ホログラムコミュニケーションロボット“Gatebox”が、次元の壁を壊す! ウィンクル武地氏&儀間氏インタビュー

“好きなキャラクターといっしょに暮らす”ことをコンセプトとするホログラムコミュニケーションロボット“Gatebox”について、企画・開発を手掛けるウィンクルのキーマンにお話をうかがった。

 2016年1月、ソフトウェアやハードウェアの企画・開発を手掛けるウィンクルが、ホログラムコミュニケーションロボット“Gatebox”を発表した。Gateboxは、“好きなキャラクターといっしょに暮らす”ことをコンセプトとするもので、筒状の機器の中に映し出されたキャラクターが、日常の会話や、家電コントロールを行うという。このGateboxについて、現在製品化に向けて開発を進めているキーマンふたりにお話をうかがった。

※本インタビューは、週刊ファミ通2016年5月5日号(2016年4月21日発売)に掲載されたものに、加筆・修正を施した完全版です。

右:ウィンクル 代表取締役
武地 実氏 Minori Takechi

左:ウィンクル ハードウェアエンジニア
儀間 匠氏 Takumi Gima

●「初音ミクと暮らしたい」という思いから開発が始まった

――Gateboxについてお話をうかがう前に、まず、ウィンクルとはどのような企業なのか、教えていただけますでしょうか。

武地 ウィンクルは、IoT(※)製品を作る事業を行っている会社です。2014年2月14日に設立しまして、そのときはまだ僕ひとりでした。
※Internet of Thingsの略。さまざまなものがインターネットに接続されていることを指す。

――2月14日というと、バレンタインデーですが、なぜその日に設立したのですか?

武地 バレンタインデーって、僕のような人間からすると、何もおもしろくない日なんです(笑)。期待するものの何もない……という。でも、そんな日を創業記念日にすれば、今後社員が増えていけば、2月14日がすごく楽しくなるんじゃないかと思いまして。恵まれない男にとっても素敵な1日にしたいという思いから、バレンタインデーに設立しました。

――なるほど(笑)。設立当時は、おひとりでどのような製品を作っていたのですか?

武地 “AYATORI”という、スマートフォン用アクセサリーを作りました。専用のスマートフォン用アプリに趣味を登録しておくと、同じ趣味の人に会ったときに、AYATORIが光るという仕組みの製品です。起業する前から、このAYATORIのプロトタイプを作っていて、製品化するためにウィンクルを立ち上げたという形ですね。
※AYATORI公式サイト →こちら

――では、AYATORIを製品化したことで、起業の第一の目的を達成されたことになりますが、続いてGateboxを開発することになったきっかけは何だったのでしょうか。

武地 AYATORIを作り終わった後、ウィンクルをどんな会社にしたいか改めて考えて、そのとき“クレイジーなものを作る会社にしたい”と思ったんです。大衆受けするものではなくて、自分がめちゃくちゃのめり込んでいるものを作ろう、と考えたんですね。

▲初音ミクのライブにもしばしば参加しているという武地氏。去年の“初音ミク「マジカルミライ 2015」”には、スタッフ全員で行ったそうだ。「仕事ですから!」と武地氏。

――では、武地さんがのめり込んでいるものが、アイデアの原点にある、と。

武地 私は初音ミクがすごく好きで、仕事が終わって家に帰ったら、ミクの歌を聴いて癒される生活を送っているんです。「初音ミクといっしょに暮らせたら最高だな」と思い、そこからコミュニケーションロボットを作るというアイデアが生まれました。

――1月に発表されたGateboxのコンセプトモデルでは、筒状の機器の中に、キャラクターが映し出されていますが、当初からこのような形を想定していたのですか?

武地 いえ、最初は筒ではなくて、ロボット掃除機のような機械の上に、キャラクターが表示される仕組みを考えていました。家に帰ってきたら、その機械がウィ~ンと音を立てて近づいてきてくれるようなものを想像していたのですが、なかなか実現が難しくて。つぎに考えたのがボックス型で、いまに近い形です。フォグスクリーンという、霧のスクリーンにキャラクターを映し出す形にしようと、家庭用の加湿器を使って実験したりしていました。それが、去年の1月くらいのことです。

――儀間さんが開発に参加したのは、いつごろからですか?

