新型PS4とPS4 Pro、新たなふたつの選択肢とその魅力

 既報の通り、アメリカ・ニューヨークで2016年9月7日(現地時間)に開催された“PlayStation Meeting 2016”にて、小型・軽量化を果たしたプレイステーション4の新型モデルと、4K解像度に対応するプレイステーション4 Proが発表された。

 それぞれ異なる特徴を持つ両ハード。開発の経緯や仕様について、ソニー・インタラクティブエンタテインメント 取締役副社長 伊藤雅康氏にお話をうかがった。

PS4 Proの性能について詳しく聞く! ハード・ソフトの設計を統括するSIE伊藤雅康氏インタビュー【PlayStation Meeting 2016】_01
▲伊藤雅康氏。プレイステーションのハードウェアとソフトウェア設計を統括している。(文中は伊藤)
PS4 Proの性能について詳しく聞く! ハード・ソフトの設計を統括するSIE伊藤雅康氏インタビュー【PlayStation Meeting 2016】_02
▲左のハードが新型PS4、右のハードがPS4 Pro。

――スリムになった新型PS4と、PS4 Pro、ふたつのハードを作ることは、以前から構想があったのですか?
伊藤 PS4 Proは、2014年から構想をスタートしました。新型については、これまでのプレイステーションハードでも、コストダウンして小さいモデルを作ることはずっとやってきていたので、その流れで考えていました。ですので、2014年には、両方作ることを考えていたということになりますね。

――2014年というと、4Kもいまほど知られていない時期だったと思いますが、だいぶ先の未来を見据えての構想だったのですね。
伊藤 2013年にPS4を発売させていただきましたが、そのつぎの年の2014年には、4Kのテレビが市場に普及してきていましたので、つぎを見据えて、PS4 Proを作りたいと考えました。

――では、まず新型PS4についてうかがいます。デザインは、従来のPS4のデザインを踏襲しつつ丸みのついたものになっていますが、中身は従来のものからどのように変わったのでしょうか。
伊藤 中身の部品はガラッと変わっています。コストダウンもしていますし、消費電力も下がっていますし。
※消費電力は、公式リリースによれば最大165Wで、初期モデルと現行モデル比でそれぞれ34%と28%の消費電力低減を実現したとのこと。

――消費電力の低減はユーザーの皆さんにとっても、とくにうれしいポイントだと思います。ところで、PS4 Proのほうは、消費電力はどのくらいなのでしょうか?
伊藤 PS4 Proの消費電力は、2013年発売のPS4とほぼ同じくらいになります(※公式リリースによると最大310W)。新型に比べると、ちょっと消費電力が大きくなりますが、それだけの性能があります。

――PS4 Proの見どころは、やはり4K解像度のグラフィックが楽しめることかと思いますが、「4K対応テレビがなければ、その性能を活かせないのでは?」という不安の声もあると思います。ですが、発表内容によると、4K非対応のHDテレビでも向上したゲーム体験が味わえるとあります。この点について、詳しく教えていただけますか?
伊藤 2KのHDテレビにつないでいただいても、PS4 Proのパワーを使って、いい画質で楽しんでいただけます。すべてのゲームを1080pで楽しめますので、たとえば720pで作られたゲームも、1080pにアップスケールして出力されます。

――PS4 Proについては、PS VRコンテンツのグラフィックがより鮮明になるという点も気になります。発表会では、『Farpoint』が2倍のピクセルで描画されると説明されていましたが、ほかのPS VRタイトルについてもグラフィックが向上するのでしょうか。
伊藤 ソフト側でPS4 Proに対応した作りかたをしていただかなければならないのですが、その対応をしていただければ、きれいな画像で楽しんでいただけます。

――PS VRのシネマティックモードについても、よりきれいに描画されるのでしょうか?
伊藤 コンテンツ次第になります。4Kのコンテンツであれば、もちろんキレイに映りますが、ただPS VRのパネルは4KやHDRに対応はしていませんので、4K対応テレビと同様のものが見られるわけではありません。

――とはいえ、通常より細かく描画されたものが楽しめる、と。ただそのためには、やはりコンテンツ側での対応が必要ということですね。
伊藤 そうですね。PlayStation Meetingでも、NETFLIXの4K対応アプリを配信し、YouTubeの4Kアプリを開発中と発表をしましたが、つまりコンテンツ側で工夫していただく必要があります。

――デベロッパーの方にお話をうかがったところ、どなたも「4K・HDR対応はそんなに難しくない」とおっしゃっていて、少々驚きました。
伊藤 SDK(ソフトウェア開発キット)なども用意して、それに沿って対応していただいています。今後、対応したいとおっしゃるデベロッパーの方がいれば、もちろんサポートいたします。

――発売済みのタイトルは、パッチを配信して4K・HDRに対応するとのことですが、どのくらいのタイトルがパッチ配信を予定しているのでしょうか。
伊藤 それはライセンシーさんにお任せしていますので、我々では把握はしておりません。もちろん、SIEタイトルでは対応予定のものがあります。

――ところでPS4 Proは、USBポートが従来のものよりひとつ増えています(背面にひとつ追加)が、これはPS VRを接続することを見越してのものですか?
伊藤 PS VRのために増やした、というわけではないのですが、もちろんPS VRに使っていただくことも可能です。

――ちなみに、PS4 Proは、Ultra HD Blu-rayには対応していないのですか?
伊藤 対応していません。検討はしたのですが、市場の状況を鑑みて、今回は見送ることに決めました。

――続いて、HDR対応についてうかがいます。PS4 Proに限らず、すべてのPS4で対応するとのことですが、その対応パッチはいつ配信されますか?
伊藤 発表会でハウス(グローバルCEO アンドリュー・ハウス氏)が告知していた通り、来週、システムソフトウェアのアップデートを予定しており、そこで対応します。

――新たに発表された周辺機器についてもお聞かせください。まず新しいDUALSHOCK 4ですが、こちらは有線に対応したことが大きなポイントだと感じます。
伊藤 有線対応については、ユーザーの皆さんからの要望が非常に強かったです。とくにeスポーツを楽しまれる方は、レイテンシーや電波妨害などを気にされますので。

PS4 Proの性能について詳しく聞く! ハード・ソフトの設計を統括するSIE伊藤雅康氏インタビュー【PlayStation Meeting 2016】_03

――PlayStation Cameraは、形が変わりましたが、その理由は?
伊藤 ふたつ理由がありまして、ひとつは、新型PS4のデザインに合わせるためです。新型PS4は、ライトユーザーの方にもより親しみやすいものにするというコンセプトのもと、角が丸くなっているデザインにしました。それに合わせてカメラも丸いものにしたというわけです。もうひとつは、角度調整のしやすさです。従来のカメラにはスタンドがついていなかったのですが、今回はスタンドをつけました。角度をつけるとき、丸型ですと、回しやすいんですね。使う方の背の高さに合わせて簡単に調整できます。

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――PlayStation Cameraは、PS VRにも必須ですから、調整がしやすくなるのはうれしいです。それでは最後に、改めて、新型PS4とPS4 Proについて、伊藤さんが考えるそれぞれのポイントを教えていただけますでしょうか。
伊藤 PS4 Proは性能が高く、画質がすごくいいので、コアユーザーの皆さんにぜひ買っていただきたいなと思います。新型PS4は、これまでよりお買い求めいただきやすい価格ですので、PS4の購入を長らく検討されている方、ライトユーザーの方におすすめです。選択の幅が広がったと考えていただければと思います。

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