくラウンドを取得し、4対2で攻守交替となった。
 このマップでとくに盛り上がったのがスナイパーどうしの撃ち合いだ。Requishには日本トップクラスのスナイパー・sTy4N.選手が所属。相手が飛び出てくる場所に照準を“置いて”おく技術や反応速度に定評があり、彼がいるだけで相手チームは動きを制限されてしまう。
 だが、そのsTy4N.選手が撃ち負けるシーンもあった。すばらしい反射を見せたのはDeToNatorのスナイパー・Nanahara選手だ。実況・解説の両氏は「あそこに置いてるsTy4N.選手に撃ち勝つなんて、Nanahara選手は大したものですね」と絶賛。このまま7対5でDeToNatorが勝利し、優勝に王手をかけた。

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■第3マップ DUAL SIGIHT
 この後はDUAL SIGIHT、BLACK SCENTと、前日のオフライン予選でRequishがDeToNatorを下しているマップがふたつ続く。DeToNatorは1日で対策を練ることができたのだろうか。
 その心配は無用だった。ふたを開けてみれば取得ラウンド数は7対1と、DeToNatorの圧勝。新生DeToNatorがAVARST2016 Season2王者の座に輝いた。

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▲準優勝 Requish
▲優勝 DeToNator

井上氏&DeToNator『AVA』部門の元メンバー・Ak~ayS氏にインタビュー

 試合後、『AVA』日本運営プロデューサー・井上氏とDeToNator『AVA』部門の元メンバーであるAk~ayS氏を見かけたので感想を聞いてみた(文中では敬称略)。

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▲後輩たちが心配で見に来たAk~ayS氏(右)。写真がピンボケになってしまい申し訳ない。

――今日の試合を見て気付いたことを教えてください。

Ak~ayS DeToNatorの(アサルト)ライフル陣の動きはすごくよかったですね。あとはてっこぉ。マルチロールで何でもできるで、いろんな場面で活躍していました。

――飛び出すタイミングがよかったりとか、すごく派手というわけではないけど、いい動きをしている印象がありました。

Ak~ayS そうですね。びっくりしたのは、2スナイパー体制でスローな展開をしていたことですね。あれはもともとのDeToNatorにはない動きです。それと、昨日はあまり活躍していなかったけど、Nanaharaが活躍してましたね。

井上 今日はすごかった。

Ak~ayS Nanaharaってなぜか世間からの評価が低いんですよ。僕は昔からずっとNanaharaは強いと思ってました。本当によく当てるんです。

井上 うまいけど粗削りというか、外すシーンもあることはあるんです。

Ak~ayS 決め撃ちに頼ることが多いかな、と。でも、その決め撃ちでうまく倒すことも多いので。

井上 スナイパーどうしの撃ち合いで、置いている相手に撃ち勝つって、意味がわからないレベルですよ。

Ak~ayS じつは、今回は早い段階で負けるかも、と思ってました。誰がオーダー(指揮)をやってるかとか、内部の状況をまったく知らないので。

井上 昨日のオフライン3次予選を見ても、負けるかもと思った?

Ak~ayS 危ういシーンはいっぱいありましたよ。

井上 やっぱりそうか。

Ak~ayS とはいえ、オフラインで強いってのは大事なので。あとはもう少しふだんの動きのレベルを上げれば、もっともっと強くなると思います。

――しばらくは地道な練習ですね。

井上 僕はあれくらい粗削りでもいいような気がしました。精度を高めて形が決まると、相手から対応されやすくなっちゃいますから。国際大会の短期決戦で勝つには、ああいうのが必要なエッセンスだなと思っていたので。

Ak~ayS 難しいですよね。完璧な動きを追い求めると1パターンになりがちです。かと言って奇抜な動きがいいかというと、必ずしもそうではなくて。通用することもありますけどね。チームとしてどっちを取るか。

井上 DeToNatotは国際大会の出場経験が多いですけど、対策されて完全に封じ込められることが多かったんですよ。今回のRequishはそういう状況に陥っていました。
 DeToNatorは破天荒な動きをしたかもしれないけど、それを封じられたときにどうするかがつぎの壁になると思います。そのとき本当の強さがわかります。乗り越えられなかった先輩がいますからね。

Ak~ayS はははは(苦笑)。

――もう少しのところで、乗り越えきれませんでしたね。

Ak~ayS 偉そうなことは言えませんね・・・。

井上 Requishも同じ罠にはまってたかな、と。その壁にぶつけてくれたのが、今回のDeToNatorです。

――表彰式で、Requishはすごくモヤモヤした顔をしていました。

Ak~ayS やりたいことの大半を封じ込められてた感はありましたね。

井上 短期決戦は封じ込めたもん勝ちなんです。大一番でどういう手を打てるのかっていう。

Ak~ayS 後半は(Requishの)オーダーをやっていた人が、何をすればいいかわからなくなってたと思います、たぶん。何をやってもうまくいかないと、指示を出しようがないんです。

井上 で、負のスパイラルに陥って裏目裏目に出てしまう、と。

Ak~ayS DUAL SIGIHTなんて、本来はRequishがすごく強いマップですからね。

井上 DeToNatorはRequish対策の動きばかりしていましたね。センター4人なんて、そうそう見ないですよ。これでRequishの初動を封じ込めました。

Ak~ayS 僕らが『AVA』現役だった頃は、そういう動きはやらなかったですね。

井上 横綱相撲が好きだったんだよね。相手の得意分野を受け止める。いまのDeToNatorは奇襲が好きなんじゃないかな。単純な強さでいうと、いまのほうが強いかもしれません。相手の強いところを出させない戦いかたですから。

――いろんな強さがありますから。DeToNatorは確実に変化していますね。

井上 横綱相撲で勝ち切るのも大事だし、勝つために自分の得意分野に引きずり込むのも大事です。

Ak~ayS チームにもいろんなタイプがあって、相性の良し悪しもあるじゃないですか。『AVA』もサービスが始まって長いので、動きが確定されつつあります。だからこそ奇抜な動きが通用しやすくなっているのかなとも思います。

――見ている側からすると奇策は増えてほしいです。つぎは何をするんだろうってワクワクしますから。実況&解説のコンビが「えっ、これ何!?」と言うのって最高じゃないですか。

Ak~ayS そうですね、少しわかります(笑)。

 おふたりの話にあるように、“AVARST2016 Season2”は日本の『AVA』界に大きな変化をもたらした大会だった。2016年末には世界大会“AVA World Championship”が開催。まだ日本代表クランは決定していない。

 Requishはいまの課題を克服すれば一皮むけるだろうし、新生DeToNatorはいまなお成長段階。さらに、虎視眈々とトップを狙うチームはいくつもある。さらに強くなった日本の『AVA』プレイヤーが世界を驚かせる日が楽しみだ。

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▲試合前のひとコマ。試合以外ではわりと仲がいい。
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▲おつかれさまでした。
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▲2016年8月16日に台湾で開催された“台湾漫画博覧会”で、日本と台湾のアイドルが『AVA』で対戦するイベントが実施された。その流れで、イベントに参加した“Le Lien”と“ピンク・ベイビーズ”によるライブコーナーもあった。こちらはピンクレディーの楽曲を歌い継ぐ“ピンク・ベイビーズ”。