●立ち上げ準備で忙しい関西からの使者を捕まえることができたので突撃インタビューしてみた!!

 日本におけるインディーゲームの祭典、BitSummit。一般社団法人 日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)より、2016年はBitSummit 4th(フォース)として、7月9日と10日の2日間にわたって開催されることが発表された。会場は昨年と同様、京都市勧業館みやこめっせ(京都市左京区)だ。

 日本のインディーゲーム好きはもちろん、海外からも大きな注目を集めている本イベント。今年はどのような内容になるのか、主催団体である日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)の伊藤雅哉氏が東京に来ているとの情報をキャッチしたので実際にお話を伺ってみた。

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▲JIGAのスタッフにしてキュー・ゲームス プロデューサーの伊藤雅哉氏。プレイステーション4用タイトル『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』を開発中。

――BitSummit 4th(フォース)の開催が正式に発表されました。前回の時から「つぎもやろう」という構想があったのですか?

伊藤 はい。昨年、日本インディペンデント・ゲーム協会を発足しまして、その活動もあって、今回はとてもスムーズに開催まで運ぶことができました。協会ができて、報告会などを定期的に行うようになり、そのミーティングの流れで「次回はどうする?」みたいな話が出たりしまして。「会場押さえましょうか」という言葉から始まったのは、今回が初ですね。

――会場も時期も、前回とほぼ同じで7月ですね。

伊藤 まず開催する場所を押さえるところから始まって、「来年のこの時期なら空いています」ということが判明しまして。じゃあちょうど1年後だし、いいんじゃないか、という感じで。そこしかなかった、ぐらいの勢いですね(笑)。開催場所についても、「大阪に移そうか?」とか、じつはいろいろな案が出たんですよ。でも、BitSummitの発起人であるジェームス・ミルキーや、彼を支えてきたキュー・ゲームスのディラン・カスバートが、イマイチ納得できる理由がなくて……。「京都を離れる理由って何だろう、何もないなら京都でいいんじゃないか」と。

――多くのファンも、BitSummitは京都以外には考えられないと思っているのではないでしょうか。

伊藤 京都なら、観光も同時に楽しめますからね。「BitSummitは海外のゲームファンがふつうに遊びに来られるイベントにしたい」というコンセプトは変わっていないので、そういう意味でも京都で開催する意義は大きい。ましてや開催時期の近くで祇園祭も行われるので、街全体が“京都”っぽい感じになりますし、いいと思うんですよね。

――そういえば、イベント名がBitSummit 2016ではなく、BitSummit 4th(フォース)ですね。これにも何か理由が?

伊藤 こうなるまでに、紆余曲折がありまして……。じつは、ミルキーは去年のイベントを“スリー”って呼んでいて、「今年はフォースだ!」って言い出したんです。僕らとしては「2016でもいいんじゃない?」と思っていたんですけど、ミルキーは「年号なんてインディーと関係ないじゃん、BitSummitが続いていけば、それでいいんだ」というスタンスでいまして。

――なるほど。

伊藤 で、彼が言う“フォース”は当然“fourth(4番目の)”だと思っていたんですけど、去年の秋ぐらいに「違うよ、Forceだよ」とか言い出したんです。さらにしばらくすると「フォースアウェイクンだ!」と(笑)。

――ああ! どこかの世界的スペースオペラのサブタイトルのような……(笑)。

伊藤 ミルキーはときにとんでもないことを言い出すんですよ。感性がぶっ飛んでいる(笑)。とはいえ、さすがに、「それはない!」ということで、BitSummit 4th(フォース)に落ち着きました。ちなみに副題も考えていて、今年はFuture of Underground Revolution!となります。

――では、イベントの内容について伺います。前回と比べてどのように変わるのでしょう?

▲2015年の開催の模様から。

伊藤 昨年はIndie MEGABOOTHが入ってくれたことで、海外の出展者に大きくスペースを割くことができ、海外のビッグタイトルも多数出展されたという意味ではとてもよかったと思っています。ただ、“日本の優れたゲームを海外の人に紹介する”という、BitSummitを立ち上げたときのコンセプトからすると、ちょっと薄れたかな……との思いもありました。ですので、今回は、日本のすばらしいコンテンツを海外に紹介するという方向性を、改めて追求していきたいです。そのための一環として、昨年はひとつひとつのブースが小さかったので、今年はもう少し広げていきたいですね。

――ということは、そのために出展タイトル数が減るかもしれない?

伊藤 可能性はあります。そのぶん、クールな意欲作を期待したいです。言ってしまえばゲームじゃなくてもいいんです、日本でしか生まれない熱い作品がある状況こそ、BitSummitのあるべき姿だと思っています。

――ゲームじゃなくてもいいということで言うと、VRの映像コンテンツとか?

