教材はスマートフォンに“最適化”!

 カドカワは、 “N高等学校(以下、N高)”の発表会を、2016年3月22日に開催した。N高は、世界でもまれなシステムと技術を採用した“ネットの高校”であり、授業やレポート提出をネットで行うこと、自身のペースでいつでも授業を受けられること、ネットを通じて講師に質問できることなどが特徴となっている。そのほか、同校では多種多様な“課外授業”をネットで受けられることや、リアルの場所で“職業体験”の機会が提供されることなども、これまで発表されている。

ネットの高校“N高で“アンケート”や“生添削”が可能に!?  講師陣が大絶賛した“双方向教育システム”などが明かされた発表会をお届け_01
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▲左から、カドカワ代表取締役社長 川上量生氏、ネット課外授業 英語担当の中久喜匠太郎氏、ネット課外授業 数学担当の坂田アキラ氏、ドワンゴ 教育事業本部 コンテンツ開発部の吉村総一郎氏。なお、N高では、東大合格を目指すコースなど、それぞれの生徒に合ったカリキュラムも用意されているという。
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 今回の発表で大きくクローズアップされたのは、スマートフォンアプリを使った革新的な“双方向教育システム”。既存の“一方通行”の動画授業とどう違うのか、以下で解説しよう。

■双方向教育システム
 双方向教育システムでは、スマートフォンアプリ(PCでも対応予定)を使用し、ネットでリアルタイムに授業を受けることができる。具体的には、以下の3つの特徴があるとのことだ。

(1)コメント機能
 たとえば、講師が授業中に「この英単語は自動詞と他動詞のどちらでしょう」と質問したとする。そのとき、生徒がスマートフォンでコメントを入力して「自動詞です」などと答えたり、はたまた生徒から講師へ「なぜ英語には自動詞や他動詞があるのですか」といった質問を投げかることができるという。これにより、質問がリアルタイムで授業に反映していき、目の前に多くの生徒がいるという感覚が得られるのだそうだ。なお、コメント投稿のタイムのラグはほぼなくなっているとのこと。

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▲これは開発中の画面。まだまだ改良の余地はあるものの、ほぼ問題なく動作するようになっているそうだ。

(2)アンケート・クイズ機能
 コメントだけでなく、リアルの授業では導入しにくい“アンケート”を募ることもできる。たとえば、「ここの問題の答えはどれですか」と講師が質問を投げかけたとき、画面上には4つの選択肢が現れる。生徒みんなが答えを4つの中から選ぶと、すぐさまそのアンケート結果が映し出されるというわけだ。これは、投げかけた問題をすぐに講師にフィードバックできるという点においても大きいメリットなのだという。

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(3)挙手&生添削機能
 驚くべきなのは、生徒が答えを“黒板に書いてしまう”こともできることだ。講師が3分くらいの時間を取り、その間に生徒が“挙手”ボタンを押してノートに書いた答えをカメラで撮ると、それが“答え”として、画面に見ている黒板に反映されるのだという。
 そして、生徒が送った答えは、講師により“生添削”することができる。たとえば、英文法の微妙な誤りを指摘し、「10点中8点。ここをこう変えればさらによい文になります」といったように、すぐに生徒にフィードバックが可能になるのだ。
 リアルの授業でひとりひとりの生徒の答えをみていると時間のロスが大きいが、このネットでの双方向教育システムはロスが少ない。これはある意味でリアルの授業を超えるほどのメリットがあるのだという。

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▲答えを書くのは“挙手制”。画面上の“挙手”ボタンを押し、写真で撮った答えを提示できる。

 また、この双方向教育システムでは、使用する参考書を、スマートフォンに最適化する形で、問題作成や構成など、イチから作り直しているそうだ。

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 数学を担当する坂田アキラ氏は「革命です。すごいことが起こってしまった」と双方向教育システムを賞賛。プログラミングを担当する吉村総一郎氏は「いままでもプログラミングの添削をネットで行うことはありましたが、このような生添削ができるというのは革命的です。プログラミングの質問はコメントだけだと伝わりにくくても、書いたソースのスクリーンショットを送ってもらえばすぐ解決することもあるんです」と、プログラミング授業と双方向教育システムの親和性の高さを語っていた。

 英語を担当する中久喜匠太郎氏は、「この双方向教育システムには夢しか詰まってない」、「おもしろいことしかない」、「僕のイメージよりも数段も上をいくものができてしまった」、「僕の予備校人生をかけてもいい」とまでの想いを語っていた。