『セガ3D 復刻アーカイブス2』の開発者がFM音源へのこだわりを語った! ビデオゲームバー“16SHOTS”主催のトークライブをお届け

ビデオゲームバー“16SHOTS”主催のイベントにて、『セガ3D 復刻アーカイブス2』の開発陣によるトークライブが行われた。FM音源や擬似3Dなど、ゲーム開発のこだわりが語られたトークの模様をお届けしよう。

●クリエイターに必要なのは“トンチを効かせられるセンス”!?

 “ゲームについて語る場”として営業中のビデオゲームバー“16SHOTS”主催のイベント“DONDONBOCCHI MATTEMASU 2015”が、2015年12月23日に御苑サウンドにて開催。『雷電』シリーズのコンポーザー・佐藤豪氏率いる“HEAVY METAL RAIDEN”などによるクリスマスライブが実施され、会場は大いに賑わっていた。

 イベントでは、12月23日の当日に発売されたばかりの『セガ3D 復刻アーカイブス2』の開発陣を招いた、同シリーズ初のトークライブも行われた。その模様を以下にお届けしよう。

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※『パワードリフト』と『ぷよぷよ通』が立体視となる新生“セガ3D復刻プロジェクト”の幕開け来たる! 『セガ 3D復刻アーカイブス2』の顛末を開発者たちに聞く

【登壇者】
エムツー代表取締役 堀井直樹氏
セガゲームス 『セガ3D復刻アーカイブス』シリーズプロデューサー 奥成洋輔氏
エムツー ゲームミュージック作曲家・サウンドディレクター 並木学氏

▲左から、奥成洋輔氏、堀井直樹氏、並木学氏。

■サウンドの再現はとにかく大変だった!

 『セガ3D復刻アーカイブス』シリーズとは、セガの名作を3D立体視化+追加要素満載でニンテンドー3DS用にリメイクした復刻版だ。第2弾となる本作では『パワードリフト』と『ぷよぷよ通』がパッケージ版で初登場となったほか、マスターシステム用の3Dゲームもボーナス収録されるという充実ぶりとなっている。“音”にもこだわっており、オリジナルのPSG音源でゲームが楽しめることはもちろん、新規収録のFM音源への切り換えが可能なこともファンにとってはたまらない要素だろう。

 そのFM音源をニンテンドー3DSで再現するのはどれほど大変なのか、というトークテーマにおいて、並木氏は「サウンドの処理のために動作が重くなり、フレームレートも落ちてしまいます。ものすごく大変です」と答えた。堀井氏によると、並木氏は本シリーズ開発の終盤でいつも「ゲームの音が悪いのは許さん!」とチームに言っているのだという。

 なお、奥成氏によると、本作の収録タイトルのうち、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』はサウンドプログラムを更新したため、ダウンロード版よりも音の再現度が大幅に向上しているのだそうだ。堀井氏は「遊ぶときはぜひヘッドホンで!」と語っていた。

■擬似3Dのためには“トンチ”が必要だった

 奥成氏によると、本作の目玉タイトルのひとつである『パワードリフト』は、1988年当時、スプライトと呼ばれる仕組みを重ねて表示することで擬似3Dを体験させる、“スプライトのお化け”と呼ばれたモンスターハードウェアで動いていたのだそうだ。

 堀井氏が『パワードリフト』の開発者である鈴木裕氏に「あんなに怪物的なハードで、採算が取れるんですか?」と直接聞いたとき、鈴木氏は「俺のゲームだけで元は取れたと思うよ」と答えたのだそうだ。また、鈴木氏はゲームのプログラムと企画の両方を担当しているため、ハード設計の開発陣に具体的な改善案を提案できる人物であり、だからでこそ現場でよりよりゲームを作るための好循環が生まれ、結果的に大ヒットゲームが生まれていったのだという。

 並木氏によると、『パワードリフト』は2Dを使って3Dを表現している、板切れのようなものを多重に重ねることで3Dをどうにか作っているようなものだったそうだ。そのためには、コースを構成する丸太のようなオブジェクトによって高さの表現に気を使うなど、いろいろな“トンチ”が必要であり、それは“見せかた”と、“内部の計算”のギャップを埋めるための知恵でもあったのだという。並木氏は「開発においてトンチを効かせられるセンスがずば抜けてあれば、ゲームクリエイターになれます」と語った。

■“ロム詰め合わせゲーム”は簡単じゃない

 奥成氏によると、ダウンロードソフトとして単体で発売した後に、『セガ3D復刻アーカイブス』のように“詰め合わせ”でパッケージソフトで制作すると、総じて「イチからではないけれど、一旦作り直し」の状態になってしまうのだそうだ。その理由のひとつが音量のバランスで、それの調整のために2週間かかることもあるそうだ。

 なお、収録されている『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』がサウンドドライバーを更新したのは、その作り直しの際の“せっかくだから”のものだったのだという。奥成氏は「エムツーはそうしたひと手間を惜しまない企業です」と賞賛した。

■意外な場所の修正も

 奥成氏によると、本作に収録されたゲームが初めて世に出た当時はおおらかな時代であり、ゲーム内の看板に実在の飲料などの商標が当たり前のように使われていたのだそうだ。そのため、その看板をすべてのグラフィックに合わせてに修正してかないといけない事態にもなったのだという。

 『パワードリフト』では、そのほかにもある条件で出現する戦闘機に“やむにやまれぬ事情による修正”が入っているのだそうだ。

■レトロハードで遊ぶことが難しくなってきた?

 トークテーマはレトロゲームとなり、堀井氏は「東京には“高田馬場ゲーセン・ミカド”や“ナツゲーミュージアム”などがあり、日本でいちばんレトロゲームファンにはたまらない都市です」と語った。

 一方で、コンデンサなど機器部品の経年劣化などで、昔のハードでゲームを遊ぶことが難しくなってきているとの意見も挙がった。堀井氏は、ゲームの保管のプロの方に「箱に入れたままだと空気が循環していかないため、一度開封したほうが持ちがいい」と教わって驚いたのだという。

▲なお、本作にはセガマークIII版『ファンタジーゾーン』もオマケで収録されており、『セガ3D復刻アーカイブス』のゲームプレイ履歴があるニンテンドー3DSで本作をプレイすることで出現する。そこでマスターシステムの実機で、カートリッジになったFM音源版の『ファンタジーゾーン』をプレイする一幕も。

■第3弾はある?

 『セガ3D復刻アーカイブス』シリーズの第3弾を開発するかどうかについての質問について、奥成氏から本作の“初4日速報(発売から数えて4~5日間の実績)”が影響するという話が出た。続編の開発に着手できるかどうかは実績が大きく左右するため、それを知った司会の人物からは「早めに買ってください」、「気に入ったら友だちにも布教してください」と冗談交じりに呼びかけていた。

 また、ユーザーから新たな3D向けに配信してほしいタイトルとして『エンデューロレーサー』や『ターボアウトラン』などが挙がっている中、会場のファンからは『ラストサバイバー』を3Dリメイクしてほしいという声も。堀井氏は「移植が実現するかはさておき、『ラストサバイバー』開発の際は、ネット対戦がしたいという要望が多くなるとは思います。4人はともかく8人での対戦は難しいかもしれませんが、技術は向上しているので将来的には可能にしたいですね」と語っていた。

 奥成氏によると本作の電子マニュアルの最終ページには、購入者を対象としたアンケートページへのURLがあるのだそうだ。そこでユーザーから希望されたタイトルが集計されており、ソフト化への指針になるのだという。ぜひ、本作の購入者はチェックしてみてほしい。