VRデバイスの最新機種、HTC Viveをタッチ&トライ

 HTC 日本は、2016年4月のリリースを予定している最新のVRヘッドマウントディスプレイ“HTC Vive”を使ったデモ体験会を、2016年2月16日〜19日まで、HTC 日本本社にて開催した。“HTC Vive”とは、台湾に拠点を置くスマートフォンやタブレットを開発・販売するメーカーのHTCと、世界最大のPCゲームプラットフォーム“Steam”を運営するValve社が共同開発しているVR機器。本稿では、発売を間近に控えた“HTC Vive”のデモ体験の模様をお届けしていこう。

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▲2月29日(日本時間3月1日0時)より予約受付が開始されるVRデバイスの最新機種、HTC Vive。

移動の概念を取り入れることで、360度以上のVR世界を体験可能に!
 コンピューターによって作り出された仮想現実を体験できるVirtual Reality(バーチャルリアリティ、以下、VR)は、'60年代より取り組みが行われている古い技術になるが、'90年代にも現在のVR機器と同様の概念を持った端末は存在していた。ただし、現在のような小型で高解像度ディスプレイもなく、非力なCPUしかなかった時代に作り出された仮想空間はお世辞にもリアルとは言い難く、精度の高くないモーションセンサーによる画面描画の視点への追随性もワンテンポ以上遅れるなど、雰囲気として未来を感じることは出来るものの、性能、サイズ面を含めて、本格的な普及はまだまだ遠い未来のお話でしかなかった。

 しかし、昨今のコンピューターデバイスの進化、小型化により、2010年を越えたあたりから俄然、VR機器が注目を集め出し始める。とくにスマートフォンは3次元の動きを正確にトレースできる各種モーションセンサーと、高精細なカメラを搭載したことで、現実世界に情報を付加させるAR(Augmented Reality:拡張現実)の技術が急激に普及。概念や仕組みは異なるものの、同様の技術を用いることで、VRデバイスも目を見張るほどの進化振りを発揮することに。2015年のE3や東京ゲームショウ2015でも、プレイアブルに体験できるVR機器が展示され大きな話題を集めていたのはファミ通.com読者ならすでにご存じのはず。

 そして2016年。今年はソニー・コンピュータエンタテインメントのPlayStation VR(2016年上期発売予定)にOculus社のRift(2016年1月7日に予約受付開始、3月に発送予定)や、HTCのVive(2016年4月発売予定)など、本格的なVR機器がこぞって発売される、まさにVR元年というに相応しい年となった。

 今回、筆者が体験したのは、2016年に発売される本格的なVR機器のひとつ、HTC Vive。HTCは元々は、1997年よりWindows CEを利用したハンドヘルド端末やPDA(Personal Data Assistant=携帯情報端末)といった電子デバイスを開発・販売し、現在も数多くの革新的なスマートフォンやタブレット端末を世に送り出している携帯端末メーカー。そのHTCと、世界中のPCをゲームプラットフォームにするSteamを運営しているValve社と協同で開発した最新鋭のVR機器が、HTC Viveになる。

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▲こちらがHTC Viveのヘッドマウントディスプレイ部分。まるで攻殻機動隊にでも出てきそうなごつくて未来的なデザインは、個人的に好みのデザイン。見た目と違ってそれほど重くなく、装着感もまずまずと感じられた。
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▲VRの世界のなかで、ときには自分の手となり、ときには武器、またときにはペンにもなるHTC Vive用コントローラー。親指の位置にはスライドパッドが、裏面の人差し指の位置にトリガーがあり、直感的な操作が可能。先端のリング上の部分は、コントローラーの位置や角度を関知するセンサー部分になっている。

 HTC Viveの特徴は、BASE STATIONと呼ばれるふたつのセンサーを室内に設置することで、装着者の動きをミリ単位まで正確に追随できる点にある。このことにより、コントローラーの操作ではなく、自らの動きに合わせて決まった空間のなかを自由に動き回るといった体験が可能となっている。

 例えば通常のVR機器で自動車のコックピットに座っている場合、そこから360度の方向をリアルに見ることができるが、HTC Viveだとコックピットから外に出て、クルマの外観を歩きまわって見ることも可能になる。つまり、360度プラスαの体験ができるというわけだ。他のVR機器でも、VR空間の中を移動することはできるが、それはコントローラーを使って移動するという、視覚情報のみが移動したものとなっている。たいしてHTC Viveは、装着者が歩けば仮想空間も(少しの遅れもズレもなく)一緒に動き、装着者がかがめば、ヘッドマウントディスプレイで見ている世界も実際にかがんだ視界が描き出されるのだ。

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▲こちらがBASE STATION。装着者を囲むように部屋の対角線上に設置することで、ヘッドマウントディスプレイとコントローラーの位置を正確にトレースすることが可能になる。

 このHTC Viveは、2016年2月21日にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル ワールド コングレスにてコンシューマー版が正式発表され、2016年2月29日午前10時(アメリカ大西洋時間、日本時間は3月10日午前0時)より、世界24ヵ国で予約受付を開始し、4月からの出荷開始が予定されている。発表された価格は799USドル(税金・送料別)。セット内容は2つのワイヤレスVRコントローラー、ルームスケールの測定を行うBASE STATIONのセット、フロントカメラおよび電話機能を搭載したヘッドマウントディスプレイに各種ケーブルが同梱されたものとなっている。

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