気になるプレイフィールはいかに?
2016年5月27日より、全国7ヵ所のゲームセンターでロケテストを実施予定の新作アーケードタイトル『マジシャンズデッド』。本作は、アーケード業界の雄・バイキングがパブリッシャーとして世に放つ初のタイトルで、“超能力者”と“魔法使い”の戦いをコンセプトに、非接触型モーションセンサーを用いた新感覚のオンラインバトルが楽しめるアクションゲームだ。アーケードゲーマーからの注目が高い『マジシャンズデッド』だが、ロケテストに先んじて5月某日にメディア向けの体験会を開催。今回は、記事担当者のプレイリポートという形で、本作の魅力をお伝えする。記事のラストには、バイキング代表取締役/『マジシャンズデッド』ディレクターの尾畑心一朗氏へのミニインタビューも掲載するので、ぜひ最後まで読んでほしい。
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と、言うことでロケテスト版に近いバージョンの『マジシャンズデッド』をプレイさせていただいたのだが、まずはこちらの写真をご覧いただきたい。
キャラクターの移動操作はグリップコントローラに集約されており、想像以上にシンプルというのが第一印象。壁に接触しながらジャンプボタンで壁登り、スティックを押し込みつつターゲット切換えを行うとフリーカメラ(ターゲット以外の方向を向けるようになる)といった特殊な操作もあるが、慣れれば違和感なく行えた。バイキングの手掛けるオンライン対戦ゲームということで、『ガンスリンガー ストラトス』のような速いゲームスピードの作品だと想像している読者もいるかと思うが、どちらかと言えばゲームスピードは遅め……と言っても差し支えないだろう。
上の写真の通り、プレイヤーの手の動きを感知して対応する攻撃を放つ。親指だけを動かしたり、物を掴む動作を取ったり、人差し指を敵に向かって刺したり……など、その攻撃方法はユニークにして多彩。フォースセットによって攻撃方法がガラっと変わるので、慣れるまでは戸惑うことも多いかもしれないが、ハチャメチャに操作が複雑というわけではないので、アーケードゲーマーなら慣れるのも早いと思われる。
特殊な操作方法に目が行きがちな本作だが、それぞれに得意な属性攻撃が決まっている操作キャラクターたちの“シナジー”にも注目したい。たとえば、敵が燃やした障害物を水の攻撃で鎮火したり、味方が濡らした足場に雷の攻撃を当てて、一帯を雷で攻撃したり……など、単純に敵味方の相性だけでなく、味方どうしの連携でも重要となってくる要素なのだ。
そのほか、細かい話をすると、移動の際は攻撃の照準を出さない(モーションセンサーに手をかざしていない)ときのほうが移動速度がアップする。また、敵が至近距離にいる際は、コンパネ部分に配置されているボタンを押すことで格闘が行えるようになっている。格闘攻撃をモーションセンサーの動作に紐付けなかった理由を尾畑氏に伺ったところ、「“格闘”というアクションを手をかざしてくり出すという操作は直感的ではありませんでした。ですので、格闘のみボタンによる操作にしています」とのことだった。
プレイリポートのラストは、筆者が実際にゲームをプレイしている動画と、尾畑心一朗氏へのインタビューで締めさせていただきたい。プレイ動画に関しては、操作に集中するあまり、まったく喋れてないのだが、そこはご容赦のほどを(笑)。
『マジシャンズデッド』実機プレイ
――ロケテストが1週間後に迫っていますが、現在のお気持ちからお聞かせください。
尾畑心一朗氏(以下、尾畑) ロケテストの前は毎回そうなのですが、やはりドキドキですね。シリーズ物でない、いわゆる“第1作”はとくに緊張します。“ユーザーさんに受け入れてもらえるか”は、蓋を開けてみないとわからないことなのですが、やはり慣れませんね(笑)。ただ、ゲームの完成度に関しては手応えはあります。操作が特殊なので始めは面食らうかもしれませんが、ゲームが得意な方なら3戦ほど遊べば基本的な操作は大丈夫だと思います。
――僕も30分ほど遊ばせてもらいましたが、動画程度には動けるようになりました(笑)。
尾畑 順調に慣れていきましたよね(笑)。『マジシャンズデッド』は、我々がやりたいことがようやく“ゲーム”として落とし込めたなという実感があります。
――というと?
