“戦国死にゲー”の実力を見せつけたプレイイベント
2016年8月20日、コーエーテクモゲームスの戦国ダークアクションRPG『仁王』のβ体験版先行試遊会が開催。ここでは試遊会の第2部で行なわれた、開発者セッションの模様を中心にお届けする。
イベントが始まると、まずは『仁王』のディレクター、早矢仕洋介氏と安田文彦氏が登場。『仁王』のゲームコンセプト、“戦国死にゲー”の解説に始まり、春に期間限定配信されたα体験版から変化した点、カメラアングルの調整(やや上目の視点にして見やすく変更した)、追加されたチュートリアルモード、サブミッションなどといった要素を紹介した。その後、“1時間”という、この手のイベントでは異例ともいえる、長めのプレイ時間が確保されたβ体験版の試遊会がスタート。
1時間のβ体験版試遊会が終わると、ふたたび早矢仕氏と安田氏が登場し、ニコニコ生放送&Youtube Liveで放送される、“PlayStation祭「仁王β体験版先行試遊会」特別番組”がスタート。E3 2016やGamescomといったイベントで公開された既報に加え、8月23日から配信されるβ体験版から加わるゲームモード“逢魔が時”と“常世同行”の情報が初お披露目された。
新要素の紹介が終わると、イベントの最初と同様に、安田ディレクターがβ体験版のサブクエストに挑戦するも、またもや落命。そこで助っ人として(?)、同じ“死にゲー”開発スタッフという共通点を持った、『Bloodborne』の山際眞晃プロデューサーと、PR・宣伝担当の北尾泰大氏が登場。北尾氏いわく「(仕事のスケジュールが)1日中『仁王』な日があった」という山際氏が、安田氏の代わりに、来場者や視聴者へのプレゼントがかかったゲームプレイを担当する流れとなった。
山際氏が挑戦するのは、体験版にも収録されている“鬼の棲む島”ミッションの最後に登場する巨大妖怪、“怨霊鬼”とのボスバトル。「(怨霊鬼とは)100回は戦った」と語る山際氏、道中に徘徊する雑兵を斧や弓による攻撃で手際よく撃破。しかし怨霊鬼が持つ超威力の攻撃を捌ききれずに2連続で落命してしまうという結果に……。
そこで救済措置として、「台本にない」(安田氏)、サプライズ交代で安田氏が再度ゲームプレイを担当。しかしふだん使わないという斧がメイン武器だったためか、山際氏よりもあっさり落命する。このままでは終われないと行なわれた泣きの1回では愛用している打刀を選択。するといままでのプレイとは比較にならない華麗な回避と的確な斬撃で、怨霊鬼の体力を8割ほど削ることに成功。しかしミッションクリアーが見え始めた矢先、気力が尽きた状態で攻撃をくらい行動不能に。そこに怨霊鬼の持つ攻撃の中でももっとも威力が高そうな、噛みつきからのつかみ投げをくらって万事休す。本日4回目の落命が美しく決まった(?)ところでイベント終了の時間となり、番組は終了した。
死んでも「もう1回挑戦しよう!」と思えるゲームに
今回のイベントでプレイできたβ体験版は、8月23日から9月6日までの期間限定で、PS Storeでの無料配信決定。そこでイベント終了後、α体験版から変更された点を中心に、β体験版の注目ポイントを早矢仕氏、安田氏の両ディレクターに語ってもらった。『仁王』β体験版をプレイする際にしてほしい。
――第1部の試遊会も含めて、今回来場されたユーザーさんのプレイされていたときの雰囲気はいかがでしたか?
早矢仕 『仁王』は新規タイトルですけど、α体験版からファンになっていただけたユーザーさんが多く、そこからけっこう細かい意見をいただけています。β版でもそういったファンになってもらえる方が増えてほしいなと思います。
――α版での反応を受けて調整に悩むところはあったのですか?
安田 ユーザーさんからいただいた意見で「確かにここはお客さんの言う通り理不尽だな」、と思ったところには手を加えています。ただ『仁王』は“戦国死にゲー”というコンセプトの、難度の高いゲームなので、そこはぶれないように気をつけています。
――β体験版はクリアー率28%を目指して作られたということですが、今日お客さんが実際にプレイしている様子を見てどう感じましたか?