伊藤 まあ、VRは今年のトレンドではありますね。さらに言えば、ゲームとしての形はなしていないけれども、引き込まれるビジュアルであったり、サービスであったりとか。あとは、AIやロボットの進化もあります。たとえばソフトバンクさんのロボット“Pepper”がBitSummitの受付に5~6台並んでいたら、ぶっ壊れたイベントだなあ、と思っていただけるんじゃないかな(笑)。個人的には、AIにおける日本の感覚ってすごくおもしろいと思うんです。海外のAIが目指すところって、効率よくカンタンに大量生産することだと思っています。でも日本だと、PepperとかAIBOとか、すごくピースフルじゃないですか。海外からは、「なんて煩雑なことをしているんだろう」と見られていると思います。でも、飽きもせずに延々と続けてデータベースを構築し、トライ&エラーをくり返しているんです。

――遊び心があるというか?

伊藤 日本人が思う“おもしろい”は、海外からは得てして変態的におもしろく見られているようで、よくまとめブログなんかで見られる「日本始まったな」という感想は、本当に海外で持たれているみたいですね。なので、おもしろければ、ゲームという垣根を跳び越えてもぜんぜんオッケーだと思います。究極的におもしろくすれば、やがてゲームにも辿り着くだろうし。とにかく、おもしろければいいんです。

――なるほど。では、前回で手応えを感じて、今回引き続き行っていきたい部分は?

伊藤 個人的な感想ですが、前回開催して「よかった」と思ったのは会場内でストリーミング放送をしてくれた皆さんです。昨年は、最低限英語ができる人という理由で、J-monさんと赤石先生さんにお声掛けしました。今年はTwitchやYouTubeなどのストリーミング配信をもうちょっと強化して、会場に来たいけど来られなかった方にも、楽しんでいただきたいと思っています。かりに今年も会場から配信をするのであれば、日本語での情報と英語での情報、どちらも配信していきたいと考えています。

――世界に向けて発信するということですね?

伊藤 はい、そのとおりです!! ただ、京都は独特な場所なので、できれば来場してその場の空気を楽しんでほしいです。昨年はボランティアの通訳さんが20人ぐらいいまして、英語が話せなくても開発者とコミュニケーションがある程度は取れたんです。そこからコミュニティーが発生することもありますし、クリエイターさんならば、刺激し合えると思います。

――ステージイベントはいかがでしょう?

伊藤 いつもふたつのリクエストがあるんです。ひとつは、「出展者全員がしゃべれたらいいね」ということ。もうひとつはとくに海外からですが、「日本のゲーム業界のVIPが登壇すること」です。これまでも、『パラッパラッパー』で有名な松浦雅也さんがライブを行ってくれたり、稲船敬二さんも『Mighty No.9』のことを、『洞窟物語』で著名な天谷大輔さんも登壇してくれたりしました。東方ProjectのZUNさんもいましたね、本当にあげて行くとキリがない……。昨年ですと、プラチナゲームズの稲葉さんや、『Machinarium』で著名なAmanita DesignのJakubさんが来てくれましたね、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオの吉田修平プレジデントの講演も印象的でした。サカモト教授のライブはもはや第一回からの恒例行事にもなってるし(笑)。このVIP枠は、今年も守っていきたいです。イベントで見る価値があり、さらにオリジナルコンテンツを持っている、ビッグネームの方をお招きしたいと思っています。

▲2015年の開催の模様から。

――インディーゲームを取り巻く状況も少しずつ変化しているようですが、BitSummitのスタンスは変わらないと? 最近では海外からインディーゲーム開発で、タイトルにより白黒がハッキリついてきている。なんてことも聞くようになりましたが、どのように感じていますか?

伊藤 たしかに海外ではそのような傾向が出始めていているなんてと言われているようですね。かつては、大成功とまでは行かないまでも、そこそこヒットする可能性があるタイトルが、それなりに大きな話題としていろいろなメディアに取り上げられていましたが…、ここにきて落ち着いてきたって印象は感じています。とはいえ、そんな状況でも、『Undertale』や『ロケットリーグ』などは大ヒットしていますよね。要は、ちゃんとおもしろく、やる気も売る気もあるゲームはヒットするということです!! ここは変わっていない!! しっかり楽しいゲームを作れば世界中で活路はあるということです。日本のクリエイターさんも、そこに手が届く存在であってほしいと思っていますし、BitSummitでも、そのための尽力は惜しみません。

――では最後に、BitSummit 4th(フォース)に向けての意気込みを。

伊藤 ぜひ京都にお越しください! 来る価値がありますし、昨年も東京や地方からたくさんの人が来て、盛大に楽しんでくれたので、今年も期待は裏切りません。絶対におもしろいことを考えているので、ぜひ夏の京都に遊びに来てください。あと、このインタビューを読んで、BitSummit 4th(フォース)への参加を検討しているデベロッパーさんに向けてひと言。「世界に向けて“おもしろい”を見せつけましょう!」