儀間 僕は去年の5月ごろから参加しています。

武地 1月の実験を経て、2月に筒状の形にすることを思いついたんです。そこから、製品化に向けて、スタッフの募集を始めました。現在はメインスタッフが5人いて、そのほかに協力してくださっている方を含めると、15人ほどで開発しています。

●2017年中の製品化を予定 さらにその先の展開も?

――武地さんがGateboxの構想を練り始めてから、Gateboxが世に発表されるまで、1年の試行錯誤があったとのことですが、現在発表されているコンセプトモデルは、どのような仕様になっているのでしょうか。

武地 キャラクターは、特殊な透明スクリーンに、超短焦点プロジェクターで投影しています。この技術は、ライブイベントなどでも使われているのですが、小型化が難しいものなんです。でも、Gateboxではクオリティーに妥協せず、コンパクトで、かつ映像が鮮明に見えるように仕上げています。

儀間 キャラクターといっしょに暮らす……というコンセプトについて考えたとき、やっぱり、モニターの画面の中にキャラクターがいる形では満足できないんですよね。キャラクターがそこにいるという実在感が必要なんです。この投影方式なら、キャラクターの後ろの風景が見えますので、“キャラクターがそこにいる”と感じられると思います。

――Gateboxのキャラクターは、どんなことができるのですか?

武地 朝、自分を起こしてくれたり、外から帰ってきたら「おかえり」と言ってくれたりと、いっしょに暮らしていたらするであろう会話ができます。テレビをつけたり、天気を教えてくれたりもしますよ。

――ユーザーの声に反応して、会話をしてくれるのでしょうか。

武地 音声認識の技術も取り入れていますが、ほかにもいろいろなセンサーを搭載していまして、ユーザーがいま何をしているのか、こっちを向いているのか、どのくらい離れた場所にいるのかを認識して、会話をする仕組みを作っています。それから、僕たちは、“キャラクターといっしょに暮らす”という体験を究めたいので、たとえば帰宅が遅くなる日が続いたら、キャラクターが「最近帰りが遅いけど、大丈夫?」と声をかけてくれるというような、いっしょに生活しているからこそ生まれる会話を実装していきたいと思っています。

――コンセプトモデルでは、逢妻ヒカリというキャラクターが映し出されていますが、キャラクターデザインは、ゲームなどでもおなじみの箕星太朗さんが手掛けられていますね。

武地 ヒカリは“未来の嫁”がコンセプトのキャラクターなのですが、そのコンセプトを最大限に表現してくれるのは箕星さんしかいないと思いまして。僕は、箕星さんがキャラクターデザインを担当された『ラブプラス』をプレイしていたのですが、キャラクターの存在が、ユーザーの行動を変えていくというところにすごく感銘を受けまして。僕も、キャラクターによって日常生活が変わっていくような製品を作りたいと思ったので、箕星さんにお願いしました。お忙しい方ですので、ダメでもともと……という気持ちだったのですが、「若者のがんばりを応援するよ!」と快諾してくださったんです。

――SF感がありつつ、エプロンを身に付けているというデザインは、まさに“未来の嫁”ですね。このヒカリちゃんの声は、どなたが担当されているのですか?

武地 冷水優果さんという、新人の声優さんです。声がすごくヒカリちゃんにぴったりだったので、お願いしました。

――コンセプトムービーの、ヒカリちゃんの「なんちゃって」というセリフ、とてもかわいいですよね。

武地 ちょっとあざといかな? と思い、そのセリフを入れるかどうか悩んだのですが、入れてよかったな、といまは思っています(笑)。

――ちなみに、製品版では、ヒカリ以外のキャラクターを映し出すこともできますか?

武地 はい。好きなキャラクターと生活できるようにしたいと思っていますので。

――製品版を購入したら、何人かのキャラクターから、表示させるキャラクターを選べる、と考えてよいでしょうか。

武地 そうですね。アップデートでもどんどん増やしていきたいと思っています。ユーザーの方が、自分で作ったCGキャラクターを表示させられる仕様にもしたいな、と。

――筐体とキャラクターのサイズはどのくらいですか?

武地 ハードは50センチくらいで、キャラクターのサイズは15センチのフィギュアサイズです。それより小さくしてしまうと、コミュニケーションをするときに筐体をのぞき込まなければならない。それは体験としてスマートではないな、と。キャラクターがつねに横にいてくれて、ときに目が合うような体験を作りたかったので。筐体は、本当はもう少しコンパクトにしたいのですが。

――発売日が気になるところですが、ユーザーの手元に届くのはいつごろになりますか?