安田 今日の試遊会でのクリアー率は、僕が見た感じ、いまインタビューしている北口さん(週刊ファミ通、『仁王』担当編集)を除くと“0%”だったのですが(笑)。
――僕が選んだのはサブミッションでしたし(笑)。ユーザーさんはβ体験版で追加される新メインミッションをプレイしたからだと思いますよ。
安田 今回は1時間という限られたプレイ時間でしたし、(配信後は)α版よりはクリアー率は上がるのではないかと思っています。
――α版から変更があった点でいくつか質問させていただきたいのですが、武器の耐久度がなくなり、愛用度という要素が加わりました。愛用度を上げるメリットについて教えてください。
安田 基本性能が上がっていくのと、武器ごとについている特殊効果、ボーナスの数値が上がっていくというのがおもなメリットになります。
――武器に関しては鍛冶屋も追加されましたが、あそこでできる武器の強化、特殊効果の入れ替えができるのは同じ名前の武器どうしだけでしょうか?
安田 そうではなくて、武器はなんでも大丈夫ですが、特殊効果を入れ替えたい武器の愛用度をマックスにしておかないとできないようになっています。このほか、武器のレアリティも関わってきますね。
――レアリティが高いほど愛用度のマックスが高くなっていますよね? それから、レアリティが高いほど、いい特殊効果もつきやすいのでは?
安田 そうですね。愛用度が上がった時に強化される武器の数値の上がり幅も大きいです。武器の性能を引き出すのはそれなりに大変ですが、そのぶん強力な武器に成長するようになっています。それから鍛冶屋で特殊効果をランダムで入れ替えることもできるので、鍛冶屋でいい特殊効果をつけてから使いこんで愛用度を上げる……ということもできます。武器まわりの要素もβ体験版では遊べるようになっていますので、そちらも試してほしいですね。
――武器だけでなく、サムライスキルもガラッと変わっていますよね?
安田 かなり変更していますね。技の種類がかなり増えています。あとはコンボが出しづらいという意見もありましたのでそこにも手を加えています。
――技が増えているところに「単純に攻撃力○○%アップみたいなモノは取らせないぞ」という意思を感じました(笑)。
安田 そうですね。武技スキルを取って技をどんどん覚えてほしかったので、早い段階で習得できるようにしています。
――戦闘中のシステムですが、イベント中に話題にのぼったカメラアングルのほかにも、プレイヤーキャラの息切れの仕様もα版から変わっているように感じました?
安田 はい。α版は気力が尽きた状態でなにか行動したら息切れしていたのですが、今回からは気力がゼロの状態でダメージを受けたときだけ息切れするようになっています。敵の息切れと同じ条件にしたんですよ。α版でユーザーさんから「息切れしすぎる」という意見もいただいていたので(笑)。
――スタミナの管理が重要なゲームですよね。
安田 そうですね。相手のスタミナを見て戦ってほしいというのは狙いとしてあるので、息切れをなくすのではなく、仕様を変更する形にしています。
――息切れしにくくなったからか、ゲームスピードが上がったようにも感じられたのですが。
安田 じつは変わってないんですよ。
早矢仕 ロックオン時に相手の方向を向いたままバックで戻れるようになったこと、そのほかの調整の影響で、挙動がスムーズになったと感じるんですよね。その結果、ゲームスピードも上がったように感じるようです。
安田 むしろゲームスピードが速くなったと感じられるほどプレイヤーの手触りがよくなった関係で、敵はそれにあわせて少し強くしています。
――敵がすごく強い、難しいとは感じますが、逆にそれ以外でストレスに感じることはないですよね。落命後にほぼロード時間なしで再挑戦できたりですとか。
早矢仕 「リトライしたいな」と思えるのが“死にゲー”の特徴だと思うので、そのあたりはかなり意識して作っています。「死ぬのが嫌だ」ではなくて、死んでも「もう1回挑戦しよう!」と思えるゲームになるように調整しています。
安田 (プレイヤーには)死んでほしいし、死ぬのは嫌だと思ってもらわないとゲームとしてよくならないと思います。落命したときに過剰にプレイヤーが「嫌だ」とは思わないようにしたいですね。