開発陣が勢ぞろいで新作をお披露目!

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 『NightCry』は、『クロックタワー』シリーズのクリエイター・河野一二三氏と、『呪怨』の監督として知られる清水崇氏がタッグを組んで手がけた、PC用の新作ホラーゲーム。『クロックタワー』のエッセンスが色濃く香る、いわば“精神的続編”といった内容だ。その完成披露会が、2016年3月21日に、秋葉原ハンドレッドスクエア倶楽部にて開催された。イベントの模様をリポートする。

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▲イベント会場ではゲームが試遊できたほか、アイテムのオブジェなども展示されていた。

 イベントは大きく分けて2部構成。最初はゲーム紹介とプレイ実況で、この前半コーナーの様子はニコ生でも配信された。冒頭ではまずディレクターの河野一二三氏ほか、アートディレクターの伊藤暢達氏、プランナーの池田祥也氏、PV監督の清水崇氏、効果音担当の小池冷氏といった開発スタッフの面々が登場し、自己紹介とともにあいさつを述べた。
 続いてMCに紹介されて登壇したのは、人気ゲーム実況者の、牛沢さんとまおさん。「ゲームの楽しさを伝えられればいいなと思います」(牛沢さん)、「『クロックタワー』の続編的なタイトルを先に遊ばさせていただけるということで、光栄に思っています」(まおさん)と、それぞれプレイ実況に向けての心境をコメントしてくれた。

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▲前半のMCは、二宮係長さんが担当。進行を仕切った。
▲オープニングで勢ぞろいしたゲスト陣。ちなみに小池冷氏(左からふたり目)は、作業のためちょっと遅刻しての登場だった。
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▲ゲームのプレイ実況を担当した、牛沢さん(左)とまおさん(右)のおふたり。

『クロックタワー』の魅力が現代に甦る!

 ゲスト陣が紹介されたオープニングに続いては、トレーラー映像で、ゲームの概要が紹介された。以下、メーカー資料をもとに、システムやキャラクターなどの基本情報をまとめておこう。

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 ゲームの舞台となるのは、豪華客船・オシアネス号。その閉鎖空間のなかで現れた殺戮者“シザーウォーカー”により、登場人物はつぎつぎと巨大バサミの犠牲になっていく。プレイヤーはそんな状況のなか、船内を探索して生還のヒントを探していくことになる。名作『クロックタワー』の魅力を再現した世界観は、多くのファンを魅了しそうだ。

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▲豪華客船を舞台に、生き残りを賭けたドラマが展開される。
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▲今回の敵は、シザーマンならぬ“シザーウォーカー”だ。

 プレイヤーはポイント&クリックの簡単操作で、主人公を移動させ、気になった箇所をチェックしながら進んでいく。これが“通常探索モード”だが、いざ殺戮者に見つかったら、プレイは“逃走モード”に変化。逃げ隠れするか、アイテムを用いたりして対応しなければいけない。なおこのモードのときは、“振り向く”アクションで敵との距離を確認することができ、それも恐怖をあおる注目の要素となっている。

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▲ふたつのモードが切り替わりながらゲームが進行していく。
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▲通常時は、人物と会話したり船内を捜査したりすることで、謎を解きながら進んでいく。
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▲“シザーウォーカー”が現れると、“逃走モード”に。撃退できる場所を探して逃げ回ることになる。

 プレイヤーの分身である主人公は3人で、それぞれのストーリーが交錯しながらゲームが進んでいく。物語のなかでは分岐ポイントも当然あり、その選択によって結末が変化していく、マルチエンディング仕様。セーブデータ画面ではプレイしてきたルートが確認できるので、それを参考にベストエンディングを目指そう。

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▲3人の主人公が運命に挑む。数多くの分岐から、ベストのルートを見出していこう。

 なおこのゲームでは、声優陣も充実している。ゲームは日本語・英語のそれぞれに対応しているが、とくに日本語版では豪華声優陣が出演。迫真のボイスで、スリル度がさらにアップしており、よりリアルなホラー体験が味わえる。

プレイ実況でゲームの魅力をリポート!

 ゲームがひととおり紹介されたのちは、プレイ実況に。ここでは牛沢さんがまず30分、続いてまおさんが30分という流れで、約1時間のプレイにチャレンジ。メインプレイヤーがゲーム進行を紹介、プレイしていない方が合いの手やリアクションをコメントするスタイルで、ゲームが進められた。
 序盤を担当した牛沢さんパートでは、河野ディレクターと清水監督がサイドに陣取ってサポート。牛沢さんのプレイと河野&清水コンビの解説で順調にゲームが進むなか、あえなく意外な事件が起こってゲームオーバーという展開に。そして選手交代したまおさんパートでは、サポート役が池田プランナーとなってより具体的なヒントが示されたものの、まおさんも結局はゲームオーバーとなり、初見プレイでの難しさを示す、いかにも『クロックタワー』の流れをくむゲームらしい結果となった。

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▲プレイリポートを実況する、まおさん(左)と牛沢さん(右)。
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▲プレイ内容については、横で開発スタッフがしっかり解説。

 ニコ生で配信されたプレイには多くのコメントが画面に流れ、ゲーム発売への期待が伺われた。実況プレイを終えての、おふたりの感想は以下のとおり。
 「『クロックタワー』シリーズの、みんなが好きだったところを引き継いている部分を、すごく感じましたね。関係ないところを調べたときのコメントが、それっぽい感じですし。早く続きをプレイしたいです」(牛沢さん)。
 「謎解きはけっこう好きなんですよ。だから解いてドヤ顔になりもしましたが、そのあと見事にやられましたね。操作性については、『クロックタワー』ぽいな、という懐かしい印象を受けました」(まおさん)。

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▲実況プレイヤーが、プレイを終えての印象をコメント。

後半のプレス発表会では注目の新情報も!

