●プロ選手たちのありのままを描いたドキュメンタリー

 2016年5月14日午後1時より、WOWOWにて放送予定のWOWOWオリジナルドキュメンタリー“国際共同制作プロジェクト”第6弾、『格闘ゲームに生きる』。この番組は、ウメハラ選手、ももち選手、Justin Wong選手、GamerBee選手、Luffy選手といった世界のプロ格闘ゲーマーに迫った長編ドキュメンタリー。ここでは、2016年5月2日に行われた完成披露試写会の様子を、ゲストによるトークセッションの模様を中心にリポートする。

 試写後に行われたトークセッションには、プロゲーマーのウメハラ選手、ももち選手、カプコンの杉山晃一プロデューサーが、司会を務めたアールさんからの質問に答える形で進められた。
 まずは、華々しい表舞台からは見ることのできないプロゲーマーが抱える不安や葛藤など、ありのままの姿が描かれた同作品についての感想を求められると、ももち選手は「本当に長い時間取材を受けましたし、いろいろな部分を表現していただいてすごく楽しかったです。」と感想を述べた。印象的なシーンについては、自信の葛藤が描かれていた部分だという。
 続いてウメハラ選手は、「自分の体型の変化がすごかった(笑)」と会場を沸かせながらも、「想像していたよりもずっとおもしろかったので、出演している側としてはすごくうれしい」。「ももちもよかったし、メインのプレイヤーというわけではなかったけど、チョコ(ももち選手のパートナーでもある女性プロゲーマー)がいい感じでしたね」と、ふだん見られない裏の生活の部分が描かれていたのがおもしろかったそうだ。
 そして杉山氏は「とてもよくできたドキュメントでした」と率直な感想を述べ、「ピックアップされたプロ選手が、それぞれどういうプレイヤーなのかというのがしっかり描かれていて、人間ドラマとしておもしろかったです」と続けた。さらに、「プロゲーマーがどういう風に生活しているのか、どういう風に見られているのかというのがわかる作品に仕上がっていたので、ぜひたくさんの人に見てほしい」とコメントした。

 作品内で、自身のポジションの変化に触れていたことを問われたウメハラ選手は、「プロ活動を続けていくうえで、本の出版や講演といった活動は必要になる。そういったチャンスがもっと自分以外の人間にまわってくるにはどうしたらいいかということを考えるようになりましたね」と、より広い視野を持っての活動を意識するようになったと、自身の心境の変化を語った。
 つぎに、『ストリートファイターV』になってどのように活動していこうとお考えですか? という問いにももち選手は、「ウメハラさんと比べるゲームの経験がないので、大会で結果を残すという面ではすごく必死です」とプレイヤーとしての心境を語ったうえで、「若い新規のプレイヤーが増えると業界が盛り上がると思うので、並行して若手育成の活動もしていきたい」とプレイヤーとしてだけではなく、業界の将来を見越した活動にも力を入れていくそうだ。

近年、格闘ゲームをeスポーツとして盛り上げようという動きが活発化していることについてどうお考えですか? という問いにウメハラ選手は「今回の作品のようにウソのない広げかたをしてくれるならありがたいと言えるけど、そうでなければ先々プラスにならないと思うし、影響力のある業界関係者はいったん冷静になって見極める力を持って欲しいと思います」と現状の格闘ゲームを取り巻く環境を冷静に分析していた。

 最後に今後の目標について、ももち選手は「『ストリートファイターV』で世界チャンピオンになりたい。また、自分を倒してくれるような若いプレイヤーが出てきてくれることを願っています」とコメント。ウメハラ選手は「ゲームがうまくなっていくこと自体が好きだから、プレイに関してはこれまでと変わらない。幸運にも『ストリートファイターV』はおもしろいゲームになっているから、仕事半分、趣味半分でやっていけると思う」と話し、自分自身の課題は「ドキュメンタリーを観ていろいろな人がいることを再認識したので、自分と考えの違う人も受け入れられるような人間になりたい」と語ってトークセッションを締めくくった。


 じつは筆者も、企画段階から『格闘ゲームに生きる』の取材を何度か受けていました。格闘ゲームを取り巻く環境は決して明るい話だけではないので、包み隠さずすべてを話しました。だからこそどんな作品になるのだろう? と個人的にも楽しみにしていたのですが、なかなか踏み込めないようなプロ選手の裏側までを描いたドキュメンタリーに仕上がっていました。ぜひ、少しでも興味のある人には観てほしいと思います。WOWOWが観られないという人は、本放送の5月14日までにWOWOWが観られる知り合いを見つけておきましょう!(笑)。

『格闘ゲームに生きる』
放送チャンネル:WOWOW
放送日時:5月14日(土)、午後1時~