強豪クランが名古屋市に集結
2016年5月4日、ネクソンはPC用オンラインFPS『サドンアタック』の公式オフライン大会“SAJCL 2016 2nd Stage”決勝トーナメントを開催した。会場は愛知県・名古屋市中小企業振興会館メインホール。優勝チームは日本一の座を手にすることができ、さらに直後に行われる日韓エキシビションマッチの代表にも選出される。
決勝トーナメントでは厳しい予選を勝ち抜いた“Nucleus”、“Detre.R”、“WyVerN”、“Zearth”の4チームが激突した。激闘の模様をリポートする。
優勝候補筆頭が、まさかの・・・!?
■準決勝第1試合 Nucleus VS Detre.R
準決勝第1試合はNucleusとDetre.Rの対決。どちらもオフライン大会への出場経験が豊富な強豪だ。とくにDetre.Rはトップクラスのクランで活躍したuNiteD選手の加入で戦力が増強。Detre.Rこそ優勝候補筆頭と予想するプレイヤーも多かったようだ。
試合開始早々、Detre.Rが2ラウンド連取し、さすがの実力を発揮したが、後半からはNucleusが調子を上げてきた。Detre.Rも粘り強いプレイを見せるものの、流れをつかんだNucleusが第1マップ“プロバンス”、第2マップ“第3補給倉庫”と連取。決勝戦へのチケットを手にした。
■準決勝第2試合 WyVerN VS Zearth
前回大会の優勝クラン・Lythronaxを準々決勝で下したWyVerNと、その大会でWyVerNに勝利した経験のあるZearthの対決。WyVerNが雪辱を果たせるかどうかに注目が集まる。
この試合ではZearthの堅い守りが光った。たとえ敵の侵入を許してもカバーが早く、なかなか崩れない。とはいえ、WyVerNの実力も相当なもの。不利な陣営のときでも臆することなく突き進み、ラウンドを掴み取っていく。
だが、それすらも上回るのがZearthの胆力だった。ふつうはひとつの作戦が破られると別の方法を選びたくなるものだが、弱点を修正して続くラウンドで試す場面が目立ったのだ。どっしりと構えて自分たちの戦いを貫き通したZearthが決勝戦へ進んだ。
■決勝戦 Nucleus VS Zearth
ここでちょっとした情報をひとつ。NucleusのクランマスターであるAreshii選手とZearthのLionel選手はじつの兄弟なのだ。Lionel選手は「兄貴の作戦は全部わかってる」と話していたようで、心理戦(?)は試合前から始まっていた。
決勝戦はスピーディーな展開で幕を開けた。第1マップの“第5補給倉庫”戦は開始4分ほどで5ラウンドが終わり、攻守交替の折り返し。前半のラスト2ラウンドを取ったZearthはその勢いのまま後半ラウンドを連取し、このマップを制した。
続く第2マップ“クロスポート”はZearthの苦手マップ。対するNucleus側は得意マップに挙げており、さすがの立ち上がりを見せた。ファーストキルを取られる印象が多かったNucleusだが、勢いに飲まれないだけの地力は十分にある。堅実な戦いで1勝をもぎ取り、状況をイーブンに戻した。
ラストの“ドラゴンロード”。オフライン決勝の場において数々のドラマが生まれてきた、決着の場にふさわしいマップだ。お互いにやや慎重になっているようで、序盤から時間をかけるラウンドが多かった。
両クランともに大きな声での状況報告が目立った前半とは打って変わって、後半は静かに展開した。会場中が緊張に包まれる。一進一退の攻防が続き、ラウンド数は5対5で後半も終了。勝敗の行方は延長戦1ラウンド勝負に持ち込まれた。
最後の最後はごくシンプルな腕力勝負だった。Zearthが思い切ったラッシュを仕掛けたのだ。立て直す暇も与えずにNucleusを倒していき、およそ50秒で決着。攻めに100%の力を注いだZearthが、その剛腕で日本一の座をもぎ取った。
韓国最強チームを迎え撃つ日韓エキシビションマッチ
Zearthの日本王者としての初仕事は、日韓エキシビションマッチへの出場だ。韓国代表のXenics-Stormはプロとして活動するチームで、実力的にはアジア王者と言っても過言ではない。Xenics-Stormは前期のSAJCL 2016 1st Stage時にも来日しており、その際は日本代表のLythronaxを下している。正真正銘の最強クランである。
エキシビションマッチでの使用マップは、第5補給倉庫、第3補給倉庫、ドラゴンロード。ふたつ目の第3補給倉庫は日本でも人気が高いマップだが、韓国での人気はそれとは比較にならないほど圧倒的。マップの研究量でXenics-Stormに分があるのは間違いない。一方、3マップ目のドラゴンロードの人気はそれほどでもないようなので、第5補給倉庫を取れればチャンスがありそうだ。
第5補給倉庫でスタートした日韓エキシビションマッチは、頭から衝撃的な展開が目白押しだった。ZearthのAphroD選手がファーストキルを取って位置がばれたところに、Xenics-Stormの3人が殺到。そこにAphroD選手のグレネードがヒットし、トリプルキルを果たしてしまったのだ。このプレイがZearthのテンションに火を着けた。流れを味方につけ、圧倒的なポイント差で第1マップを奪取。これはいけるぞ。会場中がそう思ったことだろう。
しかし、やはりXenics-Stormの壁は高く、分厚かった。続く第3補給倉庫では知識と経験の違いを見せ付けられることになる。的確なグレネード投擲、裏側からの奇襲、行動ルートの柔軟さなど、あらゆる面でZearthを圧倒し、付け入る隙を与えない。わずかな綻びを見つけて攻め入ったとしても、一瞬でカバーしてしまう。ほぼ完勝でXenics-Stormが勝利し、勝負はドラゴンロードに持ち越された。
Zearthが攻め、Xenics-Stormが守りでドラゴンロードでの戦闘がスタート。Xenics-Stormが中央を詰めながらけん制する攻撃的な守りを見せ、Zearthは押され気味だった。試合が大きく動いたのは後半。Zearthの高所からの強襲などが効果的に決まり、連続でラウンド取得に成功。辛くもXenics-Stormを倒し、日韓エキシビションマッチは日本の勝利で幕を下ろした。
Xenics-Stormからすればアウェイの環境のため、実力を出し切れなかった可能性もある。それでも、プロ相手に勝てたことは誇ってもいいだろう。日本のプレイヤーの実力はどんどん上がってきている。表彰式に登壇した『サドンアタック』運用チームのチェ氏からは、次回大会のスケジュールを5月中に公開すると発表があった。選手たちのさらなる成長と熱い戦いに期待したい。