スーパーゲームスクールの全カリキュラムがついに終了
福岡を拠点にするゲームデベロッパー、サイバーコネクトツー(以下、CC2)が中心となり、さまざまな企業や行政といっしょに取り組んでいる人材育成プロジェクト“スーパーゲームスクール”。2015年12月1日より開校した、アーティストコースの全課程が、2016年3月29日をもって修了を迎えることとなった。CC2福岡本社にて開催された、指導担当者の講評や、修了生のあいさつなどが行われた修了式の模様をお届けする。
■スーパーゲームスクール アーティストコース修了式
スーパーゲームスクールは、2年制や3年制の学校ではないので、決まった期日をもって卒業といった流れになるのではなく、定められた期間内に定められた課題をこなし、実力を認められた者のみが、CC2が自信を持って送り出す修了資格を得ることができる。今回、記念すべきスーパーゲームスクール、アーティストコースの第1期では、最終的に2名の修了生を迎えることになり、ささやかながら修了式が執り行われた。
アーティストコースの修了にあたって、代表の松山洋氏より、修了生だけでなく、最終段階まで残った受講生に対してのあいさつが行われた。
松山氏は、昨年の12月に19名からスタートしたアーティストコースも、最終段階まで残ったのが6名。結果的に修了課程を認められたのが2名という結果を報告。当初3ヵ月の予定だったところを、1ヵ月延長し、切り捨てるのではなく、引っ張り上げるための指導を行ってきた結果、最終的にこの2名がCC2の採用基準(研修生)レベルに足る実力と見なせる結論に達したとのこと。残りの4名に対しては、「時間をかけてがんばっている姿は評価できたものの、クリエイティブの仕事では、人々を魅了する作品を一定期間で仕上げる必要があります。がんばることに一生懸命になるのではなく、結果を出すためにがんばり方を考えなくてはなりません。ここで結果が出なかったことをひとつの事実として受け止め、今後はいままでと同じがんばり方では足りないということを、もっと強く受け止めてください」と、厳しめの総論を与えていた。
19名のスタートから2名の修了生を出したことにたいして、これが多いのか少ないのかは、この2名のこれからの業界での活躍と、残ったメンバーたちがどのような道を歩むかによって、時間とともに結果が出るだろうと松山氏は語っている。
松山氏は最後に、「このアーティストコースで2名の修了者を出すことができ、業界のなかに身を投じて戦っていく仲間を増やせたことは誇りです。これから開発者として結果を出してもらいながら、いっしょに戦っていければと思っています。ひとまずはこの4ヵ月間、本当に皆さん、お疲れさまでした」と、第1期アーティストコースの受講生たちの労をねぎらって、あいさつを締めくくった。
松山氏のあいさつに続けて、CC2開発部の石橋洋平氏と、同じく指導を行っていたガンバリオンの林茂氏による、アーティストコースの指導担当者講評が述べられた。
石橋氏は、担当として受講生たちをどう引き上げていくか、試行錯誤の毎日だったが、今回ふたりを送り出せたことにひとまずほっとしたとのこと。「これからはどうクリエイティブをしていくのか、新しい戦いが待っています。いままでよりも気を引き締めて、クリエイターとして精進してください」と、修了生に言葉をかけていた。
スーパーゲームスクールの取り組みに協力しているガンバリオンの指導担当者である林氏は、「ふたりは納得の卒業だと思います。ここで培った観察力や高い意識は、これからも持ち続けてください」と、ふたりに言葉をかけつつ、「入校時に未経験だった人が、こうして修了できた実績を見ると、スーパーゲームスクールは成功だったのではないか。その取り組みに参加させてもらえて、非常によかった」と、今回の取り組みをまとめていた。
式の最後は、2名の修了生のあいさつが行われた。スーパーゲームスクール・アーティストコースの第1期を修了したのは、力武大士さんと安仲良太さんの2名。力武さんは過去に専門学校でCGを勉強しており、ゲーム会社ではないが、システム系の会社に勤めていた経験者で、今回唯一全課題をクリアーしての修了者となった。安仲さんは、これまでゲーム作り用のソフトなどはまったく触れたことのない完全な未経験者で、このスーパーゲームスクールでいちから技術を身につけていった受講生のひとり。最終的に全11段階中、9段階までのクリアーであったが、現時点で十分な実力と、今後の向上の見込みが認められて修了評価がなされたとのこと。
力武さんの修了コメント
「これまでゲーム業界とはまったく違う仕事に就いていましたが、学生の頃から思い描いていたゲーム業界で働きたいという気持ちを諦めきれずにいました。ただ、ゲーム業界で求められる技術の高さに、なかなか手を出すことができずにいたのですが、スーパーゲームスクールの存在を知り、これは業界に入る絶好の機会だと思い参加しました。ゲーム業界の就職を前提とした高いレベルの課題やスケジュール管理も求められ、困難の連続でしたが、多くのことを学ぶことができました。今回、スーパーゲームスクールを修了し、やっとゲーム業界の入り口に立てたところですが、これからも日々学び続けていきたいと思います」
安仲さんの修了コメント
「幼い頃からゲームが好きで、いつか自分で作ってみたいと思っていましたが、ゲーム制作の取り組みや勉強はほとんどしたことがありませんでした。そんな中、ファミ通ドットコムでスーパーゲームスクールの記事を見つけ、挑戦しました。最初は開発ツールの操作を覚えることから始まり、課題が進むにつれて必要な技術を調べながら、なんとか食らいついていきましたが、何分初めてのことばかりで、何がわかっていないのかわからないことばかりでした。でも、丁寧に指導してくれたお陰で、真剣に作品作りに取り組むことができました。今後も勉強を続け、より高いクオリティの作品を作れるようにがんばっていきます」
以上を持って、スーパーゲームスクール・アーティストコースの第1期の取り組みはすべて完了。これからは、修了生のふたりは就職に向けた活動が開始されるとのことだが、もちろんCC2が全面的に協力を行っていくとのこと。現時点ではゲーム業界の入口にようやく立てた段階に過ぎないが、スーパーゲームスクールが与えるチャンスをつかみ取ることのできたふたりが、今後どのような道を進んでいくのか。このふたりの進路がどうなるのかについては、情報が入り次第ファミ通ドットコムでお伝えする。