尾畑 魔法と超能力を用いた攻撃の操作が直感的に行えるという部分はもちろん、既存のアクションゲームにはなかった“3D”の面白さを提供できる作品になったかなと。『マジシャンズデッド』は、高低差や奥行きの概念をリアルタイムで判断しつつ対戦するゲームなのです。一例を挙げると、ロキニオンというキャラクターは大きなシールドを展開できるフォースセットがあるのですが、このシールドはプレイヤーの手の動きでリアルタイムに置く場所や大きさが変化していきます。敵と対戦しつつ、3D空間を把握して魔法や超能力を扱うというゲーム性は、最初は戸惑うかもしれませんが、戦況に応じてやれることが多岐にわたるという可能性を秘めています。
――ユーザーの想像力が、そのままゲームの深度に直結する……と?
尾畑 そうですね。それに加えて、属性のシナジーという駆け引きも存在します。“味方の能力が水だから、雷の自分は感電を狙ってみよう”など、既存のチームゲームとは違った連携感が味わえるはずです。
――対戦が3対3になった理由はあるのでしょうか?
尾畑 じつは、かなり悩んだところです。2対2や4対4など、それぞれの人数構成におもしろさはあるのですが、魔法や超能力のシナジーを考えると、3対3が最適かなと。メンバーが少なすぎるとひとりひとりの負担が重すぎて、連携を取っている余裕が生まれにくく、メンバーが多すぎると意図しないシナジーが発生しすぎて、そもそも何をしているのか、何を狙えばいいのかわかりにくいゲームになってしまうので。
――まずは3対3という人数で、様子を見ようということなのですね。ロケテストで使えるキャラクターは8人ですが、本稼動時もこの人数になるのでしょうか?
尾畑 いえ、もっと増やす予定です。今回の操作キャラクターは、炎、風、水(氷)、雷というわかりやすい属性を用意しました。本稼動時は、もっと複雑な属性も出そうかな……と構想しています。
――なるほど。ロケテストの料金体制はどうなるのでしょうか?
尾畑 3プレイ200円、1プレイ100円となります。おなじみですね(笑)。
――ちなみに、個人的にとても気になるので聞きたいのですが、『マジシャンズデッド』にはダッシュの概念がないですよね。ダッシュをシステムに組み込まなかった理由はあるのでしょうか?
尾畑 対戦ゲームで、ダッシュをしたくなる衝動はわかります(笑)。いくつか理由はあるのですが、前例のないゲームなので、“なければいけない”要素以外は可能な限りシンプルにしたかったというのが大きな理由です。回避の手段に関しては、ジャンプという操作が攻撃を避ける性能にしてあるので、それをうまく使っていただければと思います。
――回避に必要なものは、ジャンプに詰め込んだと。
尾畑 はい。また、ダッシュは回避のほかに、短時間でステージを移動したいときに使いますよね。本作は、“超能力”と“魔法”がテーマなので、そこも超能力と魔法で解決できたらいいなと考えています。たとえば、回避の代わりに障害物を持ち上げて盾にしたり、高所に移動したいなら、味方にクルマに乗ってもらい、それを持ち上げる……など。いろいろな可能性があるゲームデザインにしています。もっと言ってしまうと、自分が乗っているクルマを持ち上げて、それを投げることでも移動できますよ(笑)。
――ほかのゲームならバグだと思われることも、本作では仕様に落とし込まれているんですね。
尾畑 さきほども言いましたが、ユーザーさんの閃きでゲームのおもしろさは広がっていきます。ロケテストの期間で、ユーザーさんが我々の想像していなかったアクションを生み出す可能性もあります(笑)。
――ますますロケテストが楽しみです。それでは、最後にメッセージをお願いします。
尾畑 ゲームがおもしろくなるように、開発一同、日々取り組んでいます。少しずつですが、その実感も出てきました。操作の部分で戸惑うとは思いますが、やれることの多さに気付いたときに、一気に世界が広がっていく快感を感じてもらえるはずです。ロケテスト期間中は、WEB上でアンケートも取りますので、ぜひご意見をいただけたら。“ゲームで使いたい能力”など、ユーザーさんからの希望もアンケートでは募り、実現できそうなものはゲームに落とし込むつもりですので、たくさんわがままを言ってください!