爆発するバスもあるオムニバス(早口で5回言ってください)
Buddy Copsの『OmniBus』を紹介する。海外大手インディーパブリッシャーのDevolver Digitalより、SteamとGOG.comでPC/Mac版が配信中。価格は980円(6月2日まで10%オフの882円)。
本作は、1992年にAtari Jaguar向けに発表される話題を集めるも開発中止となり、その後3DOにプラットフォームを移すもやはりキャンセルとなった悲運の作品……という設定の、(近年のインディーゲーム界隈でトレンドになっている)90年台後半のローポリゴンな3Dグラフィックとアバウトな物理演算を採用したレーシングアクションゲーム。ちなみに「これまでかかった費用が2000万ドル」とプレスリリースに書かれていたり、「3DO版は50万本予約されていた」と映像で触れられているが、もちろん全部嘘である。
プレイヤーは、普通のバス、二連節バス(二両編成のバス)、2階建てバス、重力発生装置付きバス、ジャンプするバス、宇宙農業用バスなど、さまざまなバスを乗りこなし、ストーリーモードでは、ステージごとに用意された素っ頓狂なお題に挑む(その他、スタントを決めて点数を稼ぐフリーモード、『デストラクションダービー』のように激突しあって戦う対戦モードなどがある)。
その内容は、ゴールまで行けという単純なもの以外に、「酒樽に突っ込んで酒を補給し、バーに配達しろ」、「月の市長の結婚式会場に宇宙飛行士たちを届けろ」といった配達系に、「体当たりで墓を破壊し、隠された秘宝をゲットしろ」、「荒野を走る列車から金貨を奪え」といった収集系、「強盗団の車を弾き飛ばして撃退しろ」や各マップラストのボスバトルなどの戦闘系などさまざまあるオムニバス形式。
そう、バスがボスバトルに挑むようなノリのゲームだ。マップも、宇宙だったり西部劇だったりバス地獄だったり、由緒正しいバスなら絶対に行かないような場所が続々と登場する。
しかし問題は、バスにはブレーキがなく常にアクセルベタ踏みの爆走仕様で、挙動も絶妙に不安定なこと。コーナリングに失敗してひっくり返ったり、ピンボール台のバンパーのようなオブジェクトに弾かれてフィールド外にかっ飛ばされるとアウトになる。
というわけで想像がついた人も多いかもしれないが、もちろんプレイ中は、あとちょっとで場外にホームランを食らってやり直しになったり、着地に失敗してひっくり返ったり、崖をギリギリ飛び越えられずに落下したりと、不安定な挙動にアウトになりまくりで、「これは行ったろ! はぁ?」、「ねーよ!」と絶叫しまくり。
それだけに、クリアーできた時の喜びもひとしお。ゴロゴロ転がされてたら偶然クリアーなんてこともあるのだが、気分は天才バスドライバーだ。適度なイライラ感と、それを乗り越える達成感がいい感じのバランスで味わえるので、ピンと来た人はチャレンジしてみてはいかがだろうか。
なお本作、日本語ローカライズはされておらず、英語でプレイすることになるが、ステージの合間のコメディタッチの割としょうもないやり取り(欧米インディー業界の関係者のカメオ出演多数)がちょっと伝わらない程度。ゲーム自体はシンプルなので、プレイにはほぼ問題ないはず。