【ファミキャリ!会社探訪(34)】『モンスターストライク』が絶好調! さらなるブランド展開を図るミクシィを訪問!_08

“ファミキャリ!会社探訪”第34回はミクシィ!

 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。第34回となる今回は、ミクシィ。
  2013年にサービスを開始したスマートフォン用ゲーム『モンスターストライク』は、世界累計利用者が3000万人を突破する大ヒットを記録。2015年にはゲーム・映像コンテンツを世界に向けて発信し続けるスタジオ“XFLAG(TM)”を設立した。そのXFLAG(TM)スタジオ 企画・運用部 部長の多留幸祐氏に話を聞いた。


サービスの本質を理解すれば必要なことが見えてくる

【ファミキャリ!会社探訪(34)】『モンスターストライク』が絶好調! さらなるブランド展開を図るミクシィを訪問!_03
ミクシィ
エックスフラッグスタジオ
企画・運用部 部長
多留 幸祐氏

――最初に多留さんの経歴から教えてください。ゲーム業界を志したきっかけや、現在の役職に至るまでの経緯を簡単にお答えください。
多留幸祐氏(以下、多留) じつは、ゲーム業界を志したというわけではないのです。ミクシィに転職する前までは、ゲームとは関係のない、モバイルのサービスの仕事を10年ほどやってきました。そして、2年前に木村(木村弘毅氏。現ミクシィ取締役/『モンスターストライク』プロデューサー)に声を掛けられて、転職することにしました。

――木村さんと面識があったわけですね。
多留 木村は、僕が10年前にインターネット業界に入ったときの師匠です(笑)。同じ会社で働いたのは2~3年なのですが、その後も1年に一度くらいは飲みに行っていました。ミクシィに入社したのが2014年2月ですが、2013年はずっと転職を考えていました。その間は業界のいろいろな先輩に相談していたのですが、あるとき木村から「『モンスト』というゲームを作っているんだけど、ミクシィに来ないか?」と誘われました。

――多留さんがやってきた仕事の幅が広がって、ゲームの領域も入ってきたと?
多留 そうですね。それまでインターネットサービスのディレクション業務をやってきて、直近ではスマートフォンアプリのプロダクトマネージャーもやっていました。余談ですが、以前勤めていた某社は、事業計画と企画に関して、まったく妥協が許されない会社でした。一度や二度の書き直しでは済まず、十数回の書き直しということもありました。そのサービスは本当にユーザーに使われるものなのか、掘り下げて、突き詰めて考える必要があったので、その経験も別の会社や違うサービスで活かしたいと考えていました。当時『モンスト』にはマネージメントをする人がいないので、木村からはマネージメントの仕事をしてほしいと言われました。「ゲームの仕事をしたことがないのですが……」と言うと、木村は、「いや、多留さんならできるよ」と(笑)。

――ミクシィに入社したときには、すでに『モンスト』が動いていたわけですね。
多留 『モンスト』のリリースは2013年10月です。僕がミクシィに入ったのが2014年2月ですから、だいたい4ヵ月経ったころですね。

――ミクシィに転職することにした決め手はあったのですか?
多留 木村がいたというのは大きいかもしれないですね。彼とは以前いっしょにSNSの仕事をやっていたのですが、基本的にユーザーのことだけを考えて仕事をしているのです。ユーザーが求めていること、市場が求めていることをつねに考えていて、『モンスト』を立ち上げたと聞いたときも、「彼がやるプロジェクトなら、ユーザーに寄り添っているから伸びていくだろうな」と思いました。「木村に転職した」という表現が正しいかもしれません(笑)。

――ゲーム関連の仕事の経験がなかったところから、今度はゲームがメインの仕事になったわけですが、実際に仕事をしていかがでしたか?
多留 あまり偉そうなことは言えませんが……自分の中ではゲームもサービスのひとつには変わりないと思っていたので、そのサービスの本質の理解に努めることで、何が必要で、何が大事なことなのかがわかるようになると思っています。本当に本質を理解しているかどうかは、いまでもわからないですけどね(笑)。と言っても、ゲーム自体のことは知る必要があるので、『モンスト』やいろいろなゲームを研究したうえで、「『モンスト』はこうあるべき」という意見をはっきりと言えるようになりたかったですし、そういった本質を追い求める姿勢は、前職での経験が活きていると思います。

――なるほど。ただ、それはたいへんなことではないですか?
多留 外から見ていると、『モンスト』はずっと勢いがあるように見えると思いますが、自分が入ったタイミングは、“みんなでワイワイ集まって遊ぶと楽しい”という体験を、ユーザーの口コミベースで浸透させていった時期でした。スタッフには家庭用ゲームを作ってきたベテランも多く、これまでずっとゲームを作り続けてきたプライドがあります。ですから、『モンスト』を成功させるための、今後の指針をすぐに求められました。木村は具体的な指示を出すのではなく、将来のビジョンを示すタイプなので、それを具現化することが僕の役目でした。現在のプロジェクトに何が求められているのか。論理的かつ説得力のある事業計画を立てる必要があるわけです。ここで、事業計画を何度も書き直した前職での経験が活きました。また、木村だけでなく、現場スタッフとも突っ込んだコミュニケーションを取り、まず、今後1年間のロードマップを作りました。

――入社早々、シビアな業務ですね。
多留 2014年3月からはテレビCMも始まり、『モンスト』の勢いは加速しました。事業計画の立て直しが直接的に加速につながったのかはわかりませんが、緊張感のある中で今後の指針を示せたことは、社内やプロジェクトメンバーに対し、自分の仕事や方向性を示すことができ、つらい時期でしたが、振り返ってみると、よかったなと思っています。