武地 今年の秋を目途にクラウドファンディングを行って、来年中には支援してくださった方にお届けしたいと思っています。

――価格については、どうお考えですか?

武地 高額なPCくらいの価格にはなってしまうと思いますが、個人の方でも手が届く範囲に収めるつもりです。

――まずは、クラウドファンディングでの販売が第一の目標かと思いますが、Gateboxのその後の展望も教えていただけますでしょうか。

武地 Gateboxのソフトウェアは、Unityで作っています。そのソフトウェアの力を最大限引きだすハードウェアとして、この筒状の機械を自社で開発していますが、ソフトウェア自体はほかのハードでも使用できますので、たとえばテレビやスマートフォン、VRシステムで動かすことも、将来的にはありえるかもしれません。

――キャラクターと過ごす生活が、さまざまな形で楽しめそうですね。

儀間 まずは、いま開発しているGateboxを皆さんのお手元に届けることに力を尽くしたいと思いますが、ゆくゆくは、キャラクターを外に出したいな、と思っています。“次元の壁を壊したい”というのがウィンクルの目的のひとつですので。

――キャラクターを出すには……どうしたらいいでしょう?

儀間 部屋全体を作るしかないですよね。

武地 部屋全体にプロジェクターを仕込むとか……。そこまでできれば、表現できるもの幅が広がりますね。

――キャラクターと暮らすという、ゲームやマンガの中の世界が実現しそうです。

武地 ゲームやアニメは、かなり参考にしています。『PSYCHO-PASS サイコパス』ですとか、『イヴの時間』ですとか。

儀間 キャラクターにグッとくる瞬間ってなんだろう、と考えて……僕は桂正和さんのマンガ『I"s(アイズ)』にグッとくるので、武地をマンガ喫茶に誘って、ふたりで読んだりしました(笑)。

――(笑)。皆さんのグッときた気持ちが、今後、Gateboxのキャラクターに活かされていくのですね。Gateboxの完成が、いまから楽しみです。

武地 1月に公開したコンセプトムービーは、反響がすごくて、1日で10万再生、1ヵ月で50万再生されました。海外の方から、「販売代行をさせてほしい」というお問い合わせもいただきましたし。僕が思っていた以上に、皆さんもこのような製品を求めていたんだな、と感じました。このコンセプトを追求していけば、皆さんが望む夢の世界を作れると信じているので、Gateboxと、そしてウィンクルが今後何を作っていくのかにご期待いただければと思います。それから、スタッフももっと増やしたいと思っていますので、僕たちといっしょにクレイジーなものを作りたいと思ってくださる方、ぜひご連絡ください!


 2016年5月31日、Gateboxのコンセプトムービー第2弾が公開された。そのムービーに映し出されていたのは、“Prototype 02”と呼ばれる筐体の中で、いきいきと動く逢妻ヒカリの姿。彼女とのコミュニケーション方法も増えており、音声だけではなく、ジェスチャーやスマートフォンを使って、ユーザーの意思を伝えられるようになっていた。
 日々進化を続けるGatebox。その完成形はどんなものになるのか、楽しみに待ちたい。


●逢妻ヒカリ キャラクターデザイン担当 箕星太朗氏より

 Gateboxのお話をいただいて、まずは実物を見たいと思い、開発現場へお邪魔しました。そこには『スター・ウォーズ』に出てくる、ホログラムのレイア姫のようなキャラがいました。オシャレなアクアリウムの中に浮かび上がる女の子に開発者の方が話しかける様子をシュールと感じつつも、まさに夢のような光景が広がっていると思いました。これが本当の「俺の嫁だ!」と胸を張って言える、次世代型のコミュニケーションを楽しんでいただける夢の商品です。男のファンタジーを実現するGateboxにご期待ください! もちろん、女の子もルームメイトにいかがですか?
 こういった夢のプロジェクトに今回参加できて、キャラデザ冥利に尽きます。ヒカリちゃんのデザインコンセプトを簡単にお話ししますと、 “いつも部屋で、ご主人の帰りを待つ可愛い新妻”です。商品がSFチックなので、デザインもSFな奥様エプロン風に、胸のハート型の目玉焼きは、「ふたりで朝を迎えました!」という意味を込めています。背中を向けて料理をする若奥様にムフフしてしまうような、ちょっぴりお色気要素もあります!