『Splatoon(スプラトゥーン)』が大賞を受賞!
2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデイ)。初日となる9月15日に“日本ゲーム大賞2016”年間作品部門、経済産業大臣賞が発表された。本記事では、その授賞式の模様をリポートする。
発表会では、まず近年の日本の家庭用ゲーム産業の発展に寄与した人に贈られる
経済産業大臣賞から発表。今年は、ドラゴンクエスト30周年プロジェクトチームが受賞。受賞の理由については、“家庭用ゲーム、スマートフォンなど、さまざまなプラットフォームにおけるゲームタイトルのリリースもさることながら、30周年を記念して、ユーザー参加型イベント、展覧会、アリーナ規模でのライブ型エンターテインメントショーなども開催。ほかにも他業種とのコラボレーションなど、これまでにない規模、形態で、ゲームを起点に、さまざまな取り組みを複合的に展開。ビジネスの領域を、ゲームビジネス以外のさまざまな分野、業種に経済効果を波及させるなど、産業の発展に大きく貢献された点が評価されての受賞となりました。”とのこと。
チームを代表してステージに登壇した、堀井雄二氏とドラゴンクエスト30周年プロジェクト統括プロデューサーの市村龍太郎氏は、「このような賞をいただいて本当にうれしく思います。30年前に『ドラゴンクエスト』を作っていたときには、こんなに長く続くと思いませんでした。応援してくださっているファンの皆さん、開発をしてくれたスタッフの皆さんには本当に感謝しています」(堀井氏)、「この賞は、業界に貢献した方がいただくものだと思うので、30周年記念プロジェクトという取り組みに対していただけるのは、驚きとともに、たいへん光栄なことだと思っております。本当にありがとうございます」(市村氏)と受賞の喜びを語った。
続いて、年間作品部門の発表へ。最初に発表されたのは、海外市場において、もっとも高い評価を得た作品を日本企業、海外企業から、各1作品ずつ選出するグローバル賞。日本作品部門は、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』 が2年連続で受賞した。本作のディレクターを務めた桜井政博氏は、まさかの2年連続の受賞に驚きを隠せない様子だった。また、桜井氏は、日本のゲームが世界のセールスランキングのトップ10から姿を消してことに触れ、「日本のゲームの存在感を高めるために私もがんばるので、皆さんもがんばっていきましょう」と力強いコメントを残した。グローバル賞海外作品部門は、『コール オブ デューティ ブラックオプスIII』が受賞となった。
つぎのベストセールス賞は、対象期間中の最多販売本数を記録した作品に贈られる賞。見事受賞したのは、『モンスターハンタークロス』。登壇した、本作のプロデューサー小嶋慎太郎氏とディレクターの一瀬泰範氏は、全国のハンター(※『モンスターハンター』シリーズのプレイヤー)に感謝の気持ちを述べた。そして、プレゼンターとして登壇したユーザーからは、「『モンスターハンタークロス』はとてもとても大切なゲームになりました。今後も僕たちハンターの期待に応えてくれる『モンスターハンター』シリーズを楽しみにしていますので、がんばってください」とアツいメッセージが贈られた。
続いて、ゲームデザイナーズ大賞が発表。ゲームデザイナーズ大賞とは、日本を代表する11名のトップクリエイターが、プロの視点から“独創性”や“斬新性”などを各審査員が持ち点10点によって作品を評価し、ポイントの集計結果によって受賞作品を選出する賞。本年度の審査員を務めたのは、以下の11名。
“ゲームデザイナーズ大賞 2016 審査員(敬称略、五十音順)
・飯田和敏:立命館大学映像学部教授
・イシイジロウ:ストーリーテリング代表
・上田文人:ゲームデザイナー
・小川陽二郎:エヌ・シー・ジャパン 開発統括本部長 LIONSHIP STUDIO 代表
・神谷英樹:プラチナゲームズ ゲームデザイナー