 イベント後半は、ニコ生配信を終了しての、プレス・メディア向けの発表会というスタイルとなった。司会進行を務めるのは、ジャンクハンター吉田氏。ここであらためてゲスト陣が登壇して、開発スタッフのクロストークという形でイベントが進行し、ゲームの特徴や魅力などがアピールされた。
 ここでは最新のトレーラーも紹介され、その映像のラストでリリース日程も公開。注目のソフト配信日は3月29日で、価格はPC版ゲームが2480円、ゲーム+サントラが3980円、ゲーム+サントラ+アートブックのセットが4980円、ゲーム+サントラ+アートブック+絵コンテのセットが5980円となる。

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▲イベント後半のMCは、ジャンクハンター吉田氏が担当。
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▲最新トレーラーのラストで、発売(配信)日が発表された。

 MCの吉田氏とのやり取りのなか、「『クロックタワー』というタイトルを使わなかった理由は?」と問いかけられた河野氏は、
「すでに『クロックタワー3』という、新しい基軸・システムのタイトルが出ているんですね。これは違うベクトルに進化している作品なわけですから、それをまた戻すのはよくない。個人的にクリックタイプのホラーゲームを新しく作りたかったので、あえてシリーズ名はつけてません」とコメント。また「“倒せない敵”というテーマについては?」という問いでは、「トリプルAのタイトルとは違い、自分のやりたいことを追求するのがインディーズじゃないですか。敵を倒して爽快感を得るタイプのメジャーなゲームは、大手にお任せします」と、こだわりを語った。
 「『クロックタワー』の原点回帰じゃないですが、プレイしたひとが、“らしい”と感じてもらえる作品だと思います。ある意味古臭いのかもしれませんが、信念を持って、こうしたものを作りたいという思いを貫いた作品に仕上がっています」(河野氏)。

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▲フランクな雰囲気のなか、各クリエイターが思いを語った。画像は左から、清水崇氏、河野一二三氏、伊藤暢達氏、池田祥也氏、小池冷氏。

 トークの終盤では、取材陣との質疑応答コーナーも設けられた。そのQ&Aで注目を集めたのは、今後の展開についてだ。河野氏によると、詳細は未定だが、PS Vitaへの移植が予定されているという。またPS4などその他のハードに関しては、「PS4で出したいという思いは強いです。あとはVR、そして映像化など、できれば広げていければと思います」と意気込みを語った。
 映像化という点に関しては清水氏にも話が振られたが、清水氏は「もしやるのなら俺が、という気持ちはあります。ただこの世界観をそのまま実現するとなると、豪華客船のセットとか、たいへんなことになりますけど(笑)」と、前向きな姿勢を見せた。

 また、『クロックタワー』20周年という節目について、河野氏は「この作品を作ろうと立ち上げてから、ファンの声で、初めて20周年だと知ったんですよね。区切りとしては本当によかったかなと思います。『クロックタワー』の『1』と『2』で、やりきった思いはありましたが、その後にまた思いがチャージされてきて、まだまだやりたいことがある、俺のホラー論をもう一度ゲームで表現したいなという気になって、それをぶつけたものを作ってみることになりました」。とコメント。さらに次回作に関しては、「考えています。じつは今回、別バージョンの“シザーウォーカー”があったのですが、ゲームでほとんど出せていないんですよ。でもいろいろアイデアはあって、ラストもその先を想像させるようなエンディングになっています。なのでぜひ、次回作を作りたいとは思っています」と、ファンにとってはうれしいコメントを語ってくれた。

 この質疑応答で、完成披露会は無事に終了。最後にサプライズとして、『死霊のはらわた』や『スパイダーマン』の監督であるサム・ライミ氏より届いたコメントが紹介され、フォトセッションののちにイベントは閉幕となった。ホラー映画の大御所、サム・ライミ氏も期待を寄せる本作は、往年の『クロックタワー』ファンはもちろん、ホラーゲーム好きなら要チェックの1本と言えそうだ。

サム・ライミ氏より本作へのコメント
“清水崇の『NightCry』は、明かりを点けたまま眠りたくなるようなタイプの体験である。
殺人鬼のストーリーは、ファンタジー的なビジュアルで彩られる。
今日のビデオゲームでこのような素晴らしい作品があるとは。
このホラーの船旅に出航し、どっぷりとその旅を楽しむのが待ちきれない。
“Takashi Shimizu’s NightCry is the type of experience that makes you sleep with the lights on: a killer premise supplemented by fantastic visuals.
Knowing the great work being done in video games today, I can’t wait to be fully immersed in this seafaring horror.“

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▲大バサミを囲み、ゲスト全員でのフォトセッションでイベントはフィナーレ。