「食玩の域を超えた、クオリティーの高いものを」

 人気IP(知的財産)を活用した食玩商品を多く手掛けるバンダイ キャンディ事業部が、2016年、完全新規IPの食玩シリーズを相次いで発売している。その中から、子どもだけの楽しみにしておくにはもったいない2シリーズを、企画者のインタビューを交えて前後編で徹底解剖。第2弾として、『言獣覚醒ワーディアン』を紹介しよう。

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 1箱(300円[税抜])に同梱されているのは、ガム1個とアルファベットをかたどった変形玩具1個。このアルファベットが何に変形するかといえば……“D”ならドラゴン、“M”ならミノタウロスといった幻獣だ。そして、完成させたモンスターたちの姿は食玩とは思えないほどに精巧。変形させる過程はまさにアルファベットからモンスターが生まれるようで、大人も十分に楽しむことができる(中には、大人でも変形に手こずるモンスターも!)。

 思わず「おおっ」と感心してしまうモンスターの造型および変形ギミックは、スーパー戦隊シリーズや、平成仮面ライダーの玩具企画を手掛けた伝説の玩具デザイナー、野中剛氏によるもの。子どもたちのみならず、大人のオモチャファンをも虜にする『ワーディアン』は、いかにして生まれたのか? 企画・開発を行ったバンダイ キャンディ事業部 食玩事業チームの三原飛雄馬氏に話を訊いた。

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▲画像左の“D”が迫力満点のドラゴンに変形! その過程は、実際に手に取って試していただきたい。
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▲こちらは特別カラーの“ナイトワーディアン”たち。第1弾の全6種それぞれに“ナイトワーディアン”バージョンが用意されている。

精巧な変形ギミックは「ムチャと言えばムチャ」

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▲バンダイ キャンディ事業部
食玩事業チーム 三原飛雄馬氏

――『言獣覚醒ワーディアン』とはどのような商品なのでしょうか。
三原 ミノタウロスであればMなど、モンスターの名前のアルファベットからそのモンスターに変形する、変形玩具の食玩になります。非常に好評で、発売から1ヵ月が経っても勢いが衰えずに追加発注をいただいています。発売前に“次世代ワールドホビーフェア '16 Winter”で先行販売をした際も、好評をいただきました。

――いままで、どのような反響がありましたか。
三原 「変形がすごい、感動した!」、「これってほんとに食玩?」といったリアクションをいただきました。玩具好きの方からは、モンスターのデザインを野中剛さんがデザインしているといった点も反響をいただきました。

――大人世代からの反響は、企画当初から予想されていたのでしょうか。
三原 もちろんいまの子どもたちにも喜んでもらえるように作りましたが、昔変形玩具に夢中になっていた大人の方々にも手に取っていただけるものにしようという意識はありました。食玩の域を超えた、クオリティーの高いものにしようと。

――そんな『言獣覚醒ワーディアン』の企画が立ち上がった経緯というのは……?
三原 男の子向けのオリジナルキャラクターを立ち上げようというプロジェクトがスタートしたところで、野中剛さんにご相談し、いっしょに作り上げた企画がこの『ワーディアン』だったんです。いま食玩は海外でも人気がありますので、海外のファンの方々にも通じるようなワールドワイドな商品を作ろうというところから、アルファベットや幻獣をモチーフにすることになりました。変形玩具という遊びの部分に関しては非常に伝統的で、いままでの食玩のノウハウをすべて詰め込んでいます。

――企画の立ち上がりはいつごろだったのでしょうか。
三原 おおもとのアイデアは、4年前、野中さんが描いた企画スケッチがもとになっています。そのときのイメージイラスト資料があるので、ちょっとだけお見せしますね。

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――イラストを見ると、すでに完成されていますね! 実際の商品とほとんど変わらないように思います。
三原 ここから“足を動かすと連動して頭が動く”といったギミックをさらに盛り込んでいきました。正直、ムチャと言えばムチャなんです(笑)。「このサイズ、この価格でここまでやるか!?」という。玩具店で売っている、もっと高価なオモチャであればよくある仕様なのですが、それをこのサイズの食玩に落とし込むというのはけっこう大変でした。野中さんの変形アイデアをどう実現するか、設計・生産スタッフといっしょにまとめながら完成させましたね。

――なるほど。理想にどうやって近づけるか、というところですね。
三原 そうですね。ただカッコよく再現しただけですと、簡単にバラバラになってしまうなどの問題が出てきます。食玩は安価だからこそ子どもたちも買ってくれますから、ポケットの中でバラバラに壊れてしまうようだと外に持っていけないですし、気軽に遊んでもらえるようにしっかり作ることに苦心しました。ユニコーンなどを見ていただくとおわかりいただけますが、足を固定するピンなど、さまざまなところに工夫をしています。文字の状態でもしっかり固定される点もこだわりですね。

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▲こちらがユニコーン。前足と後ろ足の造型がお見事!