・小高和剛:スパイク・チュンソフト
・桜井政博:ソラ
・巧舟:カプコン
・外山圭一郎:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・藤澤仁:スクウェア・エニックス
・三上真司:ゼニマックス・アジア/Tango Gameworks
そして、今回ゲームデザイナーズ大賞に選ばれたのは、『Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』。本作を手掛けた“DONTNOD Entertainment”のCEO Oskar Guilbert氏が壇上に上がり「『Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』の開発には多大なる情熱を注いできました。その結果、世界中のプレイヤーの方々に気に入ってもらえたことをうれしく思います。さらに、メディアやゲーム業界の関係者の方から、多くの賞を受賞させていただいており、これ以上驚くようなことはないと思っていたのですが、この度、ゲームデザイナーズ大賞を受賞したという連絡をいただきました。チームの多くが、日本のゲームや日本のゲームデザイナーの方々から影響を受けて、ゲーム業界に入ってきました。そして、プロフェッショナルになれたいまでも、日本のコンテンツのユニークさには、驚かされています。そういった尊敬してやまない、日本人のデザイナーの方々に選んでいただいたというは、すごく光栄なことです。そして、最後になりますが、マックスとクロエと“アルカディア・ベイ”で多くの時間を過ごしていただいた日本の皆さま、本当にありがとうございました」と感慨深そうにコメントした。
最後に桜井氏は、ゲームデザイナーズ大賞の総括として、「私は毎年、申し訳ないと思いながら、ゲームデザイナーズ大賞の審査をお願いしています。やはり、皆さん作り手ですから、“人を評してないで、お前たちが作れよ”と言われればそれまでなんですよね。でも、“売れた”とか“ウケた”とかそういう単なる人気票ではない評価軸で、ゲームの魅力が語れるというのはおもしろいので、これからも続けていきたいと思います」と思いを語った。
その後、年間作品部門の優秀賞に輝いた10作品が発表された。優秀賞を受賞したタイトルと受賞理由は以下の通り。
【タイトル】
『ウィッチャー3 ワイルドハント』
【受賞理由】
前作を大きく上まわる広大なフィールドと、ダークファンタジーの世界観。秀逸で奥深いスーリーと、選択により様々な展開や結末を迎えるサブクエスト。その圧倒的な作り込みと、やり込み要素に、多くのファンから、「オープンワールドの最高傑作!」、「RPGの歴史を変えた」など、熱狂的な支持を集めての受賞となった。
【タイトル】
『Splatoon(スプラトゥーン)』
【受賞理由】
ライバルは世界中のプレイヤー。インクを撃って、塗ったステージの広さを競うアクションシューティングゲーム。単純明快なルールと、ポップで独特な世界観で彩られたグラフィック。そして、さまざまなブキや能力変化をもたらすギアでカスタマイズする楽しさ。人それぞれの戦いかたで挑む、塗って塗られてのナワバリバトルのおもしろさに世代を超えて、多くのファンから支持が寄せられての受賞となった。
【タイトル】
『妖怪ウォッチ バスターズ 赤猫団/白犬隊』
【受賞理由】
『妖怪ウォッチ バスターズ 赤猫団』、『妖怪ウォッチ バスターズ 白犬隊』、ふたつのバージョンごとのお楽しみ要素と連動要素が満載、そして限定妖怪も登場。最大4体の妖怪で協力し、巨大なボス妖怪に挑むオンラインでの協力プレイでは、役割分担、属性、助け合いが重要に。白熱するマルチプレイに、多くの子どもたちから「友だちといっしょに遊べて楽しい!」との声が寄せられた。
【タイトル】
『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』
【受賞理由】
