太陽光に当てると柄が浮き出る特殊インクを採用
人気IP(知的財産)を活用した食玩商品を多く手掛けるバンダイ キャンディ事業部が、2016年、完全新規IPの食玩シリーズを相次いで発売している。その中から、子どもだけの楽しみにしておくにはもったいない2シリーズを、企画者のインタビューを交えて前後編でご紹介。第1弾は、新世代コレクションシールグミ『つくも鬼譚(きたん)~伝説の三神鬼~』だ。
『つくも鬼譚』に入っているのは、コレクションシール1枚とコーラ味のトレーグミ1個。昔話に登場する鬼をヒーローに据えたコミカルな世界観が設定されており、現在全26種がラインアップされているコレクションシールには、鬼の少年である主人公“閃鬼(ひらめき)”を始めとした“鬼”のキャラクターや、ライバルの剣士“モモ・タロッサ”(もちろんそのモチーフは桃太郎!)の仲間たちが描かれている。
またこの『つくも鬼譚』の大きな特徴のひとつが、太陽光に当てると背景に柄が浮かび上がる“光合醒(こうごうせい)”。果たしてこの仕様はいかにして生まれたアイデアなのか? また、“鬼が主人公”という発想はどこから生まれたのか。本記事では、『つくも鬼譚』の企画・開発を担当したバンダイ キャンディ事業部 菓子事業チーム リーダーの可児琢巳氏に、開発秘話を直撃した。
インタビューの前に、まずは『つくも鬼譚』の世界観をおさらいしておこう。
世界観
人ノ里から海を渡った先に鬼ヶ島という島がある。
島には鬼提樹という巨大な樹が生え、その樹になる角具実(ツノグミ)を食べてさえいれば、鬼として生きていられた。
しかしあるとき、何人かの鬼が人ノ里を襲い、宝物を奪っていった。
すると、今度は人ノ里の者が鬼ヶ島から宝物を奪い返し、さらに鬼ヶ島の鬼までさらっていった。
そしてまた鬼が人ノ里を襲い、また人が取り返し……
そんなことが何度もくり返されていた。
戦いは次第に大きくなり、最後は大合戦になった。
人の手に余る巨大な兵器や、鬼も恐れる荒ぶる神鬼まで投入された大合戦は鬼も人も不幸にした。
その後、鬼ヶ島と人ノ里の行き来はなくなり、何十年も過ぎた……。
かつての大合戦の跡地は立ち入り禁止になり、すべてはただの昔話や言い伝えになってしまった。
いまの鬼ヶ島は、とっても平和で、のんびりしている。
角具実も昔ほどではないが、島の鬼が食べる分は十分にある。
が!! その平和は、いま、こわれようとしている。
人ノ里から3人のお供を連れてくる、ある男によって……。