シミュレーションで出した理想のタイムを現実で超えられるか?
自動車用エンジンオイルなどを手掛けるカストロールが、同社製品カストロール エッジのプロモーション企画“Titanium Trials”第4弾として“クローンライバル”を公開した。
Titanium Trialsではこれまでトップクラスのレーシングドライバーたちを起用し、さまざまなチャレンジを行ってきた。
その内容は、至近距離以外が闇に覆われたコースを走る“ブラックアウト”、VRヘッドマウントディスプレイを被ってVR世界の視界を見ながら実車でドリフトする“バーチャルドリフト”、さらにVRヘッドマウントディスプレイを被ったドライバー同士で実車に乗って別々の場所で走り、VR空間内でレース対決する(ややこしい)“バーチャルレーサー”と、いずれも高速かつ正確な反応を要求するもの。
要はこれが「ウチの最新エンジンオイルを使うと、シビアなチャレンジに挑むレーサーに応える極限のパフォーマンスを引き出せますよ」という宣伝になっているわけだ。
今回のClone Rivalは二段構成になっており、まずレースゲーム『Asseto Corsa』(PC版)をベースにしたドライバーズシート型シミュレーターでスペインのアスカリサーキットを走り、10回のセッションでタイムを切り詰めていく。そして究極のタイムが出たら、今度は実車で現実のアスカリを走り、自分の“バーチャル最速タイム”に挑むのだ。
チャレンジに選ばれたのは、GTレースや世界耐久選手権などで活躍し、現在はケーニグセグのテストドライバーを務めるクリストファー・ニギャルドと、ル・マン24時間耐久レースでクラス別優勝の経験があるアストン・マーチンのダレン・ターナー。
ニギャルドが世界に6台+プロトタイプしか存在しない、最大出力1メガワットのモンスターカー“ONE:1”を、ターナーがこちらも24台しか生産されず、自身含めて7人しかトレーニングを受けたことのないアストン・マーチンVulcanに搭乗。自分たちがシミュレーターで出した理想のタイムに挑んだ。
結果はどちらも最後の直線で自分自身の”クローンライバル”(シミュレーターでのタイム)を上回り、1秒前後の先着に成功。シミュレーターでの理想のタイムに勝ったドライバーがスゴいのか、逆にそれぐらいの誤差までシミュレートできた『Asseto Corsa』がスゴいのか、それともカストロール的に最新製品の“カストロール エッジ スーパーカー”がスゴいのか?
まぁ全部スゴいのかもしれないが、オブザーバーとして参加し、両ドライバーのリアル/シミュレーター双方での測定データを分析した神経学者のジャック・ルイス博士は、実際のコースを走る際にさらなるアドレナリンが出ていたことを指摘し、これが「エンジンにいいオイルを入れたがごとく」反応の高速化をもたらし、トップアスリートだけが知る「ゾーン」の領域に導き、クローンライバルを撃破できたのだろうと語っている(うーん、落語のようなコメントだ)。
なお公開に先立ってサンフランシスコで行われたプレスイベントでは、ニギャルド本人が参加。司会からゲームやシミュレーターと現実のレースドライビングの違いについて聞かれると、加減速Gや横Gに耐えながら正確に反応していくための身体的な部分が一番大きいと回答。また現実のレースはやり直しが効かないため、その不安さを乗り越えるメンタル面も大分違うとのこと。
会場では実際に企画で使われたのとほぼ同様のシミュレーターを体験できたのだが、もちろんアシスト機能などはカットされているため、慣れていないとまっすぐ走るのもひと苦労。ヨタヨタ走りの各社記者を相手に「はーい、一段ギアを上げよう。もうちょっと(アクセルを)粘れるよ! よし、次は大きいカーブだから速度を落とし始めるよ」とニコニコしながらソフトな声でアドバイスしてくれるニギャルドは超いい人だった!