シリーズ最大の広大なステージを舞台に、プレイヤーは、時間経過や天候の変化など、刻々と変わってゆく状況の中、みずから戦略を考え、自由に潜入する。細部まで徹底的に作り込まれた舞台でくり広げるステルスミッションの緊張感と達成感に多くのファンから「シリーズ集大成、最高傑作!」との熱狂的な声を受けての受賞となった。
【タイトル】
『スーパーマリオメーカー』
【受賞理由】
落書き感覚で、ブロックや敵キャラクターを自由に配置して、自分で考えた夢のコースを作れる楽しさ。そして、Wii Uをインターネットにつないで、作ったコースを投稿してみんなに遊んでもらったり、世界中のユーザーが作ったコースをダウンロードして遊んだり。無限に広がるその楽しさに、多くのユーザーから支持されての受賞となった。
【タイトル】
『モンスターハンタークロス』
【受賞理由】
これまでにない新機軸のシステムを採用した『モンスターハンター』シリーズ最新作。進化したアクションと狩猟スタイルで、シリーズファンのみならず、新たなファンからも多くの支持が寄せられ、優秀賞を獲得した。
【タイトル】
『Minecraft』
【受賞理由】
多くのユーザーからアップされたプレイ動画から人気に火が付き、Wii U、プレイステーション4、スマートフォンなどさまざまなプラットフォームで提供されるなど、大きなムーブメントに。一般投票では、小学生をはじめ多くのユーザーから根強い支持を得て、昨年の“日本ゲーム大賞年間作品部門特別賞”に続き、本年度は“優秀賞”を獲得した。
【タイトル】
『フォールアウト4』
【受賞理由】
核戦争後の荒廃した世界を舞台に、未曽有のスケールで描かれた究極のサバイバル。物語の進行もプレイヤー次第という自由度の高さに緊張感溢れる冒険への没入感。昨年度のフューチャー部門受賞作品として、その期待に見事に応え、「史上最高のオープンワールドRPG」と熱狂的な支持が寄せられての受賞となった。
【タイトル】
『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』
【受賞理由】
無数のブロックで構成された“アレフガルド”を舞台に、闇に覆われた世界に光を取り戻すべく冒険をくり広げる。目に映るすべてのものを素材に、自由にアイテムや街を作り出し、物語を紡いでゆく楽しさに、これまでのシリーズファンはもちろん、本作で初めてドラクエに触れたユーザーからも多くの支持を集めての受賞となった。
【タイトル】
『DARK SOUL III (ダークソウルIII)』
【受賞理由】
滅びゆく終末の世界を舞台に、ダンジョン探索の緊張感、敵と遭遇した時の恐怖、新しい発見による喜びなど、RPGとしての根本的な面白さと高い達成感。そして、新要素“戦技”による武器固有のさまざまなアクションが生み出す、手に汗握る剣戟バトルに、熱狂的なファンから「シリーズ最高傑作」との声が寄せられての受賞となった。
そして、優秀賞として選ばれた10作品の中から、大賞が発表。“日本ゲーム大賞2016”年間作品部門の大賞に輝いたのは『Splatoon(スプラトゥーン)』。壇上に上がった、本作のプロデューサーの野上恒氏は、感極まる姿を見せていた。最後に受賞の喜びのコメントを求められ、「『Splatoon(スプラトゥーン)』は、ゲームを真剣に遊んでいただいている皆さんにも非常にアツい支持をいただいています。ネットの中に本作のコミュニティーができていて、そこでユーザー同士の大会が行われるなど、そういったことが『Splatoon(スプラトゥーン)』を盛り上げるひとつの役目になっていると思います。本当にこういった栄えある賞をいただけたのは、ユーザーの皆様のご支援のおかげです。本当にありがとうございます。来週末から“スプラトゥーン甲子園”という公式全国大会が始まります。大会に参加していただいたり、見て楽しんでいただいたり、僕たちもいっしょに盛り上げていきたいと考えていますので、今後とも“イカ、よろしく”お願いします」と『Splatoon(スプラトゥーン)』お馴染みの挨拶で、授賞式を締めくくった。