Rift独占タイトルの一本は、じっくり遊べるアクションRPG
PC用VRヘッドマウントディスプレイOculus Riftが3月28日より正式ローンチ。すでにお届けしたハードウェア周りについてのリポートに引き続き、注目のソフトウェアを連日紹介していく。
今日紹介するのは、Gunfire Gamesが開発したアクションRPG『Chronos』。独占タイトルとしてRiftの公式ストアで配信されており、価格は49.99ドル。なお対応言語は英語のみとなっている。
死にゲーなのに死ぬと老いるというプレッシャー。
ゲームの内容は、ぶっちゃけて言ってしまうと『ダークソウル』系。ダンジョンを探索してクリーチャーを倒し、先に進むためのパズルのカギとなるアイテムなどを手に入れて、奥に潜むボスを目指して進んでいくというのが基本。
しかし、死んだら各マップのスタート地点からやり直し。しかも敵の一撃一撃が強く、一回ではなかなかクリアーできない。なので、何度も死んでリトライしながら、(スタート地点近くに通じている)扉や門などのショートカットを開けていき、ちょっとずつ進めるエリアを伸ばしていくことになる。
ここまではこの系統のゲームではよくある設計だが、本作ではさらに「一回死ぬと一歳年をとる」というギミックが追加されていて、これがなかなかユニーク。成長要素として装備の強化以外に、経験値によるレベルアップで入手するポイントを使って各ステータスを上げられるのだが、ここにも年齢が関係してくる。
若い内は身体能力系のステータス値が効果を発揮する一方、年をとるに連れてカウンター攻撃を強化するアーケイン値を軸にしたキャラクターになっていき、老齢になると身体能力系のステータスをほとんど上げられなくなるのだ。
レベルアップと年齢は連動していないため、「若くて高レベル」も「すっかり中年を過ぎたのに低レベル」もありえるという切なさ。凡ミスの連続で立て続けに死亡するとゲームを投げたくもなるが、フォローとして10歳ごとに「ベースの攻撃力を上げる」、「回避アクションの有効時間を伸ばす」といったTrait(特徴)を入手できるので、なんとか後はプレイヤースキルの上昇でカバーしたいところ。
VRならではの視覚演出やギミックも
本作のカメラは、各部屋ごとに位置が固定された、初期『バイオハザード』のようなスタイル。VRゲームなので当然、見る角度は自分の顔で自由に操作できる。
これはいい面も悪い面もあって、まず「自分が固定カメラの位置から周囲をぐるっと見渡す」ことで、待ち伏せや罠、隠しアイテムなどを発見できるのは面白い。ネタバレを避けるため詳しくは触れないが、自分で見渡すことがパズルのヒントになっていたり、クリーチャーへの対抗策になっていることもある。
一方で、部屋の切り替わり時などにプレイヤーがどこにいるのか見失いがちなのは、没入感の維持という面でも微妙な部分。また、カメラが広角なので、キャラが画面奥で戦っている時などはキャラが小さくなり、面倒くさい。
“一発ネタVR”ではない、じっくり遊べる重厚なゲーム
そのほか、ゲームの基本設計自体はVRでなくとも成立するものでありながら、VRによって世界やキャラクターが実体感をともなって伝わってきたり、スケール感が実感できることを活かしたギミック(小人や巨人になって戦う)なども盛り込まれている。
というわけで、価格に見合ったものかは人次第だと思うが、既存ジャンルのVRゲーム化という点でも注目と言えるんじゃないだろうか。基本が整っているので、新ハードにありがちな一発ネタのゲームではない、しっかりと遊べるゲームになっていると思う。